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ステージは滞りなく進んでいるし、タイムスケジュール通りになっている。壁にあるカウント時計は時間を刻んでいる。トラブルが起きても、時間は過ぎていく。
大和が一文字に口を結んで頷いた。原田さんが首を振って、向こうから久弥が走ってきた。顔が引きつっている。うちのバンドの関係だと決定した。
その直後、正木さんの声がモニターから聞こえて来た。もちろんこの現場からも。ゆっくりと時間が刻んでいる。時計は6分55秒をカウントした。
「……TDDのステージをストップ。ドラム代理を探します!」
どういうことだ?原田さんがいるのに。同じくサポートドラムの古川さんもいる。両方が怪我をしたのか?体調が悪いのか?急いで原田さんの元に行くと、間髪入れずに頭を下げられたから、慌てて止めた。
「……体調が悪くなりました?」
「いや。ベテルギウス加入の契約関係の影響だ。再来月のコンサートまでに間に合わない。今夜からTDDでやれない」
「コンサート主催の関係ですか。スカイ……、ごめんなさい」
すぐに会社の名前を飲み込んだ。ここで出すと厄介だ。原田さんが掛け持ちしたバンドは、スカイレール系列の事務所に入っているから、何か邪魔された可能性がある。今は細かい契約確認ができないから、出演しないことがベストだ。
みんなで原田さんを囲んで、壁の方に連れて行った。同情であっても、視線を浴びるのが嫌だろう。ここは、リーダー役の自分が励ます。
「原田さん。これから先のことを、大切にしてください」
「ごめん。ステージが止まる。ベテルギウスさんが飛び越しでやってくれる。今、ドラムの代理を探している」
それだと、TDDの前座を務めさせることになる。自分達は、出演者総出のフィナーレで使えないか?正木さんに相談する。そして、大和の顔色がおかしいことに気づいた。布川さんから庇われるようにして、肩を抱かれている。
大和の右手の小指の下が、不自然に赤くなっていた。喧嘩をしたのか?殴ってはいない。壁にこぶしを叩きつけた跡だ。それを見ていると、植本さんから励まされた。大丈夫だぞと。
「夏樹君!TDDとベテルギウスとは仲がいいのは知られている。俺達がやらせたなら、文句は出てこない。途中で出ようか?ギターでイジってやる。今夜は祭りだ。臨機応変にいこう。久弥にぴったりだ。そうだろーー?」
「ぎゃははー。ゆうとー、アレンジを思いつけ。植本、ドラム探しの責任をとれよ」
「もちろんだ。……サラダっち、大和君。ごめんね!」
「……夏樹、何か思いついたことがあるだろう?教えてくれ」
久弥から話を振られた。ここは、はっきり提案するべき場だ。すぐに浮かんだのは、リミテッドのドラムの遠竹さんの顔だった。俺たちと同じく、IKUワイズ事務所の所属だし、久弥のステージでは息が合っていた。まっすぐに久弥のことを見つめて、この提案を口にした。
「おーし!よく言った。……”目立っていいのかな?”の呪いが解けたじゃないか。イケメンに戻ったぞ!……その遠竹君に頼んできた。風呂に入っていたのを引きずってきた。あとで礼を言いに行こう。きたきた、乾かすからなーー」
控え室フロアに背を向けていたから、久弥が軽く手を振った方を向いた。遠竹さんがドラムスティックを持って、控え室フロアの方から出てきた。
そのままステージ奥に誘導されて、ローザーさんからドライヤーをかけられ始めた。バスタオルを持った人もいる。白っぽいシャツが濃い茶色で濡れている。お風呂あがりではない。バスタオルも、その色に染まった。
俺達からの視線に気づいたのだろう。遠竹さんが笑顔で手を振ってくれた。その後、ローザーさんがドライヤーで頭を叩こうとした。それでも、負けじとこっちを向いている。和ませてくれたのだろう。
大和が一文字に口を結んで頷いた。原田さんが首を振って、向こうから久弥が走ってきた。顔が引きつっている。うちのバンドの関係だと決定した。
その直後、正木さんの声がモニターから聞こえて来た。もちろんこの現場からも。ゆっくりと時間が刻んでいる。時計は6分55秒をカウントした。
「……TDDのステージをストップ。ドラム代理を探します!」
どういうことだ?原田さんがいるのに。同じくサポートドラムの古川さんもいる。両方が怪我をしたのか?体調が悪いのか?急いで原田さんの元に行くと、間髪入れずに頭を下げられたから、慌てて止めた。
「……体調が悪くなりました?」
「いや。ベテルギウス加入の契約関係の影響だ。再来月のコンサートまでに間に合わない。今夜からTDDでやれない」
「コンサート主催の関係ですか。スカイ……、ごめんなさい」
すぐに会社の名前を飲み込んだ。ここで出すと厄介だ。原田さんが掛け持ちしたバンドは、スカイレール系列の事務所に入っているから、何か邪魔された可能性がある。今は細かい契約確認ができないから、出演しないことがベストだ。
みんなで原田さんを囲んで、壁の方に連れて行った。同情であっても、視線を浴びるのが嫌だろう。ここは、リーダー役の自分が励ます。
「原田さん。これから先のことを、大切にしてください」
「ごめん。ステージが止まる。ベテルギウスさんが飛び越しでやってくれる。今、ドラムの代理を探している」
それだと、TDDの前座を務めさせることになる。自分達は、出演者総出のフィナーレで使えないか?正木さんに相談する。そして、大和の顔色がおかしいことに気づいた。布川さんから庇われるようにして、肩を抱かれている。
大和の右手の小指の下が、不自然に赤くなっていた。喧嘩をしたのか?殴ってはいない。壁にこぶしを叩きつけた跡だ。それを見ていると、植本さんから励まされた。大丈夫だぞと。
「夏樹君!TDDとベテルギウスとは仲がいいのは知られている。俺達がやらせたなら、文句は出てこない。途中で出ようか?ギターでイジってやる。今夜は祭りだ。臨機応変にいこう。久弥にぴったりだ。そうだろーー?」
「ぎゃははー。ゆうとー、アレンジを思いつけ。植本、ドラム探しの責任をとれよ」
「もちろんだ。……サラダっち、大和君。ごめんね!」
「……夏樹、何か思いついたことがあるだろう?教えてくれ」
久弥から話を振られた。ここは、はっきり提案するべき場だ。すぐに浮かんだのは、リミテッドのドラムの遠竹さんの顔だった。俺たちと同じく、IKUワイズ事務所の所属だし、久弥のステージでは息が合っていた。まっすぐに久弥のことを見つめて、この提案を口にした。
「おーし!よく言った。……”目立っていいのかな?”の呪いが解けたじゃないか。イケメンに戻ったぞ!……その遠竹君に頼んできた。風呂に入っていたのを引きずってきた。あとで礼を言いに行こう。きたきた、乾かすからなーー」
控え室フロアに背を向けていたから、久弥が軽く手を振った方を向いた。遠竹さんがドラムスティックを持って、控え室フロアの方から出てきた。
そのままステージ奥に誘導されて、ローザーさんからドライヤーをかけられ始めた。バスタオルを持った人もいる。白っぽいシャツが濃い茶色で濡れている。お風呂あがりではない。バスタオルも、その色に染まった。
俺達からの視線に気づいたのだろう。遠竹さんが笑顔で手を振ってくれた。その後、ローザーさんがドライヤーで頭を叩こうとした。それでも、負けじとこっちを向いている。和ませてくれたのだろう。
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