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(あれは珈琲かコーラだと思う。喧嘩を止めたのかな?……大和の手は大丈夫かな?)
ぱっと大和の手を取って傷を確認すると、涙ぐんだ両目で見つめられた。痛くないそうだ。悠人がホッとした顔をしてした。本当に大丈夫だ。
「ごめん。後で皆んなに説明するよ!」
「うん。分かった。ポジショニング始めようよ!ひさやー、正木さんに伝えてくれるかな?遠竹さんに、先にお礼を言ってくるよ。……ゆうとー。大和を連れて、ステージに行ってね!」
無我夢中だと思う。冷静な佇まいをするのは無理だ。ステージ奥に行く間に、イヤモニを付け直してもらった。こういう時は遠慮しない。気を遣っている時間がない。
歩いている視界の中では、久弥が正木さんに声をかけている姿がある。このまま作業を続けてもらいながら、遠竹さんの元に到着した。そして、間髪入れずに頭を下げた。
「遠竹さん!久弥から聞きました。ステージに出て頂けると……」
「いやー、顔をあげてくれ。失敗できないだろ。はははー。EDENが好きで聴いていたから、上弦の月の天使の進行も分かる。結果オーライだ!……大和君から庇われた以上、変な演奏はしない。お礼を言うのはこっちの方だぞー。リーダーの夏樹君、イケメン顔を見せてくれ。おーっと、俺がかすむ……」
「ありがとうございます!このまま待ちます。一緒にステージに行きます。……大丈夫ですか?」
「あ、ああ。ドライヤーが熱いからだよ……」
遠竹さんの顔が真っ赤になっている。ローザーさんからの攻撃を交わしながらも、俺のことを見つめ続けるから困った。その時、イヤモニ完了、マイクセットも完了だと声をかけられた。そして、しつこいぞと、ローザーさんが遠竹さんに言った。
「こらー、トンカツ!パートナーがいる子を見つめるなって。黒崎副社長は地獄耳だぞ?」
「……夏樹君。ヴィジブルレイ時代からのファンなんだ!後で握手してくれ。自撮りを条件に引き受けたようなものだ」
「まったく……。遠竹の話は本当よ。ずっと夏樹君のファンなのよ。副社長がいるから話ができないって、ずっと喚いていてねえー」
なんとも不思議なことが起きた。先輩からファンだと言われるだなんて。嬉しいのに現実感が無いし、感動に浸る時間がない。手早く支度が進んで行き、新しいジャケットを着て準備完了になった。
正木さんに胸のマイクを通して完了を伝えて、さらに手を振って合図をした。OKという返事がきて、ローザーさんが遠竹さんの背中を軽く押した。
「おまたせしましたー。変なことをしたら、羽音さんにチクるぞ?もうデートに誘えないからなー」
「それは大丈夫だぞ。ここが終わった後で、夏樹君と会わせてもらえる話だった。……いやー、そういうことなんだ。佐伯君と羽音の両方に頼んだら、黒崎副社長も、NOとは言えないよな?いやいや、控え室にお邪魔して珈琲を飲むだけ。一対一で。……おっと、口が滑った!……夏樹君っ。行こう」
また不思議なことが起きた。遠竹さんが伊吹に似ていると思った。親しみやすさのある人でよかった。羽音さんとのデートという言葉が引っかかる。好きなのかな?ステージの方を見ると、悠人たちが戻って来ていた。
「なつきーー。ポジショニングが完了したよー」
「りょーかい。俺も行くよ……あれ?」
「……みんなー、よろしくね!」
遠竹さんが手を振りながら、3人の元に走り出したから驚いた。一貴さんにも似ていると思った。悠人が戸惑っている。大和が表情を緩めた。久弥からは、“ありがとう”というジェスチャーを受けた。さあ、出よう。5人でステージへ出発した。
ぱっと大和の手を取って傷を確認すると、涙ぐんだ両目で見つめられた。痛くないそうだ。悠人がホッとした顔をしてした。本当に大丈夫だ。
「ごめん。後で皆んなに説明するよ!」
「うん。分かった。ポジショニング始めようよ!ひさやー、正木さんに伝えてくれるかな?遠竹さんに、先にお礼を言ってくるよ。……ゆうとー。大和を連れて、ステージに行ってね!」
無我夢中だと思う。冷静な佇まいをするのは無理だ。ステージ奥に行く間に、イヤモニを付け直してもらった。こういう時は遠慮しない。気を遣っている時間がない。
歩いている視界の中では、久弥が正木さんに声をかけている姿がある。このまま作業を続けてもらいながら、遠竹さんの元に到着した。そして、間髪入れずに頭を下げた。
「遠竹さん!久弥から聞きました。ステージに出て頂けると……」
「いやー、顔をあげてくれ。失敗できないだろ。はははー。EDENが好きで聴いていたから、上弦の月の天使の進行も分かる。結果オーライだ!……大和君から庇われた以上、変な演奏はしない。お礼を言うのはこっちの方だぞー。リーダーの夏樹君、イケメン顔を見せてくれ。おーっと、俺がかすむ……」
「ありがとうございます!このまま待ちます。一緒にステージに行きます。……大丈夫ですか?」
「あ、ああ。ドライヤーが熱いからだよ……」
遠竹さんの顔が真っ赤になっている。ローザーさんからの攻撃を交わしながらも、俺のことを見つめ続けるから困った。その時、イヤモニ完了、マイクセットも完了だと声をかけられた。そして、しつこいぞと、ローザーさんが遠竹さんに言った。
「こらー、トンカツ!パートナーがいる子を見つめるなって。黒崎副社長は地獄耳だぞ?」
「……夏樹君。ヴィジブルレイ時代からのファンなんだ!後で握手してくれ。自撮りを条件に引き受けたようなものだ」
「まったく……。遠竹の話は本当よ。ずっと夏樹君のファンなのよ。副社長がいるから話ができないって、ずっと喚いていてねえー」
なんとも不思議なことが起きた。先輩からファンだと言われるだなんて。嬉しいのに現実感が無いし、感動に浸る時間がない。手早く支度が進んで行き、新しいジャケットを着て準備完了になった。
正木さんに胸のマイクを通して完了を伝えて、さらに手を振って合図をした。OKという返事がきて、ローザーさんが遠竹さんの背中を軽く押した。
「おまたせしましたー。変なことをしたら、羽音さんにチクるぞ?もうデートに誘えないからなー」
「それは大丈夫だぞ。ここが終わった後で、夏樹君と会わせてもらえる話だった。……いやー、そういうことなんだ。佐伯君と羽音の両方に頼んだら、黒崎副社長も、NOとは言えないよな?いやいや、控え室にお邪魔して珈琲を飲むだけ。一対一で。……おっと、口が滑った!……夏樹君っ。行こう」
また不思議なことが起きた。遠竹さんが伊吹に似ていると思った。親しみやすさのある人でよかった。羽音さんとのデートという言葉が引っかかる。好きなのかな?ステージの方を見ると、悠人たちが戻って来ていた。
「なつきーー。ポジショニングが完了したよー」
「りょーかい。俺も行くよ……あれ?」
「……みんなー、よろしくね!」
遠竹さんが手を振りながら、3人の元に走り出したから驚いた。一貴さんにも似ていると思った。悠人が戸惑っている。大和が表情を緩めた。久弥からは、“ありがとう”というジェスチャーを受けた。さあ、出よう。5人でステージへ出発した。
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