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さっそく仕事内容の説明を受けた。枝川さんは、向かい合っている時には真面目な人になっていた。初めて会った時はふざけた人だったのに。用意していた質問に、テンポよく答えてもらった。
(すごいなあ。すぐに切り替えられるんだなあ……)
しかし、全ての質問が終わった後、一瞬にして、くだけた人に戻った。すっかりタメ口になっている。ムードメーカーだと黒崎から聞いた通りだと思った。枝川さんと話している他の社員さん達もリラックスしている。参加者が緊張しているから、さっきまでお互いに張り詰めた空気になっていた。すると、枝川さんが言った。
「夏樹君。お昼は常務と一緒?よかったら僕も入れてほしい」
「すぐに帰るので。まだ今度……」
「下のカフェで食べよう。常務が心配しているんだよね?僕と一緒なら安全だから。帰りは、駅かタクシーまで送っていくよ」
「黒崎さんに聞かないと……」
「僕は安全だよ」
「いえ、お構いなく……」
黒崎との約束事通りに返事を返していった。それでも詰められていく。手強い人だと知った。すると、枝川さんが、俺の後ろで待っている如月の方へ視線を向けた。
「そうか。如月君も一緒なら来てくれるよね?如月くーん、お昼を食べようよ」
「喜んで!」
「知り合いだったんですか?」
「いや、初めて会った」
「俺もです」
枝川さんと如月が首を横に振った。どうして枝川さんは如月の名前を知っていたのだろう。キョトンとしていると、枝川さんが苦笑いをした。
「人の名前と顔を覚えるのが必須なんだよ。2人の鬼上司から叩き込まれて……。あ……」
鬼上司、その単語を口にした枝川さんが口をつぐんだ。俺の横へ視線を向けている。振り返ると、その鬼上司である黒崎が立っていた。彼は怒っていなくて、意地悪そうに笑っていた。枝川さんが、ヤバイといった顔になり、黒崎が歩いてきて、彼の隣に立った。枝川さんが視線を泳がせている。
「枝川。問題発言だぞ」
「申し訳ありませんっ。夏樹君を笑わせようと……」
「……その前だ」
「みんなで食べると楽しいかと……。勝手に誘ってすみませんでした」
「そうじゃない。参加者の学生にナンパをするな。社としての問題だ」
「はい、気をつけますっ」
枝川さんがテーブルの上で、頭をペコペコ下げた。何もここまで謝らなくてもいいと思った。それだけ黒崎が恐ろしい目に遭わせているのだろうか。周りの社員さん達が笑っている。
「黒崎さん、枝川さんは気を遣ってくれたんだよ」
「お前がそう言うなら許してやる。……枝川、charlotte's kitchenへ4人分の席の予約を入れておけ。今すぐここでだ」
「それこそ上司の問題発言では!?」
「……これでおあいこだ」
「はいっ」
「……如月君。事後承諾だが、構わないだろう?一緒に食事をしよう」
「もちろんです!」
「勧めた以上、奢る。昼食中はプライベートだ。問題ない」
「ありがとうございます」
「枝川はオフィスに戻る必要がある。代わりに俺がここを担当する。質問がまだだろう?如月君、こちらへどうぞ」
「はい!」
黒崎に促されて、如月が慌てて椅子に座った。電話を終えた枝川さんへ、社員さんが声をかけていた。
「枝川さん。R&W社の高野さんがお越しです」
「分かった」
「この後は常務が担当なさるそうです」
「そうか……」
また後でと言い残して、枝川さんが会議室を出て行こうとした。その時は、黒崎に舌を出す仕草をしていた。それに気づいた黒崎が、意地悪そうな笑い声を立てた。そっか、こういう感じなのかと納得した。お互いに打ち解けていることを知った。
「この件は……」
「では、こっちは……」
自分の質問は終わった。残りの時間をどうしようか?周りを見ると、帰り支度をしている人や、参加者同士で会話をしているグループがいた。他の社員さんにも質問をしようと、改めて列に並んでいる人もいる。
(どうしようかな?……今のうちにトイレに行こう)
「黒崎さん。トイレに行ってくるよ」
「ここを出て右へ真っ直ぐに行くとある。迷子になったら放送をかけるぞ」
「……」
ここが家なら言い返すが、久しぶりに優等生のふりをして、にっこり笑った。そして、優しい笑顔を返された後、トイレへと向かった。
(すごいなあ。すぐに切り替えられるんだなあ……)
しかし、全ての質問が終わった後、一瞬にして、くだけた人に戻った。すっかりタメ口になっている。ムードメーカーだと黒崎から聞いた通りだと思った。枝川さんと話している他の社員さん達もリラックスしている。参加者が緊張しているから、さっきまでお互いに張り詰めた空気になっていた。すると、枝川さんが言った。
「夏樹君。お昼は常務と一緒?よかったら僕も入れてほしい」
「すぐに帰るので。まだ今度……」
「下のカフェで食べよう。常務が心配しているんだよね?僕と一緒なら安全だから。帰りは、駅かタクシーまで送っていくよ」
「黒崎さんに聞かないと……」
「僕は安全だよ」
「いえ、お構いなく……」
黒崎との約束事通りに返事を返していった。それでも詰められていく。手強い人だと知った。すると、枝川さんが、俺の後ろで待っている如月の方へ視線を向けた。
「そうか。如月君も一緒なら来てくれるよね?如月くーん、お昼を食べようよ」
「喜んで!」
「知り合いだったんですか?」
「いや、初めて会った」
「俺もです」
枝川さんと如月が首を横に振った。どうして枝川さんは如月の名前を知っていたのだろう。キョトンとしていると、枝川さんが苦笑いをした。
「人の名前と顔を覚えるのが必須なんだよ。2人の鬼上司から叩き込まれて……。あ……」
鬼上司、その単語を口にした枝川さんが口をつぐんだ。俺の横へ視線を向けている。振り返ると、その鬼上司である黒崎が立っていた。彼は怒っていなくて、意地悪そうに笑っていた。枝川さんが、ヤバイといった顔になり、黒崎が歩いてきて、彼の隣に立った。枝川さんが視線を泳がせている。
「枝川。問題発言だぞ」
「申し訳ありませんっ。夏樹君を笑わせようと……」
「……その前だ」
「みんなで食べると楽しいかと……。勝手に誘ってすみませんでした」
「そうじゃない。参加者の学生にナンパをするな。社としての問題だ」
「はい、気をつけますっ」
枝川さんがテーブルの上で、頭をペコペコ下げた。何もここまで謝らなくてもいいと思った。それだけ黒崎が恐ろしい目に遭わせているのだろうか。周りの社員さん達が笑っている。
「黒崎さん、枝川さんは気を遣ってくれたんだよ」
「お前がそう言うなら許してやる。……枝川、charlotte's kitchenへ4人分の席の予約を入れておけ。今すぐここでだ」
「それこそ上司の問題発言では!?」
「……これでおあいこだ」
「はいっ」
「……如月君。事後承諾だが、構わないだろう?一緒に食事をしよう」
「もちろんです!」
「勧めた以上、奢る。昼食中はプライベートだ。問題ない」
「ありがとうございます」
「枝川はオフィスに戻る必要がある。代わりに俺がここを担当する。質問がまだだろう?如月君、こちらへどうぞ」
「はい!」
黒崎に促されて、如月が慌てて椅子に座った。電話を終えた枝川さんへ、社員さんが声をかけていた。
「枝川さん。R&W社の高野さんがお越しです」
「分かった」
「この後は常務が担当なさるそうです」
「そうか……」
また後でと言い残して、枝川さんが会議室を出て行こうとした。その時は、黒崎に舌を出す仕草をしていた。それに気づいた黒崎が、意地悪そうな笑い声を立てた。そっか、こういう感じなのかと納得した。お互いに打ち解けていることを知った。
「この件は……」
「では、こっちは……」
自分の質問は終わった。残りの時間をどうしようか?周りを見ると、帰り支度をしている人や、参加者同士で会話をしているグループがいた。他の社員さんにも質問をしようと、改めて列に並んでいる人もいる。
(どうしようかな?……今のうちにトイレに行こう)
「黒崎さん。トイレに行ってくるよ」
「ここを出て右へ真っ直ぐに行くとある。迷子になったら放送をかけるぞ」
「……」
ここが家なら言い返すが、久しぶりに優等生のふりをして、にっこり笑った。そして、優しい笑顔を返された後、トイレへと向かった。
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