アイアンエンジェル~あの日の旋律

夏目奈緖

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 16時半。

 4時限目の授業を終えて、正門へと向かっているところだ。悠人と森本、山崎、真羽と一緒に居る。いつもなら晩ご飯の段取りを考えながら駅へ歩いて行くのに、とても出来ない状況だ。それはどうしてかというと、黒崎への連絡を忘れていたからだ。

 黒崎からは、通学前、大学到着後、学食、学校を出る前、帰宅後のうち、最低4回は連絡するように言われている。たまに1回ぐらい忘れる時があるが、今日は朝から3回も忘れてしまった。このことで黒崎から電話が入り、今、彼から小言を聞かされているところだ。

「だから、タイミングが悪くて忘れていたんだよ~」
「3回も忘れておいてか?」
「朝はバタついていたんだ。学食の時は話し込んでいたんだ。さっきは……、教授に呼び止められたからだよ」
「今から迎えに行く。大学内で待て」
「いいってば。仕事中だろー?」
「ちょうど出先からの帰りだ。社に寄ってから帰る。問題ない」
「もう……っ」

 プツッ。電話が切れてしまった。一緒に歩いている悠人と森本から、心配そうに見つめられた。そして、山崎が真羽に俺の事情を説明していた。こんな姿を見せるのは恥ずかしいから、重い空気を変えようと笑ってみせた。

「こんな人だからさ~」
「黒崎さんは心配症だからな」
「怒られたんだろ?束縛が激しすぎるよー」
「避けらないことなんだよ。すごく優しい人なんだけど、強引で頑固で石頭だからさ~。俺の言うことを聞けって、偉そうなんだよ。こういう人に惚れたから仕方ないよ……」

 付き合っている時から黒崎は強引だったけれど、優しかったから、偉そうだとは思わなかった。でも、一緒に暮らし始めた後、何度もそう思うようになった。こんな人だったのか?と怒りが生まれる時がある。そして、いちいち反応していたら身が持たないことも学習した。

 黒崎がここへ来るまで、時間が掛かるだろう。4人が、黒崎が来るまで待ってくれると言った。でも、悪いと思った。

「一人で平気だよ。カフェで時間をつぶすよ」
「なつきー。待っているよ」
「俺も構わない。……来月、浅草へ買い物に行きたいんだったな?その話をしよう。いつにする?7月3日はどうだ?」
「そうだよー。その話をしようよ!あの学食へ行こうよ。食べていないメニューがあるし」

 森本から荷物を持たれ、悠人達からは文字通り、背中を押された。ここまで気を遣ってもらったなら、断るのは悪い。4人に甘えることにした。
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