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2人で端の方に寄り、カメラマンの移動の邪魔をしないようにした。しかし、こちらへ進行方向を変えた。伊吹と桜木も来ている。早瀬の方は動じている様子が無い。
「……知っていたのか?」
「ご名答!出演者全員の意思で、今夜は久弥を送り出すイベントにした。TDDメンバーと、友人たちのコラボ撮影だ。……ああー。夏樹君が到着した。困った顔をしている。あんたまで怖い顔をするな」
司会者が伊吹たちを連れて来た。さらに、夏樹が悠人から手を引かれて到着した。自然と集まる状況になった。
伊吹がアナウンサーからマイクを向けられて、暑苦しい言動を始めた。マイクなしでも聞こえてくるほどだ。カメラマンが俺達の前を往復した後、中山クロウが大型モニターに登場した。会場内の至るところから、誰だ?という声がしている。
「……中山クロウさん!佐伯久弥さんとの出会いを、お聞かせください。電子書籍の分野で活躍なさっている、中山社長の紹介だと、小耳に挟んできましたが……」
「いやー。株式会社ブロッコリーの社長本人からは、オフレコで頼むと言われていまして!ミュージシャンの弟がきっかけです。いやー、弟にクロウしていると打ち明けてよかった。お互いに弟がいる身です」
「コラボ楽曲は子守唄だそうですね?小さい頃に歌ってあげたんでしょう?」
「ええ!おかげで、歌の上手な子になりました。僕は下手くそですからね。反面教師に……。おやー?そちらにいらっしゃるのは、黒崎製菓の……。拒まれました。ははは!」
「まもなく久弥さんが到着します!ところで、隣の男性は?」
「うちのソータです!名誉なことに、久弥さんが引退された後のギタリストとして、新しいバンドの加入打診がありまして。こちらの観客さんから拍手をいただければ、今ここで加入します!その返事が出せるといいのですが……」
「なんと!さっそく聞いてみましょう!……皆さーーん!」
ワーーー!
アナウンサーが観客席へ声を張り上げた。即座に大きな拍手が返ってきた。声援が起こり、波のように波及していった。大歓声だ。アナウンサーが繰り返し質問し、その度に”YES”という声が上がった。
ステージでは、リミテッドがリズムを鳴らして盛り上げている。そこへ、久弥が登場した。スタンドマイク越しに、数か月ぶりに聞く、ハスキーな声が張り上げられた。
「……僕が打診したギタリストは、弟にクロウしている男の隣に立っている、桜木聡太郎です!オッケーーか?返事は……、ソーータで!」
オッケーー!
ソーーターー!
「……これで決定しました!ありがとうございます!ソータが入るならベースで加入する。その条件を出したメンバーがいます。……この子が須賀大和です!見たことがあるだろー?オッケーの人は、ジャンプしてください!」
観客席から伝わってくる振動に驚いたとき、夏樹が俺のそばに立った。ごめんね。急に知ったんだと言って、唇を尖らせていた。いつも隣にいる夏樹の姿だ。ステージ衣装を着ていても。
伊吹が司会者と同時にオーバーリアクションを見せた後、もう一度、久弥が大型モニターに映し出された。マイク越しに観客の意思表示を促した。
「……ありがとう!最終確認します。この決定でOKの男どもは、Tシャツを脱いで放り投げてくれー!迷惑した女性は手をあげて!警備スタッフがフォローにいきます!」
わーーー!
キャーー!
大きな歓声だ。来季のCM作りを依頼したいと思った自分は、菓子メーカー企業の人間として根を張っている。
すると、カメラマンが俺達を映した。久弥が”お友達ができました”と言い出した。どうやら伊吹と俺のことのようだ。俺は37歳でお友達ができたのか。司会者から話を振られたとき、夏樹が代わりに頷いてくれた。伊吹の悲鳴に気を取られたからだ。
ヒサヤーー!
ソーターー!
ヤマトーー!
鳴り止まない拍手に送られて、久弥がステージサイドに戻った。アナウンサーが桜木と大和にインタビューを始めたことで、伊吹が俺は放置かとブーイングをあげて笑いを取り、会場内が温かい空気に包まれた。
今夜の主役は誰なのか?その答えは出なくて構わない。
以心伝心だろうか。夏樹と顔を合わせて頷き合った。明日は何を食べようか?この場にそぐわない質問に笑うしかなかった。高揚感と心地よさの中で。
「……知っていたのか?」
「ご名答!出演者全員の意思で、今夜は久弥を送り出すイベントにした。TDDメンバーと、友人たちのコラボ撮影だ。……ああー。夏樹君が到着した。困った顔をしている。あんたまで怖い顔をするな」
司会者が伊吹たちを連れて来た。さらに、夏樹が悠人から手を引かれて到着した。自然と集まる状況になった。
伊吹がアナウンサーからマイクを向けられて、暑苦しい言動を始めた。マイクなしでも聞こえてくるほどだ。カメラマンが俺達の前を往復した後、中山クロウが大型モニターに登場した。会場内の至るところから、誰だ?という声がしている。
「……中山クロウさん!佐伯久弥さんとの出会いを、お聞かせください。電子書籍の分野で活躍なさっている、中山社長の紹介だと、小耳に挟んできましたが……」
「いやー。株式会社ブロッコリーの社長本人からは、オフレコで頼むと言われていまして!ミュージシャンの弟がきっかけです。いやー、弟にクロウしていると打ち明けてよかった。お互いに弟がいる身です」
「コラボ楽曲は子守唄だそうですね?小さい頃に歌ってあげたんでしょう?」
「ええ!おかげで、歌の上手な子になりました。僕は下手くそですからね。反面教師に……。おやー?そちらにいらっしゃるのは、黒崎製菓の……。拒まれました。ははは!」
「まもなく久弥さんが到着します!ところで、隣の男性は?」
「うちのソータです!名誉なことに、久弥さんが引退された後のギタリストとして、新しいバンドの加入打診がありまして。こちらの観客さんから拍手をいただければ、今ここで加入します!その返事が出せるといいのですが……」
「なんと!さっそく聞いてみましょう!……皆さーーん!」
ワーーー!
アナウンサーが観客席へ声を張り上げた。即座に大きな拍手が返ってきた。声援が起こり、波のように波及していった。大歓声だ。アナウンサーが繰り返し質問し、その度に”YES”という声が上がった。
ステージでは、リミテッドがリズムを鳴らして盛り上げている。そこへ、久弥が登場した。スタンドマイク越しに、数か月ぶりに聞く、ハスキーな声が張り上げられた。
「……僕が打診したギタリストは、弟にクロウしている男の隣に立っている、桜木聡太郎です!オッケーーか?返事は……、ソーータで!」
オッケーー!
ソーーターー!
「……これで決定しました!ありがとうございます!ソータが入るならベースで加入する。その条件を出したメンバーがいます。……この子が須賀大和です!見たことがあるだろー?オッケーの人は、ジャンプしてください!」
観客席から伝わってくる振動に驚いたとき、夏樹が俺のそばに立った。ごめんね。急に知ったんだと言って、唇を尖らせていた。いつも隣にいる夏樹の姿だ。ステージ衣装を着ていても。
伊吹が司会者と同時にオーバーリアクションを見せた後、もう一度、久弥が大型モニターに映し出された。マイク越しに観客の意思表示を促した。
「……ありがとう!最終確認します。この決定でOKの男どもは、Tシャツを脱いで放り投げてくれー!迷惑した女性は手をあげて!警備スタッフがフォローにいきます!」
わーーー!
キャーー!
大きな歓声だ。来季のCM作りを依頼したいと思った自分は、菓子メーカー企業の人間として根を張っている。
すると、カメラマンが俺達を映した。久弥が”お友達ができました”と言い出した。どうやら伊吹と俺のことのようだ。俺は37歳でお友達ができたのか。司会者から話を振られたとき、夏樹が代わりに頷いてくれた。伊吹の悲鳴に気を取られたからだ。
ヒサヤーー!
ソーターー!
ヤマトーー!
鳴り止まない拍手に送られて、久弥がステージサイドに戻った。アナウンサーが桜木と大和にインタビューを始めたことで、伊吹が俺は放置かとブーイングをあげて笑いを取り、会場内が温かい空気に包まれた。
今夜の主役は誰なのか?その答えは出なくて構わない。
以心伝心だろうか。夏樹と顔を合わせて頷き合った。明日は何を食べようか?この場にそぐわない質問に笑うしかなかった。高揚感と心地よさの中で。
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