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久弥からは背を向けていたから、俺のニヤけた顔が分からないだろう。こうしている間、黒崎からの返信が入って、そわそわした。
「どうして分かったの?」
「夏樹はなー。ほとんどが顔に出るからだぞーー。具合が悪い時は、上手にカモフラージュする。……心配しているんだろう。顔を見せてやれ。まだ出番を呼びに来ない。10分ぐらいは余裕だ」
「今日はやめておくよ。収録に集中しておきたいから……」
黒崎からの返信を読むと、ビデオ通話をして来いとある。だめだよと返しかけた時、久弥が指先を口元に立てて、メンバーの方を向いた。そして、緊張気味を和らげてやってくれと頼まれた。ここでも力の見せどころなのか?
(これで和むのかな?イチャついているだけに見えるけど……)
収録現場の様子を見ると、カメラ機材の調整をやっていた。大和が珈琲を飲みながら、原田さんとリズムを刻みんで、身体に浸透させていた。プレッシャーが加わっている。
ビデオ通話をかけると、数秒後に、想像以上に素敵な男性が映った。画面越しだと新鮮な気分だし、別の人にも感じるぐらいだ。
今朝と同じネクタイとシャツ姿なのに、思わず見惚れてしまった。スピーカー越しに低い声が聞こえて来たのに、生返事しか出来ない。もっとよく見たくて画面に近づいた時、はっと我に返った。意味が無いことに気づいたからだ。しかも、掛けている眼鏡が画面に当たった。
「黒崎さん、お弁当を食べ終わったの?……眼鏡がカツカツ当たったんだよ~」
「……さっき済ませた。ちらし寿司が美味かった。いつ作ったんだ?時間がかかるだろう」
「深川さんから貰った、ブレンド寿司酢を使ったんだ。具材のパウチもセットだったから、手早く作れたよ。お礼を伝えてくれるかな?」
「……開発部の新商品サンプルだ。何も教えずに、感想が聞きたかった」
「そうだったのか~。どうりで、パッケージがシンプルだと思ったよ。GOサインが出たら発売するの……。食品も出すことにしたんだね?」
「……帰った後で詳しく話す。その衣装が似合っている。……今日の帰りは迎えに行く。連絡して来い」
「りょーかい!……もう切れた」
通話を終えた後、お茶を飲んで一息ついた。少しイヤラしい目をしていたのは、脇に置いておこう。久しぶりの画面越しの黒崎からは魔力が漂い、早く会いたくなった。同じ家に帰るというのに。テーブルに置いてあった進行表で顔を仰ぎ、アイス珈琲のパックを顔に当てた。
そこまでした時、和んだ光景が広がった。悠人が早瀬さんへ電話を掛けたがっているし、大和が久弥からイジられて笑っている。原田さんがTDDのスタッフと、収録現場へ出た。撮影があるからだ。
「ゆうとー、電話を掛けたら?昼休憩だし」
「勇気がいるんだよー。会議中かもしれないし。うん、かけてみるよ……」
悠人が嬉しそうにスマホを取った。画面をタップした時、少し肩が沈んだのを見逃さなかった。悠人も体調が悪い時に隠すタイプだ。今回の事では、プレッシャーがないわけがない。両足を踏ん張っているのが分かったから、そっと背中をさすった。
「このお菓子が美味しいよ。こっちも……」
「なつきー、えーーっと」
おずおずと振り向いた顔は、照れくさそうなものだった。緊張感が強すぎて現実感がなく、たまに我に返るのだと言い出した。そして、すがりついてきた身体を受け止めた後、一緒に床へ転がり落ちてしまった。
「どうして分かったの?」
「夏樹はなー。ほとんどが顔に出るからだぞーー。具合が悪い時は、上手にカモフラージュする。……心配しているんだろう。顔を見せてやれ。まだ出番を呼びに来ない。10分ぐらいは余裕だ」
「今日はやめておくよ。収録に集中しておきたいから……」
黒崎からの返信を読むと、ビデオ通話をして来いとある。だめだよと返しかけた時、久弥が指先を口元に立てて、メンバーの方を向いた。そして、緊張気味を和らげてやってくれと頼まれた。ここでも力の見せどころなのか?
(これで和むのかな?イチャついているだけに見えるけど……)
収録現場の様子を見ると、カメラ機材の調整をやっていた。大和が珈琲を飲みながら、原田さんとリズムを刻みんで、身体に浸透させていた。プレッシャーが加わっている。
ビデオ通話をかけると、数秒後に、想像以上に素敵な男性が映った。画面越しだと新鮮な気分だし、別の人にも感じるぐらいだ。
今朝と同じネクタイとシャツ姿なのに、思わず見惚れてしまった。スピーカー越しに低い声が聞こえて来たのに、生返事しか出来ない。もっとよく見たくて画面に近づいた時、はっと我に返った。意味が無いことに気づいたからだ。しかも、掛けている眼鏡が画面に当たった。
「黒崎さん、お弁当を食べ終わったの?……眼鏡がカツカツ当たったんだよ~」
「……さっき済ませた。ちらし寿司が美味かった。いつ作ったんだ?時間がかかるだろう」
「深川さんから貰った、ブレンド寿司酢を使ったんだ。具材のパウチもセットだったから、手早く作れたよ。お礼を伝えてくれるかな?」
「……開発部の新商品サンプルだ。何も教えずに、感想が聞きたかった」
「そうだったのか~。どうりで、パッケージがシンプルだと思ったよ。GOサインが出たら発売するの……。食品も出すことにしたんだね?」
「……帰った後で詳しく話す。その衣装が似合っている。……今日の帰りは迎えに行く。連絡して来い」
「りょーかい!……もう切れた」
通話を終えた後、お茶を飲んで一息ついた。少しイヤラしい目をしていたのは、脇に置いておこう。久しぶりの画面越しの黒崎からは魔力が漂い、早く会いたくなった。同じ家に帰るというのに。テーブルに置いてあった進行表で顔を仰ぎ、アイス珈琲のパックを顔に当てた。
そこまでした時、和んだ光景が広がった。悠人が早瀬さんへ電話を掛けたがっているし、大和が久弥からイジられて笑っている。原田さんがTDDのスタッフと、収録現場へ出た。撮影があるからだ。
「ゆうとー、電話を掛けたら?昼休憩だし」
「勇気がいるんだよー。会議中かもしれないし。うん、かけてみるよ……」
悠人が嬉しそうにスマホを取った。画面をタップした時、少し肩が沈んだのを見逃さなかった。悠人も体調が悪い時に隠すタイプだ。今回の事では、プレッシャーがないわけがない。両足を踏ん張っているのが分かったから、そっと背中をさすった。
「このお菓子が美味しいよ。こっちも……」
「なつきー、えーーっと」
おずおずと振り向いた顔は、照れくさそうなものだった。緊張感が強すぎて現実感がなく、たまに我に返るのだと言い出した。そして、すがりついてきた身体を受け止めた後、一緒に床へ転がり落ちてしまった。
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