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こうなれば、悠人にも頼んでみよう。もう帰った頃だろうか?シャルロットキッチンでお茶を飲むとは話していた。まだいるかも知れない。そこで、連絡を取ろうと、スーツの内ポケットからスマホを取り出そうとした。しかし、なかなか出て来ない。
「出て来ないなあ。引っかかっているのかな?お父さん、やってよー」
「どれ……。こういう入れ方は良くない。こうしておけばいい。どこへ電話をかけるんだい?」
「悠人だよ。久弥と一貴お兄ちゃん一緒なら、来てもらいたい。就任式に出てほしいから、説得してもらうよ。引っ込みがつかないんだよね?……だめだよ。もうタップしたからねー」
お義父さんの顔が緩んだから、もうひと押しだ。すぐに電話が繋がり、これから訪ねて来ることが分かった。悠人へ口添えを頼むと、やんわりと断られた。
悠人としては、お義父さんが出席しないことに意義があるという意見だ。”カッコいい後ろ姿を認めて、笑顔で手を振ろう。俺と黒崎が両手を広げて待ち、お義父さんを迎え入れよう”というものだ。
それを聞いて気持ちが揺らいだが、この部屋へ入る前に決めた意見を貫きたい。全く悠人の意見を聞いていないわけではない。普段通りの自分で振舞うことをしたい。悠人が相手だからだ。
「ゆうとー。意地悪を言うなよ。サンドイッチの具を恨んでいるのかよ?」
「……なつきー。違うよ。有終の美を飾ったなら、出ない方がいいよ。晴海お兄さんの後ろ姿は、どうだった?男として、シビれただろー?リスペクトしようよ!そっちに着いたら、君の方を説得するからねー」
「……ゆうとー。ご飯は美味しかった?チキン南蛮に新シリーズが出るんだよ~」
「なつきー。かく乱作戦は利かないよーー」
あっけなく通話が終わり、皆の方を見回すと、溜め息をついていた。こうなると、駄々をこねるしかないのか。お義父さんの肩を揺すった後、悠人のように抱きついて頼み込んだ。だんだんと笑い声で肩が揺れて来たのに、そっぽを向かれたままだ。
「お父さーん。黒崎さんが挨拶する時だけでもいいから。俺も会場に入らせてもらうよ。深川さんに頼むから!一緒に端の方で佇んでいようね。……周りの人が気を利かせてくれるよ。引退した人だから、ビジネスの場ににしないようにって。……事前に話してもいいんじゃない?深川さんから役員さんへ伝えて、自然と広まるようにすれば、大袈裟じゃないし。……けっこう良い人が多いだろ?枝川さんにフォローを頼んであげる。場を仕切るのが上手なんだ。お願いだよーー。泣くよ?いいの?」
「……圭一」
「……良い説得の仕方だろう。あんたにも育てられたからだ。なんだ?嫌みを言うのか?」
「喧嘩しないでよーー」
「……中山さんから奪い取ったようなものだ。これで面目が立った」
「……よかったな」
「……偉かった」
抱きついたままでお義父さんから頭を撫でられて、胸が痛くなった。背中をさする手の温もりが心地いい。黒崎が立ち上がったから、まさか意地悪発言をしないかと振り返ると、お客さんを招き入れていた。
ドアの向こうには、悠人が立っていた。早瀬さんが仕事の用件があるそうで、急いだ様子で通り過ぎ、久弥が手を振っていた。一貴さんが書類を持ち、何か確認している様子だ。二葉も居る。そして、黒崎が優しく微笑んだ。
「……親父。就任式に出るだろう?有終の美を飾るな。嫌われているなら、諦めておけ」
「……夏樹が出席するなら、壇上挨拶の間だけ見ている」
「お父さーーん!ありがとうーー」
この件で言い合いをしていたのかな?深川さんが皆を招き入れた。今夜は食事の席を用意しているから、みんなで移動するぞと言って笑っている。
「出て来ないなあ。引っかかっているのかな?お父さん、やってよー」
「どれ……。こういう入れ方は良くない。こうしておけばいい。どこへ電話をかけるんだい?」
「悠人だよ。久弥と一貴お兄ちゃん一緒なら、来てもらいたい。就任式に出てほしいから、説得してもらうよ。引っ込みがつかないんだよね?……だめだよ。もうタップしたからねー」
お義父さんの顔が緩んだから、もうひと押しだ。すぐに電話が繋がり、これから訪ねて来ることが分かった。悠人へ口添えを頼むと、やんわりと断られた。
悠人としては、お義父さんが出席しないことに意義があるという意見だ。”カッコいい後ろ姿を認めて、笑顔で手を振ろう。俺と黒崎が両手を広げて待ち、お義父さんを迎え入れよう”というものだ。
それを聞いて気持ちが揺らいだが、この部屋へ入る前に決めた意見を貫きたい。全く悠人の意見を聞いていないわけではない。普段通りの自分で振舞うことをしたい。悠人が相手だからだ。
「ゆうとー。意地悪を言うなよ。サンドイッチの具を恨んでいるのかよ?」
「……なつきー。違うよ。有終の美を飾ったなら、出ない方がいいよ。晴海お兄さんの後ろ姿は、どうだった?男として、シビれただろー?リスペクトしようよ!そっちに着いたら、君の方を説得するからねー」
「……ゆうとー。ご飯は美味しかった?チキン南蛮に新シリーズが出るんだよ~」
「なつきー。かく乱作戦は利かないよーー」
あっけなく通話が終わり、皆の方を見回すと、溜め息をついていた。こうなると、駄々をこねるしかないのか。お義父さんの肩を揺すった後、悠人のように抱きついて頼み込んだ。だんだんと笑い声で肩が揺れて来たのに、そっぽを向かれたままだ。
「お父さーん。黒崎さんが挨拶する時だけでもいいから。俺も会場に入らせてもらうよ。深川さんに頼むから!一緒に端の方で佇んでいようね。……周りの人が気を利かせてくれるよ。引退した人だから、ビジネスの場ににしないようにって。……事前に話してもいいんじゃない?深川さんから役員さんへ伝えて、自然と広まるようにすれば、大袈裟じゃないし。……けっこう良い人が多いだろ?枝川さんにフォローを頼んであげる。場を仕切るのが上手なんだ。お願いだよーー。泣くよ?いいの?」
「……圭一」
「……良い説得の仕方だろう。あんたにも育てられたからだ。なんだ?嫌みを言うのか?」
「喧嘩しないでよーー」
「……中山さんから奪い取ったようなものだ。これで面目が立った」
「……よかったな」
「……偉かった」
抱きついたままでお義父さんから頭を撫でられて、胸が痛くなった。背中をさする手の温もりが心地いい。黒崎が立ち上がったから、まさか意地悪発言をしないかと振り返ると、お客さんを招き入れていた。
ドアの向こうには、悠人が立っていた。早瀬さんが仕事の用件があるそうで、急いだ様子で通り過ぎ、久弥が手を振っていた。一貴さんが書類を持ち、何か確認している様子だ。二葉も居る。そして、黒崎が優しく微笑んだ。
「……親父。就任式に出るだろう?有終の美を飾るな。嫌われているなら、諦めておけ」
「……夏樹が出席するなら、壇上挨拶の間だけ見ている」
「お父さーーん!ありがとうーー」
この件で言い合いをしていたのかな?深川さんが皆を招き入れた。今夜は食事の席を用意しているから、みんなで移動するぞと言って笑っている。
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