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トゥーディーーディーー!
興奮冷めやらぬ。久しぶりの高揚感が襲ってきた。ボーカルというフロントマンとして、何度も観客席へ両腕を広げて声をあげた。ありがとうございます。この言葉しか出てこない。
去年10月のコンサートの後は、大きなステージに立っていなかった。就任パーティーと、テレビ収録のみ出演した。だからだろうか?一番前に出る役目の感覚を忘れていた気がする。
「……ありがとうございます!この後はベテルギウスさんなので……、俺達に拍手をくださーーーい!」
オッケーーー!
ヒイイイーーー!
悠人のフレーズが観客から飛び出してきた。このまま振り返ると、悠人が思いきり狼狽えていた。ドラムセットのそばに置いてあった、ペットボトルをひっくり返したからだ。せっかく、司会者からのイジリを断れたのに。
それを見逃すファンではない。お馴染みフレーズを待っているのを感じた。それならばお手伝いをしよう。胸のマイクをオンにして、ステージサイドへ確認を取った。応答したのは正木さんだ。
「……黒崎です。何分ぐらい引っ張れますか?」
「……カップラーメン程度で!」
「……1分20秒?」
「……コンビニの温めかー?もう出ていく。任せておけ」
「……了解しました!」
このまま観客と喋っている間に、植本さんたちが登場する流れになった。乱入という形だ。それに受けて立つのは、悠人と遠竹さんだろう。
悠人をイジろう。振り向くと、悠人がペットボトルの水を片付けた。変なリアクションはしないぞと手を振った後、ガツン!と、その手が、ドラムセットの端っこに当たった。思わず声をあげた。久弥まで走って来た。
「ゆうとーー!?」
「げええええっ、スルーしろよ。あああー、植本さんまでーー」
なんてタイミングがいいのか。植本さんが出てきた。モニター画面の方を確認しながら、歓声があがる会場内の響きを全身に感じた。まったく空気が違う。
これこそが空気を巻き込むという世界だ。植本さんのギターフレーズが鳴り響いた。まずは悠人の元に行くと思ったのに、俺のそばにきた。反対方向からは、ボーカルの吉川さんもやってきた。サンドイッチになってしまう。腰が引けた。
「……こんばんはーー。ベテルギウスです!ラーメンを食べていて遅れました!」
オーーー!
観客が両腕を振り上げて応えている。ジャンプをしている人もいる。早くも地響きを感じた。喋るたびに、ドラムとベース音が盛り上げている。さらに、吉川さんから肩を抱かれた。
「……この子はナツキ君です。さっきねー、俺たちを何分待ったらいいか?って聞いて来たんです。ここの正木プロデューサーがねー、そうー、カップ麺のしあがり時間だって。……ナツキはね、食べたことがないから分からないんだ。そうだろーー?」
「……1分20秒でしょう?知っていますよ~~」
「……それは、コンビニのラーメンのこと。この子はねー、コンビニで買い物をしたことがありません。大学生協のコーヒー牛乳ぐらい。大学生なのにな?」
「……学食で食べていますし、基本的に家で食事をするので。どこで買い物をするのか?……セイキュー自然派の宅配で買っています」
「……こらこらー。誤魔化すのはいけないな!コンビニで、チョコレートを買ったことがないだろう?」
「……苦手なんですよ。トラのユーリは買っていますよ?クッキーが好きだから。……うっうっ」
シャルロットという声があがった。笑い声つきだ。ついでに、ナツキを泣かすなという雄たけびまでもらった。
ダダ……、ダダダダーー!
ベテルギウスの楽曲のリズムが刻まれ始めた。久弥がそばに来て、このまま喋ってくれと耳打ちされた。大和と悠人が笑っているから安心した。
ドラムのリズムがハードなものに変わった。聴いただけで誰なのか分かる。このままだと泣きそうだ。ストールで汗を拭くふりをしたら、吉川さんからアイコンタクトを受けた。それに頷いて、観客に手を振りながらステージサイドに向かった。
大型モニターには俺の姿が出て、原田さんと遠竹さんのアップになった。並びあって叩いているのか。俺は悠人達と合流して肩を叩きあった。
「……新メンバーの原田です!サラダっち。トンカツとセットでーーす!」
キャーーー!
吉川さんの、ドスの利いたボーカルが始まった。ステージが赤い色に染まり、4か所からスモークが上がった。俺達の姿が隠れたから、ステージサイドを目指して、カッコよく移動できた。
興奮冷めやらぬ。久しぶりの高揚感が襲ってきた。ボーカルというフロントマンとして、何度も観客席へ両腕を広げて声をあげた。ありがとうございます。この言葉しか出てこない。
去年10月のコンサートの後は、大きなステージに立っていなかった。就任パーティーと、テレビ収録のみ出演した。だからだろうか?一番前に出る役目の感覚を忘れていた気がする。
「……ありがとうございます!この後はベテルギウスさんなので……、俺達に拍手をくださーーーい!」
オッケーーー!
ヒイイイーーー!
悠人のフレーズが観客から飛び出してきた。このまま振り返ると、悠人が思いきり狼狽えていた。ドラムセットのそばに置いてあった、ペットボトルをひっくり返したからだ。せっかく、司会者からのイジリを断れたのに。
それを見逃すファンではない。お馴染みフレーズを待っているのを感じた。それならばお手伝いをしよう。胸のマイクをオンにして、ステージサイドへ確認を取った。応答したのは正木さんだ。
「……黒崎です。何分ぐらい引っ張れますか?」
「……カップラーメン程度で!」
「……1分20秒?」
「……コンビニの温めかー?もう出ていく。任せておけ」
「……了解しました!」
このまま観客と喋っている間に、植本さんたちが登場する流れになった。乱入という形だ。それに受けて立つのは、悠人と遠竹さんだろう。
悠人をイジろう。振り向くと、悠人がペットボトルの水を片付けた。変なリアクションはしないぞと手を振った後、ガツン!と、その手が、ドラムセットの端っこに当たった。思わず声をあげた。久弥まで走って来た。
「ゆうとーー!?」
「げええええっ、スルーしろよ。あああー、植本さんまでーー」
なんてタイミングがいいのか。植本さんが出てきた。モニター画面の方を確認しながら、歓声があがる会場内の響きを全身に感じた。まったく空気が違う。
これこそが空気を巻き込むという世界だ。植本さんのギターフレーズが鳴り響いた。まずは悠人の元に行くと思ったのに、俺のそばにきた。反対方向からは、ボーカルの吉川さんもやってきた。サンドイッチになってしまう。腰が引けた。
「……こんばんはーー。ベテルギウスです!ラーメンを食べていて遅れました!」
オーーー!
観客が両腕を振り上げて応えている。ジャンプをしている人もいる。早くも地響きを感じた。喋るたびに、ドラムとベース音が盛り上げている。さらに、吉川さんから肩を抱かれた。
「……この子はナツキ君です。さっきねー、俺たちを何分待ったらいいか?って聞いて来たんです。ここの正木プロデューサーがねー、そうー、カップ麺のしあがり時間だって。……ナツキはね、食べたことがないから分からないんだ。そうだろーー?」
「……1分20秒でしょう?知っていますよ~~」
「……それは、コンビニのラーメンのこと。この子はねー、コンビニで買い物をしたことがありません。大学生協のコーヒー牛乳ぐらい。大学生なのにな?」
「……学食で食べていますし、基本的に家で食事をするので。どこで買い物をするのか?……セイキュー自然派の宅配で買っています」
「……こらこらー。誤魔化すのはいけないな!コンビニで、チョコレートを買ったことがないだろう?」
「……苦手なんですよ。トラのユーリは買っていますよ?クッキーが好きだから。……うっうっ」
シャルロットという声があがった。笑い声つきだ。ついでに、ナツキを泣かすなという雄たけびまでもらった。
ダダ……、ダダダダーー!
ベテルギウスの楽曲のリズムが刻まれ始めた。久弥がそばに来て、このまま喋ってくれと耳打ちされた。大和と悠人が笑っているから安心した。
ドラムのリズムがハードなものに変わった。聴いただけで誰なのか分かる。このままだと泣きそうだ。ストールで汗を拭くふりをしたら、吉川さんからアイコンタクトを受けた。それに頷いて、観客に手を振りながらステージサイドに向かった。
大型モニターには俺の姿が出て、原田さんと遠竹さんのアップになった。並びあって叩いているのか。俺は悠人達と合流して肩を叩きあった。
「……新メンバーの原田です!サラダっち。トンカツとセットでーーす!」
キャーーー!
吉川さんの、ドスの利いたボーカルが始まった。ステージが赤い色に染まり、4か所からスモークが上がった。俺達の姿が隠れたから、ステージサイドを目指して、カッコよく移動できた。
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