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本当は縁があるのかな?去年の誘惑ステージは好評だった。黒崎を誘惑するという、家の中での自分を出せばいい。ちっとも恥ずかしくないのは、ヴォーカルのナツキとしてカメラの前に立つからだ。ステージでも同じことだ。演じていない分、違和感がない。
(改めて振り返ったら、不思議だな。久弥はやらない方がいいぞって言ったけど。まだ分からないな……)
まだ経験が浅いからだ。先輩から見ると、演じているとしか思えないのだろう。久弥はそれに悩んで脱皮した。そこで、ある事が思い浮かんだ。TDDのデビューの時の衣装が、妖艶さを表現していた事を。なんせ、黒崎が戸惑っていたぐらいだ。
「あのPVの衣装のこと?メイクが濃くて、別人になったよね。あんたがビックリしてた。俺もそうだったけど」
「普段のお前のことだ。近所の人から、色気のあるイケメンだと言われただろう。ステージ上だが」
「うん。ナツキになるもん。色気が無いって、黒崎さんが言っているんだよ?ベッドの中でムードが無いとかさ~。あんただって、明日のエプロンの話をするくせに」
「……まだ信号待ちだ」
「なに?黒崎さん……、え……」
運転席から腕が伸びてきた。どうしたのかと戸惑っていると、頭を引き寄せられた。黒崎が、少しだけ顔を傾けたキスの角度になっている。
いくら前に車が停まっているとはいえ、今は渋滞気味だから、フロントガラスから丸見えだろう。ここでは恥ずかしい。
ドアの方へ下がろうとすると、呆気なく捕まえられた。息がかかるほどの距離で見つめられているのに、一向に唇が重なり合わない。触れるか触れないかの位置を保ち、何度も胸元を押しているのに変わらない。
顔をそむけて身じろぐと、笑い声を立てながら、耳元へ息を吹きかけられた。そして、今度は何かを操作した後、また捕まえられた。
「なんだよ……、信号が変わるってば」
「サイドミラーへ視線だけを向けろ。見えるか?」
どういうことだよ?そう呟きながら視線を向けると、ミラーの角度が変わり、俺の顔が見えていた。小さく映っていても、エロさを醸し出した空気が分かった。黒崎から囁くように名前を呼ばれた後、頬に手を添えらた。
「そのまま見ていろ」
「あ……、えろいって。んん……」
「目を逸らすな。これが普段のお前だ」
「キスの時は違うだろ」
「今の顔も見ておけ。それが普段通りだ」
「ええ?」
黒崎の空気が戻った。ホッとしながら視線を向けると、顎から唇までを舐め取られた。一気に息が上がって驚いた後、黒崎が笑い出した。これで分かったか?と言いながら。遊ばれたのか。ポコポコと叩いてやると、信号が変わったからと、運転席へ逃げて行かれた。
「普段は変わりないよ?キスの時だけだもん。顔が赤くなるのは。黒崎さんみたいな魔力は持っていないからさ」
「そうでもない。人前では目を伏せがちにするな」
「りょーかい。お誘いポーズはしていないのに」
「当たり前だ。唇を尖らそうとする仕草も禁止だ」
「いろいろ多いんだけど?」
「言う事を聞け。……もうすぐで店に着く。ジャケットを羽織っておけ」
「はいはい。着たよ~」
素直に頷くと、楽しそうな笑い声を立てられた。サイドミラーには、春らしい色合いのシャツに、紺系のジャケット姿が映し出されている。
何気なく見ていると、たしかに雰囲気が変わったと思った。ミックスカジュアルなら、普段通りなのに。
ためしに唇を尖らせると、顔を洗っている時の自分が現れたから、なんだか安心できた。久弥が教えてくれた”ナツキに変身するな”というアドバイスに通じる気がしたからだ。
(背伸びをしているのかな?そうじゃないと乗り越えられない。難しいなあ。そうなるのか……)
思いふけっていると、黒崎からドアを開けられていた。まずは食事をして気を取り直せと言って、微笑んでいた。
(改めて振り返ったら、不思議だな。久弥はやらない方がいいぞって言ったけど。まだ分からないな……)
まだ経験が浅いからだ。先輩から見ると、演じているとしか思えないのだろう。久弥はそれに悩んで脱皮した。そこで、ある事が思い浮かんだ。TDDのデビューの時の衣装が、妖艶さを表現していた事を。なんせ、黒崎が戸惑っていたぐらいだ。
「あのPVの衣装のこと?メイクが濃くて、別人になったよね。あんたがビックリしてた。俺もそうだったけど」
「普段のお前のことだ。近所の人から、色気のあるイケメンだと言われただろう。ステージ上だが」
「うん。ナツキになるもん。色気が無いって、黒崎さんが言っているんだよ?ベッドの中でムードが無いとかさ~。あんただって、明日のエプロンの話をするくせに」
「……まだ信号待ちだ」
「なに?黒崎さん……、え……」
運転席から腕が伸びてきた。どうしたのかと戸惑っていると、頭を引き寄せられた。黒崎が、少しだけ顔を傾けたキスの角度になっている。
いくら前に車が停まっているとはいえ、今は渋滞気味だから、フロントガラスから丸見えだろう。ここでは恥ずかしい。
ドアの方へ下がろうとすると、呆気なく捕まえられた。息がかかるほどの距離で見つめられているのに、一向に唇が重なり合わない。触れるか触れないかの位置を保ち、何度も胸元を押しているのに変わらない。
顔をそむけて身じろぐと、笑い声を立てながら、耳元へ息を吹きかけられた。そして、今度は何かを操作した後、また捕まえられた。
「なんだよ……、信号が変わるってば」
「サイドミラーへ視線だけを向けろ。見えるか?」
どういうことだよ?そう呟きながら視線を向けると、ミラーの角度が変わり、俺の顔が見えていた。小さく映っていても、エロさを醸し出した空気が分かった。黒崎から囁くように名前を呼ばれた後、頬に手を添えらた。
「そのまま見ていろ」
「あ……、えろいって。んん……」
「目を逸らすな。これが普段のお前だ」
「キスの時は違うだろ」
「今の顔も見ておけ。それが普段通りだ」
「ええ?」
黒崎の空気が戻った。ホッとしながら視線を向けると、顎から唇までを舐め取られた。一気に息が上がって驚いた後、黒崎が笑い出した。これで分かったか?と言いながら。遊ばれたのか。ポコポコと叩いてやると、信号が変わったからと、運転席へ逃げて行かれた。
「普段は変わりないよ?キスの時だけだもん。顔が赤くなるのは。黒崎さんみたいな魔力は持っていないからさ」
「そうでもない。人前では目を伏せがちにするな」
「りょーかい。お誘いポーズはしていないのに」
「当たり前だ。唇を尖らそうとする仕草も禁止だ」
「いろいろ多いんだけど?」
「言う事を聞け。……もうすぐで店に着く。ジャケットを羽織っておけ」
「はいはい。着たよ~」
素直に頷くと、楽しそうな笑い声を立てられた。サイドミラーには、春らしい色合いのシャツに、紺系のジャケット姿が映し出されている。
何気なく見ていると、たしかに雰囲気が変わったと思った。ミックスカジュアルなら、普段通りなのに。
ためしに唇を尖らせると、顔を洗っている時の自分が現れたから、なんだか安心できた。久弥が教えてくれた”ナツキに変身するな”というアドバイスに通じる気がしたからだ。
(背伸びをしているのかな?そうじゃないと乗り越えられない。難しいなあ。そうなるのか……)
思いふけっていると、黒崎からドアを開けられていた。まずは食事をして気を取り直せと言って、微笑んでいた。
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