409 / 514
25-21
しおりを挟む
控え室からバックステージに到着し、これから順番に出ていく出演者と並んで立った。和気あいあいとした笑い声が立っている。オープニングに出るのは全員だ。コラボする出演者同士で、一緒にステージに出る。俺が羽音さんの相方を務めさせてもらう。
ワーーー!
「……IKUエンタテイメント!夏のバザールを開幕いたします!」
真っ暗だったステージに水色の照明が放たれて、ドラムとベースの音が鳴り響いた。イベントの開幕を告げたのが、テレビ局のアナウンサーだ。ニュースを読む時のようなスーツ姿に、観客からの笑い交じりのブーイングが起こった。
一瞬のうちに空気を巻き込む演出に驚いた。アナウンサーさんの熟練のテクはもちろんのこと、正木プロデューサーの腕前に胸が熱くなった。
久弥は出演者のフォローという、完全な裏方担当をしている。裏と表という息の合い方にも感動した。悠人が同じことを口にした。久弥が軽く首を振っている、この辺りは話し声が聞こえづらい。
「……ワクさんの胸を借りて学んでいる最中だ。免許皆伝になったら表をやらせてもらう。俺が厳しいからだと?ワクさんの方が優しい。ゆうとー。これからはTDDの佐伯プロデューサーだぞー?あきらめろーー」
わあわあ話している二人の横で、羽音さんがスタッフと確認をし合い、スタンバイを完了した。その後すぐに、俺の背中を叩いて励ましてくれた。こういう賑やかな場所でも声が聞き取りやすい。俺の方は、ステージから背を向けて話しかけた。
「……夏樹君。ここでは声を張るな」
「……すみません。オープニングに押されました」
「悠人君が、トンカツの後でフレーズを弾く。そのタイミングで俺が歌う。それに乗せておいで。練習の通りだ」
「はい!今更ですけど。トンカツさんって、どなたのことですか?」
「聞き取れたんだね。いい調子だ。オープニングのドラムだよ。リミテッドの遠竹兼光だ。……いたたた、久弥君?どこを叩いているんだ?」
「うちの夏樹をナンパするなって。兄貴から頼まれている」
「それはそれは……」
羽音さんが肩を揺らして、俺のそばから離れた。中山クロウと対面した時にインパクトがあり、思い出すだけで笑いがこみ上げるそうだ。スタジオで一緒になった時、久弥と羽音さんが話している記憶がなくて、いつから仲がよくなったのかと不思議に思っていた。まだ聞くことができない。
するとその時だ。ステージスタッフからの合図が送られた。ドラム音の軽快なリズムが鳴り始めて、リハーサルどおりに出演者がステージへ出て行った。
ベースとギタリスト達のフレーズに重なり、ボーカルがシャウトで観客を煽った。それが一発で決まって、観客が感性と一緒に腕を振り上げた。海のように波立っている。その中には、エスニックファッションのグループがいる。
「よし!悠人!飛び込んでいくぞ!」
「トリャーー!」
悠人が久弥の手を引いてステージに登場したことで、わああっという笑いと声援が起こった。アニキ!という呼びかけが重なって聞こえて来た。
サエキサンーー!
ユートー!アニキーー!
悠人が可愛い子のイメージから、本気で”兄貴”と呼ばれるようになった。高校生や大学生のファンがメインだ。ギタリスト祭典で頑張っていた姿に感動したという声が上がっている。あの日のトゲトゲスタイルを真似している子の写真も見かけたほどだ。
ワーーー!
「……IKUエンタテイメント!夏のバザールを開幕いたします!」
真っ暗だったステージに水色の照明が放たれて、ドラムとベースの音が鳴り響いた。イベントの開幕を告げたのが、テレビ局のアナウンサーだ。ニュースを読む時のようなスーツ姿に、観客からの笑い交じりのブーイングが起こった。
一瞬のうちに空気を巻き込む演出に驚いた。アナウンサーさんの熟練のテクはもちろんのこと、正木プロデューサーの腕前に胸が熱くなった。
久弥は出演者のフォローという、完全な裏方担当をしている。裏と表という息の合い方にも感動した。悠人が同じことを口にした。久弥が軽く首を振っている、この辺りは話し声が聞こえづらい。
「……ワクさんの胸を借りて学んでいる最中だ。免許皆伝になったら表をやらせてもらう。俺が厳しいからだと?ワクさんの方が優しい。ゆうとー。これからはTDDの佐伯プロデューサーだぞー?あきらめろーー」
わあわあ話している二人の横で、羽音さんがスタッフと確認をし合い、スタンバイを完了した。その後すぐに、俺の背中を叩いて励ましてくれた。こういう賑やかな場所でも声が聞き取りやすい。俺の方は、ステージから背を向けて話しかけた。
「……夏樹君。ここでは声を張るな」
「……すみません。オープニングに押されました」
「悠人君が、トンカツの後でフレーズを弾く。そのタイミングで俺が歌う。それに乗せておいで。練習の通りだ」
「はい!今更ですけど。トンカツさんって、どなたのことですか?」
「聞き取れたんだね。いい調子だ。オープニングのドラムだよ。リミテッドの遠竹兼光だ。……いたたた、久弥君?どこを叩いているんだ?」
「うちの夏樹をナンパするなって。兄貴から頼まれている」
「それはそれは……」
羽音さんが肩を揺らして、俺のそばから離れた。中山クロウと対面した時にインパクトがあり、思い出すだけで笑いがこみ上げるそうだ。スタジオで一緒になった時、久弥と羽音さんが話している記憶がなくて、いつから仲がよくなったのかと不思議に思っていた。まだ聞くことができない。
するとその時だ。ステージスタッフからの合図が送られた。ドラム音の軽快なリズムが鳴り始めて、リハーサルどおりに出演者がステージへ出て行った。
ベースとギタリスト達のフレーズに重なり、ボーカルがシャウトで観客を煽った。それが一発で決まって、観客が感性と一緒に腕を振り上げた。海のように波立っている。その中には、エスニックファッションのグループがいる。
「よし!悠人!飛び込んでいくぞ!」
「トリャーー!」
悠人が久弥の手を引いてステージに登場したことで、わああっという笑いと声援が起こった。アニキ!という呼びかけが重なって聞こえて来た。
サエキサンーー!
ユートー!アニキーー!
悠人が可愛い子のイメージから、本気で”兄貴”と呼ばれるようになった。高校生や大学生のファンがメインだ。ギタリスト祭典で頑張っていた姿に感動したという声が上がっている。あの日のトゲトゲスタイルを真似している子の写真も見かけたほどだ。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
トェルとリィフェルの動画つくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
没落令息はクラスメイトの執着に救われる
夕月ねむ
BL
突然父親の爵位がはく奪され、帰る屋敷も家名も失ったローレンス。貴族が集まる学院の寮からも放り出されるところだった彼を、クラスメイトのアルフレッドが引き留める。
「侯爵家の私であれば、従者をひとり授業に同席させることができる」と言って。
アルフレッドの従者となったローレンス。けれどその二年後、彼らの関係は再び大きく変わることとなった。
※FANBOXからの転載です。
※他サイトにも投稿しています。
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる