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黒崎には息抜きが必要だと思った。今日はそうなるといいなと思った。俺達は結婚生活が3年半になろうとして、大きな喧嘩をしなくなった。来月は22歳の誕生日を迎えるから、大人になったという事だろうか。
「黒崎さん。俺が大人になった分、喧嘩が減ったよね?小競り合い程度もないし……」
「あるぞ。今月は3回も喧嘩した。自覚がないのか?」
「ええー?そうだっけ?」
思い返しても言い合いはしていない。ショッピングモールへ行った時、買い物が遅いと文句を言われて、15分ぐらい口を聞かなかった。それが喧嘩だろうか?いつものことだ。
「ドラッグストアで文句を言われてさ。口を聞かなかったけど。それは喧嘩じゃないよね?」
「……立派な喧嘩だ。いつものこと過ぎて分からないだけだ。気を遣う身にもなれ」
「ええ?あんたが偉そうに言うからじゃん。普通に言えば済む話なのに~」
さっそく言い方を真似してやった。早くしろ。どれも同じだ。こっちの山から選べばいい。これで終わりだ、店を出るぞ。これが黒崎の言い方だ。しかし、無反応をされた。
「……4回目の喧嘩をしたくないからだ。買うものは決まっているだろう?メーカーも、洗剤の種類もだ」
「だって……。特売とか新商品に興味があるもん。結局は普段のやつに戻るけど。いろいろ見て回るのが買い物の醍醐味なんだよ~。一人で行けばいいけど、あんたがそうさせないもん」
「……それなら時間を短くしてくれ」
「んん? ”くれ”だって?優しい言い方をしたねぇ。喧嘩をしたくないもんね?残りの2回は、どんな喧嘩?」
「……」
黒崎が黙ったままでハンドルを切った。これだと本当に喧嘩になりかねない。これ以上はツッコむのをやめて、話題を変えた。もうすぐでお店に着くなら、さっさと仲直りしたい。
チラッと運転席を見ると、笑っていた。ホッとしていると、肩を揺らして笑い声を立てられた。最初から狙っていたのか。
「もう……。黒崎さん」
「……どうした?」
「えーーとね……。沙耶さんが、女の子から妬まれたんだって?学校一のイケメンと仲がいいから。怜さんも綺麗な人だし」
「女の子達にはモテたな。……沙耶は本人だけで乗り越えた。男女の友情が成立するわけがないと決められがちだ。……お前たちも同じじゃないのか?」
「俺達はそうでもないよ。伊吹お兄ちゃんの時は……、違うみたい。あの人は外ずらがいいから、男女問わずモテたんだ。でも結局は、相手の方から”友達にはなれない”って言われたんだよ……。んん?」
口にして初めて気が付いた。友情が成立しないのではなく、伊吹自身を嫌ったからだろう。お互いに同じことを考えたのが分かり、小さく吹き出した。
黒崎の学生時代のことを聞いていると、不思議に思うことがあった。この際だから聞いてみることにした。
有名なエスカレーター式の学校に通っていたのに、中学では私立を選ばなかった理由だ。向こうにも同じような学校が何校かあるのに。
「都会に比べたら規模は小さいかも知れないけど、雰囲気が似ているんじゃないのかな?」
「……公立が家からすぐ近かったからだ。それだけのことだ」
笑っているから嬉しかったのだろう。遠くの学校なら、友達と一緒に帰れなかったと思う。小学校の時はお義父さんの車で通っていたというなら尚更だ。
「友達と一緒に帰れるもんね。コンビニへ寄り道してさ……。アイスクリームを食べるとか」
「お前はその経験がないだろう?つるむのが嫌いだ。……よくやってきた」
そんなに褒めてどうするのかと、照れくさくなった。何が目的だよ?と、走っている間を狙って口にした。誤魔化して頬をつねられることも、キス攻撃で口を塞がれることもないからだ。
しかし、また無言になった。呼びかけても返事がないから、何か理由があるに違いない。レストランまで5分という距離だから、降りてから聞こうと思った。
「黒崎さん。俺が大人になった分、喧嘩が減ったよね?小競り合い程度もないし……」
「あるぞ。今月は3回も喧嘩した。自覚がないのか?」
「ええー?そうだっけ?」
思い返しても言い合いはしていない。ショッピングモールへ行った時、買い物が遅いと文句を言われて、15分ぐらい口を聞かなかった。それが喧嘩だろうか?いつものことだ。
「ドラッグストアで文句を言われてさ。口を聞かなかったけど。それは喧嘩じゃないよね?」
「……立派な喧嘩だ。いつものこと過ぎて分からないだけだ。気を遣う身にもなれ」
「ええ?あんたが偉そうに言うからじゃん。普通に言えば済む話なのに~」
さっそく言い方を真似してやった。早くしろ。どれも同じだ。こっちの山から選べばいい。これで終わりだ、店を出るぞ。これが黒崎の言い方だ。しかし、無反応をされた。
「……4回目の喧嘩をしたくないからだ。買うものは決まっているだろう?メーカーも、洗剤の種類もだ」
「だって……。特売とか新商品に興味があるもん。結局は普段のやつに戻るけど。いろいろ見て回るのが買い物の醍醐味なんだよ~。一人で行けばいいけど、あんたがそうさせないもん」
「……それなら時間を短くしてくれ」
「んん? ”くれ”だって?優しい言い方をしたねぇ。喧嘩をしたくないもんね?残りの2回は、どんな喧嘩?」
「……」
黒崎が黙ったままでハンドルを切った。これだと本当に喧嘩になりかねない。これ以上はツッコむのをやめて、話題を変えた。もうすぐでお店に着くなら、さっさと仲直りしたい。
チラッと運転席を見ると、笑っていた。ホッとしていると、肩を揺らして笑い声を立てられた。最初から狙っていたのか。
「もう……。黒崎さん」
「……どうした?」
「えーーとね……。沙耶さんが、女の子から妬まれたんだって?学校一のイケメンと仲がいいから。怜さんも綺麗な人だし」
「女の子達にはモテたな。……沙耶は本人だけで乗り越えた。男女の友情が成立するわけがないと決められがちだ。……お前たちも同じじゃないのか?」
「俺達はそうでもないよ。伊吹お兄ちゃんの時は……、違うみたい。あの人は外ずらがいいから、男女問わずモテたんだ。でも結局は、相手の方から”友達にはなれない”って言われたんだよ……。んん?」
口にして初めて気が付いた。友情が成立しないのではなく、伊吹自身を嫌ったからだろう。お互いに同じことを考えたのが分かり、小さく吹き出した。
黒崎の学生時代のことを聞いていると、不思議に思うことがあった。この際だから聞いてみることにした。
有名なエスカレーター式の学校に通っていたのに、中学では私立を選ばなかった理由だ。向こうにも同じような学校が何校かあるのに。
「都会に比べたら規模は小さいかも知れないけど、雰囲気が似ているんじゃないのかな?」
「……公立が家からすぐ近かったからだ。それだけのことだ」
笑っているから嬉しかったのだろう。遠くの学校なら、友達と一緒に帰れなかったと思う。小学校の時はお義父さんの車で通っていたというなら尚更だ。
「友達と一緒に帰れるもんね。コンビニへ寄り道してさ……。アイスクリームを食べるとか」
「お前はその経験がないだろう?つるむのが嫌いだ。……よくやってきた」
そんなに褒めてどうするのかと、照れくさくなった。何が目的だよ?と、走っている間を狙って口にした。誤魔化して頬をつねられることも、キス攻撃で口を塞がれることもないからだ。
しかし、また無言になった。呼びかけても返事がないから、何か理由があるに違いない。レストランまで5分という距離だから、降りてから聞こうと思った。
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