252 / 514
20-2
しおりを挟む
昨日の夜、おすそ分けのお礼を渡しに行った時に、黒崎が風邪を引いたことを話した。一貴さんがいるから、何かあっても心強い。そして、母ぐらいの年齢の女性が近くにいると安心する。
「圭一君の熱はどう?疲れが出たんでしょう。ひと段落が着いた後だから……」
「昨夜よりも下がったよ。38度近いけど」
「咳は出ているかしら?……この蓮根を食べてね。もっちりして美味しいのよ。すりおろしても、喉に通りやすいでしょうから」
「いつもありがとう。……遠藤さんも風邪を引いたんだね。気温差があるから」
「夏樹君も気をつけないと。悠人君が様子を見に来てくれるから、元気になりそう。そっちに寄るかも」
「うん。話していたよ」
じゃあねと手を振り、佳代子さんが家へ入って行った。悠人が遠藤夫妻と養子縁組をしたことで、一気に家が賑やかになったそうだ。親子になり、遠慮なく家に呼べると喜んでいる。うちに寄ったときは、一貴さんが文字どおりに悠人に引っ付いている。見ていて面白いぐらいで、黒崎が呆れている。妙な兄貴がすまないと言いながら。
今日は大学の授業が入っておらず、仕事の予定もない。タイミングが良かった。リビングのテラスから外を眺めると、あの池が見える。いい景色になりそうだ。黒崎もリラックスするだろう。
キッチンへ入って朝ごはんの支度を始めると、朝の情報番組が流れ出した。星座占いが始まり、12匹のウサギが走り出して、射手座が一着ゴールを決めた。
「やったーー。後で教えてあげようっと。そうだ、今日で3年目だった……」
この家に引っ越して来たのが、3年前の今日だ。カレンダーアプリを見ると、たしかに今日になっている。こうして記念日を入れてある。ただし多すぎるから、すぐに探せない。
朝ごはんの方が先だ。もうすぐで黒崎が起きて来るだろう。そう思っていたら階段から音がして、黒崎がキッチンへ入って来た。わりと顔色がいいから良かった。
「おはよう。よく眠れたみたいだね?咳が出なかったから」
「午前中に御園クリニックへ行く」
「わあー、えらいね。自分から言い出したね~」
「心配そうな顔をさせたくないからだ。来月は出張もある。アン、心配するな」
黒崎がアンのモコモコの毛を撫でて、ひと息ついた。リボンが曲がっているぞと直し始めたのを見て、吹き出して笑った。そして、俺の方を向いて頬を引っ張って来た。大きな差がある。
「アンが心配しているからだ」
「これでも飲めよ~。遊ばないでさ。ジンジャーシロップだよ」
マグカップを渡してソファーへ連れて行き、星座占いの結果を教えた。今日の運勢は一位で、ラッキアイテムは、紺色のグッズだ。
「黒崎さん。あのTシャツを着たら?紺色だし。似合っていたよ」
「ああ。そうしようか」
あのTシャツを着ろと勧めた後、強引に隣へ座らされた。頭を撫でられながら見上げると、黒崎が熱っぽい目していた。早くベッドへ戻らせよう。クリニックはまだ開かない。
「圭一君の熱はどう?疲れが出たんでしょう。ひと段落が着いた後だから……」
「昨夜よりも下がったよ。38度近いけど」
「咳は出ているかしら?……この蓮根を食べてね。もっちりして美味しいのよ。すりおろしても、喉に通りやすいでしょうから」
「いつもありがとう。……遠藤さんも風邪を引いたんだね。気温差があるから」
「夏樹君も気をつけないと。悠人君が様子を見に来てくれるから、元気になりそう。そっちに寄るかも」
「うん。話していたよ」
じゃあねと手を振り、佳代子さんが家へ入って行った。悠人が遠藤夫妻と養子縁組をしたことで、一気に家が賑やかになったそうだ。親子になり、遠慮なく家に呼べると喜んでいる。うちに寄ったときは、一貴さんが文字どおりに悠人に引っ付いている。見ていて面白いぐらいで、黒崎が呆れている。妙な兄貴がすまないと言いながら。
今日は大学の授業が入っておらず、仕事の予定もない。タイミングが良かった。リビングのテラスから外を眺めると、あの池が見える。いい景色になりそうだ。黒崎もリラックスするだろう。
キッチンへ入って朝ごはんの支度を始めると、朝の情報番組が流れ出した。星座占いが始まり、12匹のウサギが走り出して、射手座が一着ゴールを決めた。
「やったーー。後で教えてあげようっと。そうだ、今日で3年目だった……」
この家に引っ越して来たのが、3年前の今日だ。カレンダーアプリを見ると、たしかに今日になっている。こうして記念日を入れてある。ただし多すぎるから、すぐに探せない。
朝ごはんの方が先だ。もうすぐで黒崎が起きて来るだろう。そう思っていたら階段から音がして、黒崎がキッチンへ入って来た。わりと顔色がいいから良かった。
「おはよう。よく眠れたみたいだね?咳が出なかったから」
「午前中に御園クリニックへ行く」
「わあー、えらいね。自分から言い出したね~」
「心配そうな顔をさせたくないからだ。来月は出張もある。アン、心配するな」
黒崎がアンのモコモコの毛を撫でて、ひと息ついた。リボンが曲がっているぞと直し始めたのを見て、吹き出して笑った。そして、俺の方を向いて頬を引っ張って来た。大きな差がある。
「アンが心配しているからだ」
「これでも飲めよ~。遊ばないでさ。ジンジャーシロップだよ」
マグカップを渡してソファーへ連れて行き、星座占いの結果を教えた。今日の運勢は一位で、ラッキアイテムは、紺色のグッズだ。
「黒崎さん。あのTシャツを着たら?紺色だし。似合っていたよ」
「ああ。そうしようか」
あのTシャツを着ろと勧めた後、強引に隣へ座らされた。頭を撫でられながら見上げると、黒崎が熱っぽい目していた。早くベッドへ戻らせよう。クリニックはまだ開かない。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
トェルとリィフェルの動画つくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
没落令息はクラスメイトの執着に救われる
夕月ねむ
BL
突然父親の爵位がはく奪され、帰る屋敷も家名も失ったローレンス。貴族が集まる学院の寮からも放り出されるところだった彼を、クラスメイトのアルフレッドが引き留める。
「侯爵家の私であれば、従者をひとり授業に同席させることができる」と言って。
アルフレッドの従者となったローレンス。けれどその二年後、彼らの関係は再び大きく変わることとなった。
※FANBOXからの転載です。
※他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる