婚約破棄されたけど、妹と幼馴染が優しすぎる件

安奈

文字の大きさ
27 / 30

27話 元老院 その2

しおりを挟む
 セドルとシャズナの二人は……島流しの可能性も出て来たわけで。


「あ、あんたなんかと組んだおかげで、私の人生、真っ暗よ……!」


 シャズナは座り込みながら、涙を流している。こうして言うと聞こえはいいけれど、最早、誰も救いの手を差し伸べないのがシュールだった。


「くそ……! くそ……!」


 セドルもとうとう観念したのか、シャズナと同じく座り込み、小刻みに震えている。ウイング王太子殿下は、そんな二人を見ながら話し始めた。


「まあ、終身刑にならんだけマシやないか。しっかり労働して真人間になれよ? お前らみたいなのに上に立たれるのは、国民からしても嫌やろうからな」

「……!」


 たっぷり皮肉の聞いた王太子殿下の発言に、セドルは拳を握りしめていた。護衛が立ち塞がっているので無理だけれど、ここで王太子殿下を襲おうものなら、それこそ処刑されてしまうかもしれないわ。

 もしかしたら、それを狙って王太子殿下は発言したのかもしれないけれど……。彼の軽い舌打ちがそれを物語っているよううだった。怖い……なぜか、私も緊張してしまっていた。



-----------------------------------------------



 セドルとシャズナの二人は護衛に連れて行かれ、私達もアルバ様と別れて会議室を後にした。なんていうか、単に見学をしに来ただけだったわね……まあ、楽しかったからいいけれど。


「ええと、この後、どうしましょうか……?」


 暇を持て余してしまった私は、皆に問いかけてみた。せっかく集まったのに、このまま帰るだけではなんとなく寂しい。


「そうだね……よければ、ウェルナ。僕と食事でもどうかな?」

「えっ? ルーク……?」


 このタイミングでのデートの誘いかしら? 嬉しいことなんだけれど、タイミングがよくなかった……。


「姉さんは、今日は帰って来ないと……なるほどなるほど。メモメモっと……」

「あかんでぇ、ウェルナちゃん? 男はマジでワイルドビーストやねんからな? いくら公爵令息のルーク君でもあかんあかん。気を付けないとな?」


「ちょ、ちょっと……どういう意味ですか……!!」


「なにを言ってるんですか、王太子殿下……!」


 息がピッタリのウイング王太子殿下とその婚約者ラーナからのやっかみ……? やっかみというよりは、からかい半分なだけな気もするけれど……私とルークは顔を赤くして二人に突っかかっていた。
しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『偽者を信じて本物を婚約破棄追放するような国は滅びればいいのです。』  ブートル伯爵家の令嬢セシリアは不意に婚約者のルドルフ第三王子に張り飛ばされた。華奢なセシリアが筋肉バカのルドルフの殴られたら死の可能性すらあった。全ては聖女を自称する虚栄心の強い従姉コリンヌの仕業だった。公爵令嬢の自分がまだ婚約が決まらないのに、伯爵令嬢でしかない従妹のセシリアが第三王子と婚約しているのに元々腹を立てていたのだ。そこに叔父のブートル伯爵家ウィリアムに男の子が生まれたのだ。このままでは姉妹しかいないウィルブラハム公爵家は叔父の息子が継ぐことになる。それを恐れたコリンヌは筋肉バカのルドルフを騙してセシリアだけでなくブートル伯爵家を追放させようとしたのだった。

婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】

恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。 果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

処理中です...