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カフェに入ると、眺めのいい席が空いていた。昼前だから空いている。カウンターでワッフルを受け取り、席へ戻ってきた。そこには長い脚を組んで、外を眺めている男性が目立っていた。黒崎だ。珈琲を飲みつつ、ダラっとしている。これは珍しい光景だ。休みの日は家の中でも、ピシッとしているのに。
「お待たせ。リラックスしているね~。年を取ると違うんだね?」
「動物園が似合うようになったのか?」
「ううん。似合わないよ。ダラっとしてるからだよ。珍しいと思ったんだ。しかも外なのに……」
「この園内で似合うようにしている。……笑うな」
「笑っていないよ。あんたを見て、カップルが驚いたことがあったし。ウンウン……」
別の動物園へ遊びに行った時のことだ。そばの人たちが黒崎を見て、”ぎょっと”していた。さささと離れて行ったから、怖かったに違いない。動物たちは近寄って来たから、優しいオーラは持っていた。すると、黒崎が身じろぎした。
「あれ?元に戻すの?勿体ない」
「かえって疲れるからだ」
黒崎が姿勢を綺麗にした。からかわれて気にしたのか?そう思いながら食べていたワッフルが喉に詰まってしまった。胸を叩いていると、お水を渡された。
「ごほっごほっ、ああー、苦しかった……」
「落ち着きがない。次はどこを回りたいんだ?サル山、クマ、アフリカエリア。キリンと話せるバルコニーがあるそうだ」
「……え?」
「”キリンとお話できるバルコニー”。目線の高さが同じということだ」
「ごほっ、くるし……い、んん……、ごほっ」
黒崎が読み上げた可愛らしいフレーズに驚いて、今度は飲んでいた水が器官に入った。こういうケースは少ないから、心構えが出来ていない。悠人と遊びに行く時とは大違いだ。さすがに頬をつねられなくて済んだ。次はアフリカエリアへ行こうと話しながら、残りのワッフルを食べた。
「食べて済んだか?何か土産に買っていけ」
「うん。お義父さんから、ウサギ饅頭を頼まれているんだ。パンダカステラ、お饅頭、一口サイズの……」
カウンターで商品を選んでいると、出入口の方が騒がしくなった。カメラマンと数人が店内に入って来た。取材に来たようだ。スタッフに囲まれて話している人がいる。離れているのに、ここまで声が聞こえてきた。良く通る声をしているなら、歌手かもしれない。
「あ、羽音さんだ!」
その人は羽音さんだった。お会計を済ませていると、俺たちのことに気づいて、大きく手を振ってくれた。ちょうど待機タイムだそうで、羽音さんの方から来てくれた。今日は番組の収録だと教えてくれた。今回はゲストとしての参加だそうだ。
羽音さんは年齢は30歳で、黒崎の方が年が近い。さっそく二人の大人同士の話が始まった。当初は羽音さんに妬いていたが、実際に会った後は打ち解けた。誘惑ステージを授けてくれた先輩だ。おかげで歌の幅が広がり、新曲の妖艶なイメージにつながった。お礼を伝えた時には、慌てて首を振っていた。そんな大ごとになったのかと。
「絵本の連載、好評ですね。黒崎さんのイラストが可愛い。俺にも描いてもらいたいです」
「もちろん喜んで。……絵本のタイトルの”歌の好きな案山子”は、羽音さんがモデルですか?悠人君の思い出話を聞きました」
「そうなんですよ。実家の田んぼのそばが歌の練習場でした。悠人君だけが観客でして……あれ?夏樹君に出て欲しいんですか?」
「……はい。プロデューサーからの。……こういう話で」
スタッフが羽音さんへ話しかけた。お店の人のインタビューを撮り終えて、ぞろぞろとやって来た。そして、スタッフから説明を受けて驚き、狼狽えてしまった。
「お待たせ。リラックスしているね~。年を取ると違うんだね?」
「動物園が似合うようになったのか?」
「ううん。似合わないよ。ダラっとしてるからだよ。珍しいと思ったんだ。しかも外なのに……」
「この園内で似合うようにしている。……笑うな」
「笑っていないよ。あんたを見て、カップルが驚いたことがあったし。ウンウン……」
別の動物園へ遊びに行った時のことだ。そばの人たちが黒崎を見て、”ぎょっと”していた。さささと離れて行ったから、怖かったに違いない。動物たちは近寄って来たから、優しいオーラは持っていた。すると、黒崎が身じろぎした。
「あれ?元に戻すの?勿体ない」
「かえって疲れるからだ」
黒崎が姿勢を綺麗にした。からかわれて気にしたのか?そう思いながら食べていたワッフルが喉に詰まってしまった。胸を叩いていると、お水を渡された。
「ごほっごほっ、ああー、苦しかった……」
「落ち着きがない。次はどこを回りたいんだ?サル山、クマ、アフリカエリア。キリンと話せるバルコニーがあるそうだ」
「……え?」
「”キリンとお話できるバルコニー”。目線の高さが同じということだ」
「ごほっ、くるし……い、んん……、ごほっ」
黒崎が読み上げた可愛らしいフレーズに驚いて、今度は飲んでいた水が器官に入った。こういうケースは少ないから、心構えが出来ていない。悠人と遊びに行く時とは大違いだ。さすがに頬をつねられなくて済んだ。次はアフリカエリアへ行こうと話しながら、残りのワッフルを食べた。
「食べて済んだか?何か土産に買っていけ」
「うん。お義父さんから、ウサギ饅頭を頼まれているんだ。パンダカステラ、お饅頭、一口サイズの……」
カウンターで商品を選んでいると、出入口の方が騒がしくなった。カメラマンと数人が店内に入って来た。取材に来たようだ。スタッフに囲まれて話している人がいる。離れているのに、ここまで声が聞こえてきた。良く通る声をしているなら、歌手かもしれない。
「あ、羽音さんだ!」
その人は羽音さんだった。お会計を済ませていると、俺たちのことに気づいて、大きく手を振ってくれた。ちょうど待機タイムだそうで、羽音さんの方から来てくれた。今日は番組の収録だと教えてくれた。今回はゲストとしての参加だそうだ。
羽音さんは年齢は30歳で、黒崎の方が年が近い。さっそく二人の大人同士の話が始まった。当初は羽音さんに妬いていたが、実際に会った後は打ち解けた。誘惑ステージを授けてくれた先輩だ。おかげで歌の幅が広がり、新曲の妖艶なイメージにつながった。お礼を伝えた時には、慌てて首を振っていた。そんな大ごとになったのかと。
「絵本の連載、好評ですね。黒崎さんのイラストが可愛い。俺にも描いてもらいたいです」
「もちろん喜んで。……絵本のタイトルの”歌の好きな案山子”は、羽音さんがモデルですか?悠人君の思い出話を聞きました」
「そうなんですよ。実家の田んぼのそばが歌の練習場でした。悠人君だけが観客でして……あれ?夏樹君に出て欲しいんですか?」
「……はい。プロデューサーからの。……こういう話で」
スタッフが羽音さんへ話しかけた。お店の人のインタビューを撮り終えて、ぞろぞろとやって来た。そして、スタッフから説明を受けて驚き、狼狽えてしまった。
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