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ヒーローになった時の早瀬は、こんなことを口にしていた。”好きでやっていない。本当は自由になりたい”のだと。クランの時は遠慮なしに要求を口にして、俺のことを驚かせていた。今の早瀬は揺れ動いていないから大丈夫だ。
「悠人君。俺は強引なことをしていく。圭一さんを説得する。あくまでも、ギタリストの悠人を応援する目的だ。夏樹君のことも応援する。……喧嘩はしないぞ?何も敵対する話じゃない。縺れた部分をほどいて、一つ一つ確認して話し合いを進める」
「俺は何ができるの?夏樹のことをフォローするのは任せてよ!」
「無理をしないことだ。一年間でどれだけ成長したのか、それを見せるためのバンドだ」
「裕理さん……」
どうしよう。早瀬が悲しい目をした。佐久弥のことを考えているのだろう。辞めるかやめないかの岐路に立った頃を思い出しているように見える。佐久弥が遊びに来たとき、2人が並んで話しているのを何度も見た。親友だと思える。蔵之介さんが入ると、子供同士が喋っていると錯覚した時もある。そんな相手が立ち上げたバンドだ。
「蔵之介さん経由じゃなくても構わない。今から佐久弥に電話をかけて話したら?そうしないから引っかかっているだろ?」
「……鋭い子になったね?」
「もうー。茶化すなよ。俺がバンドに参加するのは問題なしだよ。黒崎さんが反対するなら、今日も出席させないはずだってば。だったら、他のことで引っかかっているよね?今は聞かないよ……」
早瀬の背中にすがりついた。わざわざ嫌わせるな。嫌いにならない。全部俺のためにやっていることだと宣言したじゃないか。思いつく限りの言葉をかけた。
するとその時だ。テレビ画面に映ったキャラクターに目を奪われた。ネコのミルティーだ。株式会社ミユー企画が生んだ人気キャラクターであり、沢山のグッズが出ている。高校生ぐらいまでの女の子を中心に人気だ。母が経営しているミユー企画という会社が出しているキャラクターだ。母はミルティーの生みの親でもある。
朝の情報番組のニュースで伝えられたのは、大手アパレルメーカーとの提携で、ミルティーのTシャツを発売するという話だ。遊園地のトリンドランド内でも取り扱い開始予定だという。いいニュースだ。
「すごいなあ。プラセルコーポレーションと提携するんだってさ!」
「そうか。お母さんは頑張ったなあ。……さあ、夏樹へラインを送りなさい。それから食事をしよう。卵焼きが固くなるぞ」
早瀬から肩を抱かれてキッチンへ促された。母からは週に一度のペースでラインが入るが、今回の話はなかった。仕事として線を引いているのだろう。プロジェクトのメンバーに選ばれた話はしていない。IKUに所属したことは伝えている。正式に決まった後で、会いに行こうと思っている。
(夏樹にどう送ろうかな。……IKUへ行こうよ。佐久弥とサポーターメンバーが待っているよ。……送信)
胸がチクっと痛くなった。早瀬こそ罪悪感を持っている。俺の方が沈んでいるわけにはいかない。そっと見上げて抱きつくと、心配することはないと囁かれた。もう一度見上げると、くすくす笑っていた。これで圭一さんから苛められることが決定したと言い出した。
「何も心配するな。これでもひと回り年上の男だ」
「分かっているよ。お母さんにもラインを送らなきゃ。ニュースを見たよって……」
「提携の話はよかった。今日は頑張れ」
「うん!ありがとう。頑張るよ。こういう事しか言えないけど」
「十分だ。悠人……」
ぎゅうっと抱きついた後、頬へキスをされた。背中に回された両腕の力が強くて痛くなった。バタバタして離れようとすると、さらに力を込められて、ブルーキックで逃れた。それでもまた捕まって抱きしめられた。
そして、愛しているという言葉を貰った。ありがとう。俺もだよ。そう言いたいのに恥ずかしいから、抱きつくことで気持ちを伝えた。
「悠人君。俺は強引なことをしていく。圭一さんを説得する。あくまでも、ギタリストの悠人を応援する目的だ。夏樹君のことも応援する。……喧嘩はしないぞ?何も敵対する話じゃない。縺れた部分をほどいて、一つ一つ確認して話し合いを進める」
「俺は何ができるの?夏樹のことをフォローするのは任せてよ!」
「無理をしないことだ。一年間でどれだけ成長したのか、それを見せるためのバンドだ」
「裕理さん……」
どうしよう。早瀬が悲しい目をした。佐久弥のことを考えているのだろう。辞めるかやめないかの岐路に立った頃を思い出しているように見える。佐久弥が遊びに来たとき、2人が並んで話しているのを何度も見た。親友だと思える。蔵之介さんが入ると、子供同士が喋っていると錯覚した時もある。そんな相手が立ち上げたバンドだ。
「蔵之介さん経由じゃなくても構わない。今から佐久弥に電話をかけて話したら?そうしないから引っかかっているだろ?」
「……鋭い子になったね?」
「もうー。茶化すなよ。俺がバンドに参加するのは問題なしだよ。黒崎さんが反対するなら、今日も出席させないはずだってば。だったら、他のことで引っかかっているよね?今は聞かないよ……」
早瀬の背中にすがりついた。わざわざ嫌わせるな。嫌いにならない。全部俺のためにやっていることだと宣言したじゃないか。思いつく限りの言葉をかけた。
するとその時だ。テレビ画面に映ったキャラクターに目を奪われた。ネコのミルティーだ。株式会社ミユー企画が生んだ人気キャラクターであり、沢山のグッズが出ている。高校生ぐらいまでの女の子を中心に人気だ。母が経営しているミユー企画という会社が出しているキャラクターだ。母はミルティーの生みの親でもある。
朝の情報番組のニュースで伝えられたのは、大手アパレルメーカーとの提携で、ミルティーのTシャツを発売するという話だ。遊園地のトリンドランド内でも取り扱い開始予定だという。いいニュースだ。
「すごいなあ。プラセルコーポレーションと提携するんだってさ!」
「そうか。お母さんは頑張ったなあ。……さあ、夏樹へラインを送りなさい。それから食事をしよう。卵焼きが固くなるぞ」
早瀬から肩を抱かれてキッチンへ促された。母からは週に一度のペースでラインが入るが、今回の話はなかった。仕事として線を引いているのだろう。プロジェクトのメンバーに選ばれた話はしていない。IKUに所属したことは伝えている。正式に決まった後で、会いに行こうと思っている。
(夏樹にどう送ろうかな。……IKUへ行こうよ。佐久弥とサポーターメンバーが待っているよ。……送信)
胸がチクっと痛くなった。早瀬こそ罪悪感を持っている。俺の方が沈んでいるわけにはいかない。そっと見上げて抱きつくと、心配することはないと囁かれた。もう一度見上げると、くすくす笑っていた。これで圭一さんから苛められることが決定したと言い出した。
「何も心配するな。これでもひと回り年上の男だ」
「分かっているよ。お母さんにもラインを送らなきゃ。ニュースを見たよって……」
「提携の話はよかった。今日は頑張れ」
「うん!ありがとう。頑張るよ。こういう事しか言えないけど」
「十分だ。悠人……」
ぎゅうっと抱きついた後、頬へキスをされた。背中に回された両腕の力が強くて痛くなった。バタバタして離れようとすると、さらに力を込められて、ブルーキックで逃れた。それでもまた捕まって抱きしめられた。
そして、愛しているという言葉を貰った。ありがとう。俺もだよ。そう言いたいのに恥ずかしいから、抱きつくことで気持ちを伝えた。
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