婚約破棄されたけど、妹と幼馴染が優しすぎる件

1話 婚約破棄

「はあ～～～～憂鬱だわ……」

「姉さん、どうかしたの？」


　私の名前は、ウェルナ・バーク　17歳。ジェリー王国の子爵令嬢になる。隣に立っている人物は、私の妹のラーナ・バーク　16歳。同じく子爵令嬢なんだけど、なんとなんと王太子殿下のハートを射止めた強者なの。まだ、その事実を知る人はほとんどいないけれどね。


　まあ、私だって伯爵令息であるセドル・ブロークンと婚約はしたんだけれど……。先ほど、婚約破棄されたの……でも、妹には言い出しづらい……。


「姉さん、何があったの？　私は姉さんの味方でしょ？　お願い、話してくれない？」

「ラーナ……」


　ああ、私の可愛い妹……貴族なのに、料理も家事も人付き合いも行える庶民派。何でもできるのに、決して偉ぶりもしない。そういうところが、王太子殿下に気に入られたのかもしれないわね。私のことを、とても心配してくれているのだと分かる。


「えっと、実はね……かくがくしかじかで……」


　現在、私達が居るのは屋敷の廊下。誰にも聞かれないように、私の部屋に移動することになった……。




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　私はセドルに呼ばれたんだけれど……彼は他に好きな人が出来たからという理由で、私と別れると言い出した。自分は伯爵令息だから、私よりも位が高いと。それをする権利、後から文句など言わせないと……。つまり、私は文句の一つを言う間もなく、セドルから一方的に振られたということになる……。


　とりあえず、ところどころを端折りながら、ラーナには説明をした。すると……いつもは非常に愛嬌のあるラーナの表情がみるみる変化していく……。


「へえ……そんなことがあったのね……なるほどなるほど……」

「あの、ラーナ……？」


　いつもはとても可愛い妹なんだけれど……現在のラーナは近づくのも怖い……そんな顔をしている。何より、雰囲気が怖すぎる……！


「姉さん、ごめんね？　私、急用ができちゃった。出かけてくる」

「ど、どこに行くの？」

「王太子殿下のところへ、少々……私、婚約者ですので」

「は、はあ……」


　ラーナの雰囲気から言わせると、単に王太子殿下に会いたくなったから、というわけではなさそうね……。私はこれから起こる出来事について、まだまだ考えは及んでいなかった……。