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こういう時に疑問に思うことが出来た。久弥と初めて会ったと思っていたバンドコンテストは、大学1年生の1月に開かれた。ディアドロップが解散発表間際の状況の中、久弥が審査員として参加した。すでに悠人と仲良くなっていて、俺達を贔屓したと受け取られるのを避けるために、裏方をすると話していた。本当にその通りにしたのを、遠藤さんから教えてもらった。
そこで引っかかる事がある。あのコンテスト当日、久弥と2人で話をした。そして、合間の時間に、2人で会場内を歩いた。黒崎から止められることなく。あの時点で、久弥の人となりを聞いていたことになる。安心して話が出来る相手として。
「黒崎さん。疑問があるんだ。バンドコンテストの日、俺と別行動をしたじゃん。控え室に行く間に。その他も、久弥とウロつくのを止めなかったよね?ぶらっとする程度だけど。普段のあんたなら、その流れにならないようにするだろ。あの前には、久弥のことを蔵之介さんに聞いてたんだろ?」
「いや、まずは遠藤さんに聞いた。それと久弥さんのスタッフにもだ。蔵之介さんはもう少し後だ」
「会えるとも限らないのに、どうして?会ったとしても挨拶程度だよ。忙しいし。随分前から、visible rayの誘いが来ていたの?」
「……」
黒崎が軽く頷いた。それを見て心臓の鼓動が跳ねたのは、思いがけない話の答えが正解したからだ。どうして、今まで不思議に思わなかったのだろう。黒崎は俺の活動を止めようとしたいと話しながらも、デビューの後押しまでされた。
うちの庭で心停止を起こした後、強引に止めさせる事が出来たはずだ。あの頃なら、立ち止まって引き返した可能性がある。心停止ではなく、貧血で倒れて、夕方まで病室で寝ていた話になっていた。そこまでした理由も聴きたい。
「あの時も止めなかったよね。最初から俺に心停止のことを話していたら、たぶん断ったと思う。バンドは面白かったけど……。”気をつければいいことだ”って、あんたは言ったけど。そんな話じゃないもん」
「ご両親から頼まれた。挑戦させてやってくれと。20歳の誕生日に、遠藤さんから連絡が来たのを覚えているだろう?メンバーに正式決定したことを。決まっていたのは、もっと前からだ」
「それも変だと思ったんだよ。決まっていないのに、そうなるみたいに流れていたもん。ボーカルレッスンの内容、体力づくり、悠人の練習楽曲……。ホントに分かっていないから、前に進むしかなかったんだ」
「そういう流れにしておいた。うちの家に気兼ねすることが分かり切っている。……バレンタインの即興ステージがデビューの決め手になった。久弥さんがセッティングしたもので、元からボーカルは来なかった。高宮さんを説得するためにだ。それを後から知って、IKU側へ抗議しておいた」
「はあー、どんどん繋がるよ……」
悠人は知っているだろう。黒崎のように先を読んでいるからだ。俺はいい意味で流されて良かった。何でも抗うことはない。
そこで引っかかる事がある。あのコンテスト当日、久弥と2人で話をした。そして、合間の時間に、2人で会場内を歩いた。黒崎から止められることなく。あの時点で、久弥の人となりを聞いていたことになる。安心して話が出来る相手として。
「黒崎さん。疑問があるんだ。バンドコンテストの日、俺と別行動をしたじゃん。控え室に行く間に。その他も、久弥とウロつくのを止めなかったよね?ぶらっとする程度だけど。普段のあんたなら、その流れにならないようにするだろ。あの前には、久弥のことを蔵之介さんに聞いてたんだろ?」
「いや、まずは遠藤さんに聞いた。それと久弥さんのスタッフにもだ。蔵之介さんはもう少し後だ」
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「そういう流れにしておいた。うちの家に気兼ねすることが分かり切っている。……バレンタインの即興ステージがデビューの決め手になった。久弥さんがセッティングしたもので、元からボーカルは来なかった。高宮さんを説得するためにだ。それを後から知って、IKU側へ抗議しておいた」
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