264 / 283
31-2
しおりを挟む
午前7時半。
コンテスト会場に到着した。今、出場者の控え室へ向かっている。都内の湾岸近くにある野外ステージが今回の会場だ。駐車場やステージ脇では、運営スタッフがバタバタと行き交っている。
午前10時からスタートだ。全国から応募されたバンドの中から出場できるのは32組であり、上位入賞すれば、さらに大きなコンテストに出られる。それはミッシュアップコンテストという。ベテルギウスというバンドも見出された。それを目指しているバンドマン達の緊張感が伝わってきて、いっそう胸がドキドキした。
控え室までやって来た。各部屋のドアには、バンド名が書かれた紙が貼り付けられていた。順番に見て行くと、自分のバンド名を見つけた。メンバー以外は3人まで、スタッフとして入室がOKされている。黒崎と早瀬さんに付き添ってもらった。
「黒崎さん。あったよ!IRON ANGEL……」
「悠人君の声がするぞ」
「おはようー」
ガチャ!ドアを開けると、ギターの音色が聴こえてきた。悠人がギターを弾きながら、会場のモニターを見ていた。聡太郎と早瀬さんもいた。
「夏樹、こっちだよー」
「おはよう!」
「おはよう。全員揃ったね。今日の確認をしよう」
並川さんが立ち上り、彼の周りにメンバーが集まった。
ミーティングでは、今日のタイムスケジュールと機材のことなどを話し合った。何度もスタジオで練習してきたとはいえ、今日はいつもと場所が違うし観客もいる。緊張している俺のことを、メンバーが励ましてくれた。
出番まで小さめの音なら練習ができるので、そうすることにした。早瀬さんが練習に付き合ってくれている。悠人がベースを弾きながら聡太郎と音を合わせている。それをドラムの並川さんが確認している。藤沢は早瀬さんからギターのフレーズを習っている。お互いにギターを持ち、フレーズを弾き合っている。
「16分音符のフレーズだよ」
「こっちですね……」
「リズムが……、タラタタラタタラ……3つ刻み、最後は2つ刻み、いくよ……」
「タラタタラタタラ……」
早瀬さんが手でリズムを取った。それに合わせて藤沢がフレーズを弾いた。その後、すぐに早瀬さんも弾き始めた。
「これをもっと速く弾く。こうなる……」
「わあーー、手が……」
「大丈夫だよ」
「タラタタラタタラ……」
部屋のドアは全開にする決まりだ。前を通りかかった別のバンドの人が、早瀨さんのことに注目している。彼を見て、スゲーと言っている人もいた。黒崎の方を向くと、軽く頷いていた。早瀨さんのライブを観に行ったことがあるそうだ。
「久しぶりに演奏を聴いた。5年前のライブが最後だった」
「そうなんだ……。あ、悠人が入った」
悠人がベースからギターに持ち替えて、早瀬さんと一緒に弾き始めた。いつもは見ているこっちが恥ずかしいほどの熱々のカップルなのに、今は雰囲気が違う。真剣にフレーズを確認して集中している。
「夏樹!ベースとリズムを合わせよう!」
「うん!」
バンドで歌うには、ベースとの絡みが大事だ。悠人が俺に分かりやすいように、足元でリズムを取ってくれる時もある。同じ年でも、ずっと先に進んでいると思う。
「ゆうとー。俺も頑張るよ!」
「なつきー。そんなに固くならないでいいから。楽しもうよ」
「ありがとう!」
ジーンズのウエストには、お馴染みのうちわを差し込んである。これがあるから大丈夫だ。緊張しながらも、楽しい練習時間が過ぎていった。
コンテスト会場に到着した。今、出場者の控え室へ向かっている。都内の湾岸近くにある野外ステージが今回の会場だ。駐車場やステージ脇では、運営スタッフがバタバタと行き交っている。
午前10時からスタートだ。全国から応募されたバンドの中から出場できるのは32組であり、上位入賞すれば、さらに大きなコンテストに出られる。それはミッシュアップコンテストという。ベテルギウスというバンドも見出された。それを目指しているバンドマン達の緊張感が伝わってきて、いっそう胸がドキドキした。
控え室までやって来た。各部屋のドアには、バンド名が書かれた紙が貼り付けられていた。順番に見て行くと、自分のバンド名を見つけた。メンバー以外は3人まで、スタッフとして入室がOKされている。黒崎と早瀬さんに付き添ってもらった。
「黒崎さん。あったよ!IRON ANGEL……」
「悠人君の声がするぞ」
「おはようー」
ガチャ!ドアを開けると、ギターの音色が聴こえてきた。悠人がギターを弾きながら、会場のモニターを見ていた。聡太郎と早瀬さんもいた。
「夏樹、こっちだよー」
「おはよう!」
「おはよう。全員揃ったね。今日の確認をしよう」
並川さんが立ち上り、彼の周りにメンバーが集まった。
ミーティングでは、今日のタイムスケジュールと機材のことなどを話し合った。何度もスタジオで練習してきたとはいえ、今日はいつもと場所が違うし観客もいる。緊張している俺のことを、メンバーが励ましてくれた。
出番まで小さめの音なら練習ができるので、そうすることにした。早瀬さんが練習に付き合ってくれている。悠人がベースを弾きながら聡太郎と音を合わせている。それをドラムの並川さんが確認している。藤沢は早瀬さんからギターのフレーズを習っている。お互いにギターを持ち、フレーズを弾き合っている。
「16分音符のフレーズだよ」
「こっちですね……」
「リズムが……、タラタタラタタラ……3つ刻み、最後は2つ刻み、いくよ……」
「タラタタラタタラ……」
早瀬さんが手でリズムを取った。それに合わせて藤沢がフレーズを弾いた。その後、すぐに早瀬さんも弾き始めた。
「これをもっと速く弾く。こうなる……」
「わあーー、手が……」
「大丈夫だよ」
「タラタタラタタラ……」
部屋のドアは全開にする決まりだ。前を通りかかった別のバンドの人が、早瀨さんのことに注目している。彼を見て、スゲーと言っている人もいた。黒崎の方を向くと、軽く頷いていた。早瀨さんのライブを観に行ったことがあるそうだ。
「久しぶりに演奏を聴いた。5年前のライブが最後だった」
「そうなんだ……。あ、悠人が入った」
悠人がベースからギターに持ち替えて、早瀬さんと一緒に弾き始めた。いつもは見ているこっちが恥ずかしいほどの熱々のカップルなのに、今は雰囲気が違う。真剣にフレーズを確認して集中している。
「夏樹!ベースとリズムを合わせよう!」
「うん!」
バンドで歌うには、ベースとの絡みが大事だ。悠人が俺に分かりやすいように、足元でリズムを取ってくれる時もある。同じ年でも、ずっと先に進んでいると思う。
「ゆうとー。俺も頑張るよ!」
「なつきー。そんなに固くならないでいいから。楽しもうよ」
「ありがとう!」
ジーンズのウエストには、お馴染みのうちわを差し込んである。これがあるから大丈夫だ。緊張しながらも、楽しい練習時間が過ぎていった。
0
あなたにおすすめの小説
雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
純白のレゾン
雨水林檎
BL
《日常系BL風味義理親子(もしくは兄弟)な物語》
この関係は出会った時からだと、数えてみればもう十年余。
親子のようにもしくは兄弟のようなささいな理由を含めて、少しの雑音を聴きながら今日も二人でただ生きています。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21)
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる