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……なつき君、こっちだよーー!
……ゆうと君、右に三歩、オーケーー!
これからラストの撮影に入る。白い檻を蹴り倒すシーンだ。離れた位置にスタッフが、細長い板を持って立っている。それを目標にしてキックをする。
夏樹が日本舞踊の形を取って立った。ヘソを右へ向けるイメージだ。女形は角度をつけて立っている。正面を向くのは男だ。檻を蹴り倒した直後に正面を向く。女性的から男性的に変化する仕掛けだ。
夏樹が一点を見つめて立った。あえて大ぶりのアクションを心掛けよう。仙頭さんの合図の後、大きく足を振り上げた。夏樹も同じようにした。
「ナツキーー、いいよーーー」
「いくよーーーバーーーンと!!」
「トリャーーーー!」
お互いに掛け声をあげて、イメージの中の白い檻を蹴り倒した。全く同じタイミングだったからスタッフから歓声が上がり、俺も驚きの声をあげた。
「オッケーーー!」
「ワーーーー!
監督からの、OK!という声がスタジオ内に響き渡った。まるでスロー再生の動画の中にいるような錯覚が起きた時に、一斉に歓声と拍手が起きた。
「やったーーー!」
「わあーー!」
「おつかれーーー!」
佐久弥とハイタッチをした。仙頭さんがみんなの姿をカメラに収めている。すると、黒崎さんが早足でやって来た。強張った顔をしている。
(……どうしたんだろう?)
周りから悲鳴が上がった。何かが起きたと分かって振り返ると、スタッフが顔を引きつらせて動いていた。夏樹が姿勢を崩して、そのまま床に倒れ込みそうになったからだ。
「なつきーー!……いたっ」
とっさに伸ばした右手に痛みが走った。さらに夏樹の身体が崩れ落ちていく。自分のそばを人影が通り過ぎ、彼の身体を抱き受けた。それは黒崎さんだった。
一番近くにいたのは俺なのに。右手の痛みに怯んでしまった。床に倒れて怪我をしたかもしれないのに。
夏樹が俺の方を見た。ごめん。そうつぶやかれた。俺の方こそだ。俺は自分を大事にした結果、夏樹のことを引きずり回したのかな?きっとそうだ。青白い顔をした親友を見ても、涙しか出なかった。
……ゆうと君、右に三歩、オーケーー!
これからラストの撮影に入る。白い檻を蹴り倒すシーンだ。離れた位置にスタッフが、細長い板を持って立っている。それを目標にしてキックをする。
夏樹が日本舞踊の形を取って立った。ヘソを右へ向けるイメージだ。女形は角度をつけて立っている。正面を向くのは男だ。檻を蹴り倒した直後に正面を向く。女性的から男性的に変化する仕掛けだ。
夏樹が一点を見つめて立った。あえて大ぶりのアクションを心掛けよう。仙頭さんの合図の後、大きく足を振り上げた。夏樹も同じようにした。
「ナツキーー、いいよーーー」
「いくよーーーバーーーンと!!」
「トリャーーーー!」
お互いに掛け声をあげて、イメージの中の白い檻を蹴り倒した。全く同じタイミングだったからスタッフから歓声が上がり、俺も驚きの声をあげた。
「オッケーーー!」
「ワーーーー!
監督からの、OK!という声がスタジオ内に響き渡った。まるでスロー再生の動画の中にいるような錯覚が起きた時に、一斉に歓声と拍手が起きた。
「やったーーー!」
「わあーー!」
「おつかれーーー!」
佐久弥とハイタッチをした。仙頭さんがみんなの姿をカメラに収めている。すると、黒崎さんが早足でやって来た。強張った顔をしている。
(……どうしたんだろう?)
周りから悲鳴が上がった。何かが起きたと分かって振り返ると、スタッフが顔を引きつらせて動いていた。夏樹が姿勢を崩して、そのまま床に倒れ込みそうになったからだ。
「なつきーー!……いたっ」
とっさに伸ばした右手に痛みが走った。さらに夏樹の身体が崩れ落ちていく。自分のそばを人影が通り過ぎ、彼の身体を抱き受けた。それは黒崎さんだった。
一番近くにいたのは俺なのに。右手の痛みに怯んでしまった。床に倒れて怪我をしたかもしれないのに。
夏樹が俺の方を見た。ごめん。そうつぶやかれた。俺の方こそだ。俺は自分を大事にした結果、夏樹のことを引きずり回したのかな?きっとそうだ。青白い顔をした親友を見ても、涙しか出なかった。
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