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(黒崎さんは期待したんだ。俺もそうだよ。再会した時、ママは泣いていたんだ。また会ってくれるの?って……)
あれが嘘とは思えないし、本当のことだと思う。何もかもが上手くいくのは、稀なケースだ。黒崎こそ、それが分かっているのに期待したのは、あの涙と笑顔を見たからだ。さようならを遠くから告げるつもりで行ったのに。
「黒崎さん。思い出さないでよ。今日はやめようね。持ちかけたけど」
「すまない。疲れていたようだ」
「薄着になるから心配したの?二葉の傷が見えるから……。それだけ教えてよ」
「そのとおりだ。心の傷は癒やせない。俺には……」
「癒やせるって。俺もお兄ちゃん達も、お義父さんだって癒やされたんだ」
「お前のことが可愛いから、言うことを聞く。そういうことだ」
「もう……。こうしてやる~っ。あんたの評定は、鬼から仏だよ。ふん!」
「夏樹。お前のことが可愛い」
抱き寄せられて、腕の中に閉じ込められた。無理な体勢になり身じろぎすると、膝の上に座らされた。元気な様子に安心して、脱力感が出た。ため息をついていると、抱き枕のように抱きつかれた。
「さすがに暑いよ。熱があるんじゃないの?」
「熱はない。体温計を持ってくるな」
「まあそうだね。咳も出ていないし。あんたは喘息持ちだったから……」
「誕生日プレゼントは、何が欲しいんだ?」
「あんたと過ごす遊園地デートがいい」
「エアフルトのクリスマスマーケットへ行くか?」
「マジで?まだ無理だろ。7日コースだから」
黒崎が笑いながら首を振った。常務取締役よりも、副社長職の方が融通が利くそうだ。さすがに2週間は行けないが、7日ならOKだという。無理はすると思うがいい機会だ。ノアの思い出や三河さんの話があり、これは行けという事だと思う。
「行きたい。10月30日が入るようにしたい」
「11月下旬からクリスマスマーケットが始まるから、12月になる。高さ12mの塔を見たい。クリスマスピラミッドと呼ばれるシンボルだと紹介されている」
「しっかり調べているじゃん。俺にも話してよ~。仕事の休憩中に調べたの?」
「さあな。そろそろ寝ておこう。明日は忙しいだろう?」
「うん。久しぶりに"薄味"学食へ行くよ。新入生達に、おススメの料理を教えるんだ」
サークル勧誘を受けて、早くも疲れてしまった新入生を労うためだ。俺達は2年生で終わっているが、ドイツ語クラスの新入生へ、ランチ会を開く。そして、それぞれの好みを聞た後、お勧め料理コーナーへ案内する。
落ち着いたら、のんびりと食べていられる。この話を受けたのは、プリンアラモード・スペシャルという、俺だけに作られたデザートに釣られてしまったからだ。導入されたばかりのソフトクリームマシーンで、初フレーバーを試せる権利も貰った。メーカーの人が来て、テイスティングさせてもらうわけだ。この特別感がいいと思った。
それを話すと、苦笑しながら頬をつねられた。いかにもお前らしいと言いながら。どんな時でも、スイーツを外さない姿に負けるそうだ。
「あんたも可愛いよ。こっそり調べたなんて。好きそうな感じだよね」
「連れて行ってやりたい。やっとまとまった休みが取れる」
「初めてじゃない?うちのお母さんの時と、こっちに引っ越した日。それぐらいだよね?」
「そうだろうな。役得だ」
「俺も嬉しいよ」
黒崎の頭を撫でてあげると、嬉しそうにしていた。可愛いなと思いながら抱きついた。
あれが嘘とは思えないし、本当のことだと思う。何もかもが上手くいくのは、稀なケースだ。黒崎こそ、それが分かっているのに期待したのは、あの涙と笑顔を見たからだ。さようならを遠くから告げるつもりで行ったのに。
「黒崎さん。思い出さないでよ。今日はやめようね。持ちかけたけど」
「すまない。疲れていたようだ」
「薄着になるから心配したの?二葉の傷が見えるから……。それだけ教えてよ」
「そのとおりだ。心の傷は癒やせない。俺には……」
「癒やせるって。俺もお兄ちゃん達も、お義父さんだって癒やされたんだ」
「お前のことが可愛いから、言うことを聞く。そういうことだ」
「もう……。こうしてやる~っ。あんたの評定は、鬼から仏だよ。ふん!」
「夏樹。お前のことが可愛い」
抱き寄せられて、腕の中に閉じ込められた。無理な体勢になり身じろぎすると、膝の上に座らされた。元気な様子に安心して、脱力感が出た。ため息をついていると、抱き枕のように抱きつかれた。
「さすがに暑いよ。熱があるんじゃないの?」
「熱はない。体温計を持ってくるな」
「まあそうだね。咳も出ていないし。あんたは喘息持ちだったから……」
「誕生日プレゼントは、何が欲しいんだ?」
「あんたと過ごす遊園地デートがいい」
「エアフルトのクリスマスマーケットへ行くか?」
「マジで?まだ無理だろ。7日コースだから」
黒崎が笑いながら首を振った。常務取締役よりも、副社長職の方が融通が利くそうだ。さすがに2週間は行けないが、7日ならOKだという。無理はすると思うがいい機会だ。ノアの思い出や三河さんの話があり、これは行けという事だと思う。
「行きたい。10月30日が入るようにしたい」
「11月下旬からクリスマスマーケットが始まるから、12月になる。高さ12mの塔を見たい。クリスマスピラミッドと呼ばれるシンボルだと紹介されている」
「しっかり調べているじゃん。俺にも話してよ~。仕事の休憩中に調べたの?」
「さあな。そろそろ寝ておこう。明日は忙しいだろう?」
「うん。久しぶりに"薄味"学食へ行くよ。新入生達に、おススメの料理を教えるんだ」
サークル勧誘を受けて、早くも疲れてしまった新入生を労うためだ。俺達は2年生で終わっているが、ドイツ語クラスの新入生へ、ランチ会を開く。そして、それぞれの好みを聞た後、お勧め料理コーナーへ案内する。
落ち着いたら、のんびりと食べていられる。この話を受けたのは、プリンアラモード・スペシャルという、俺だけに作られたデザートに釣られてしまったからだ。導入されたばかりのソフトクリームマシーンで、初フレーバーを試せる権利も貰った。メーカーの人が来て、テイスティングさせてもらうわけだ。この特別感がいいと思った。
それを話すと、苦笑しながら頬をつねられた。いかにもお前らしいと言いながら。どんな時でも、スイーツを外さない姿に負けるそうだ。
「あんたも可愛いよ。こっそり調べたなんて。好きそうな感じだよね」
「連れて行ってやりたい。やっとまとまった休みが取れる」
「初めてじゃない?うちのお母さんの時と、こっちに引っ越した日。それぐらいだよね?」
「そうだろうな。役得だ」
「俺も嬉しいよ」
黒崎の頭を撫でてあげると、嬉しそうにしていた。可愛いなと思いながら抱きついた。
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