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午前8時。
今朝は外食することにした。朝ご飯のお店、マインクラフトへ到着した。駐車場がすぐ近くにあるから便利だ。お洒落な街の中にある、一軒家レストランスといった風だ。
ここの近くに、俺達がよく食事に行くリストランテ森下があるぞと、黒崎が教えてくれた。そう言われてみると、ここへ来るまでに覚えのある景色があった。全く道を覚えていない俺を見て、黒崎はイジってこない。いつも通りだと笑った。
店内に入ると、期待通りにテラス席へ案内された。木製のバルコニーのような広い場所だ。パラソルがいくつも立っていて、ここの庭も眺められる。意外に思ったのは、年配の男性のお客さんが多いことだ。もっと渋い感じの店へ行くイメージを持っていた。
「おじさんが多いね。普段着がおしゃれだね。おじさんはスーツ姿のイメージしかないよ」
「休みの日は活気のある場所で過ごしたいタイプだろう。しかも、ここは落ち着ける」
「ラーメン屋に行くイメージだよ。うちのお父さんみたいに。……飲んだ帰りに食べて来るんだ。そのせいか、人間ドックで引っかかったそうだよ。……昼ご飯もパパッとラーメンだけ。お母さんが、ランチの出前を取れって言ってもね。事務所のみんなの分も頼んでいるのに」
「……ざるそばの理屈だそうだ。食べ終わるのが速いからいいそうだ。お前の定期報告の時に話していた。もう嫌じゃないだろう?」
「ありがとう。恥ずかしいとは思わないよ」
月に一度、黒崎が実家の父へ報告書を送っている。”夏樹の記録”という。体調や大学のことだ。成績表、レポート課題の評価。TDDのスケジュール。黒崎家で起こった出来事、それに対する俺の反応を。毎回父へ報告するのは、役割分担があるからだという。
「お母さんは、まず心配するからだね。お父さんは、一歩引いた目で見るタイプだよ」
「よく似ている。お義父さんの方だぞ?」
「そんなに似ているかな。感情が先に来るのに。伊吹お兄ちゃんから、弁護士を目指さないか?って聞かれたことがあるんだ。話したっけ?お父さんからも聞かれたけど」
「お前が高校生の時に聞いた。…芸術家肌の子に意外なことを言ったもんだと思った。今なら分かる。……赤ん坊の頃から見ている人だ」
「こらこら。黒崎さーん。あんたがコンプレックスを持つのは、それこそ意外だよ。あんたも、一貴お兄ちゃんのことを見破っただろ?大人と子供の二つに分かれているって……」
不思議なことだが、現実だ。伊吹は相手のことを知るのが早い。どんなふうに暮らしてきたかではなくて、何を考えている瞬間なのかを分かっている。二葉にも2つの顔があることを見破った。子供時代に”大人の二葉”が現れた。その時の子供を置いてきて、今はたまに、”子供の二葉”が顔を出している。
黒崎家で暮らし始めた後で、二葉に違和感が起きた。一貴さんが試しに子ども扱いを続け、伊吹が弟子にした後で俺達に教えてくれた。おそらく、子供の顔とは、中学生ぐらいだと思うそうだ。黒崎とお義父さんに反抗しては、さっきは悪かったと自覚して、ウジウジしている子が出てきた。
特に困ったことは起きていない。中学生の顔の時は戦隊モノを楽しみ、一貴さんと喧嘩をして、部屋を散らかす。リアクションもすごい。大人の時は冷静沈着ぶりを発揮して、堂々とした雰囲気を持つ。
大きな問題は、どうしてそうなったのか?だ。黒崎がママのことを理解しようとすれば、そうできない事実が浮かぶ。着地点が定まらない。
「黒崎さーん。責任感が強すぎるよ。一貴お兄ちゃんみたいに、抱えきれなくなるからね。俺のことも守れないよ?」
「まったくだ。マンホールを覗いてくる」
「バーテルスさんみたいにって?あれは言い当てたねえ」
マンホールの重い蓋を開けると、薄暗くて辺りが見えづらい。その先に何があるのかな?という、好奇心を持つという話だ。
さらに話をしようとすると、モーニングセットが運ばれてきた。ぱっと見るだけでも美味しそうだ。まず先にジュースを飲んだ。ホットサンドへ視線を向けた瞬間、黒崎が笑ったから安心した。
今朝は外食することにした。朝ご飯のお店、マインクラフトへ到着した。駐車場がすぐ近くにあるから便利だ。お洒落な街の中にある、一軒家レストランスといった風だ。
ここの近くに、俺達がよく食事に行くリストランテ森下があるぞと、黒崎が教えてくれた。そう言われてみると、ここへ来るまでに覚えのある景色があった。全く道を覚えていない俺を見て、黒崎はイジってこない。いつも通りだと笑った。
店内に入ると、期待通りにテラス席へ案内された。木製のバルコニーのような広い場所だ。パラソルがいくつも立っていて、ここの庭も眺められる。意外に思ったのは、年配の男性のお客さんが多いことだ。もっと渋い感じの店へ行くイメージを持っていた。
「おじさんが多いね。普段着がおしゃれだね。おじさんはスーツ姿のイメージしかないよ」
「休みの日は活気のある場所で過ごしたいタイプだろう。しかも、ここは落ち着ける」
「ラーメン屋に行くイメージだよ。うちのお父さんみたいに。……飲んだ帰りに食べて来るんだ。そのせいか、人間ドックで引っかかったそうだよ。……昼ご飯もパパッとラーメンだけ。お母さんが、ランチの出前を取れって言ってもね。事務所のみんなの分も頼んでいるのに」
「……ざるそばの理屈だそうだ。食べ終わるのが速いからいいそうだ。お前の定期報告の時に話していた。もう嫌じゃないだろう?」
「ありがとう。恥ずかしいとは思わないよ」
月に一度、黒崎が実家の父へ報告書を送っている。”夏樹の記録”という。体調や大学のことだ。成績表、レポート課題の評価。TDDのスケジュール。黒崎家で起こった出来事、それに対する俺の反応を。毎回父へ報告するのは、役割分担があるからだという。
「お母さんは、まず心配するからだね。お父さんは、一歩引いた目で見るタイプだよ」
「よく似ている。お義父さんの方だぞ?」
「そんなに似ているかな。感情が先に来るのに。伊吹お兄ちゃんから、弁護士を目指さないか?って聞かれたことがあるんだ。話したっけ?お父さんからも聞かれたけど」
「お前が高校生の時に聞いた。…芸術家肌の子に意外なことを言ったもんだと思った。今なら分かる。……赤ん坊の頃から見ている人だ」
「こらこら。黒崎さーん。あんたがコンプレックスを持つのは、それこそ意外だよ。あんたも、一貴お兄ちゃんのことを見破っただろ?大人と子供の二つに分かれているって……」
不思議なことだが、現実だ。伊吹は相手のことを知るのが早い。どんなふうに暮らしてきたかではなくて、何を考えている瞬間なのかを分かっている。二葉にも2つの顔があることを見破った。子供時代に”大人の二葉”が現れた。その時の子供を置いてきて、今はたまに、”子供の二葉”が顔を出している。
黒崎家で暮らし始めた後で、二葉に違和感が起きた。一貴さんが試しに子ども扱いを続け、伊吹が弟子にした後で俺達に教えてくれた。おそらく、子供の顔とは、中学生ぐらいだと思うそうだ。黒崎とお義父さんに反抗しては、さっきは悪かったと自覚して、ウジウジしている子が出てきた。
特に困ったことは起きていない。中学生の顔の時は戦隊モノを楽しみ、一貴さんと喧嘩をして、部屋を散らかす。リアクションもすごい。大人の時は冷静沈着ぶりを発揮して、堂々とした雰囲気を持つ。
大きな問題は、どうしてそうなったのか?だ。黒崎がママのことを理解しようとすれば、そうできない事実が浮かぶ。着地点が定まらない。
「黒崎さーん。責任感が強すぎるよ。一貴お兄ちゃんみたいに、抱えきれなくなるからね。俺のことも守れないよ?」
「まったくだ。マンホールを覗いてくる」
「バーテルスさんみたいにって?あれは言い当てたねえ」
マンホールの重い蓋を開けると、薄暗くて辺りが見えづらい。その先に何があるのかな?という、好奇心を持つという話だ。
さらに話をしようとすると、モーニングセットが運ばれてきた。ぱっと見るだけでも美味しそうだ。まず先にジュースを飲んだ。ホットサンドへ視線を向けた瞬間、黒崎が笑ったから安心した。
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