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旅立ち
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城を出た俺は、リリア様が住んでいる屋敷へと向かう。
それにしてもリリア様が横領だなんて。にわかには信じられないことだ。
俺は五年前に助けてもらった時、一度だけしか話したことはない。だけど時折、リリア様が孤児に炊き出しをしている姿は何度か見かけたことはある。
その時のリリア様はとても優しい笑顔をしていて、悪いことをしているようには見えなかった。
とにかく今はリリア様のことが心配だ。
俺は王城から南西方向にあるリリア様の屋敷へと、急ぎ向かうのだった。
「これは⋯⋯」
リリア様の屋敷に到着すると、そこには大勢の兵士の姿が見えた。
確かに普段からリリア様の警護で、数人の兵士がいることはある。だけど今はその数倍の兵士がいた。
「ちょっといいですか?」
俺は屋敷の入口に見知った人がいたので話しかける。
「おお、ユートじゃないか。あれ? お前は今日、城の警護だったよな」
この人は同僚のホーマスさん。俺より少し年上で面倒見のいい人だ。
「え~と⋯⋯ちょっと体調が悪くなって。それよりこの騒ぎはいったい⋯⋯聖女様はどちらにいらっしゃるのですか?」
「ユートも城にいたなら知ってるだろ? 聖女様の婚約破棄と横領の件を」
「ええ⋯⋯でも聖女様が横領をするなんて信じられないです」
「俺もそう思ってたさ。あの方は偉い立場にあるのに、俺達みたいなただの兵士にも優しかったからな。だが屋敷の中から大量の金貨が見つかったんだ」
やはり城で聞いた話は本当だったのか。だけどリリア様が言うにはそれは治療のお礼にと置いていった金だ。
ろくに調べもせず、リリア様の言い分も聞かずに悪いと決めつけるのはどうかと思う。
いくら王族が言ったからといって、早計ではないか?
もしかして聖女様は嵌められたんじゃ。
だけどそれを俺が口にしても、どうにも出来ない。
今はリリア様の行方を確認するのが優先だ。
「それで聖女様はどこへ?」
「少ない荷物を持って、馬車に乗せられていたな。西門の方へ向かって行ったから、おそらくサレン公国へ向かったんじゃないか」
俺はホーマスさんの言葉を聞いて、すぐさまこの場を離れる。
「お、おい! 走っていいのか? 体調が悪かったんじゃないのか!」
「大丈夫です! 教えてくれてありがとうございました」
背後から聞こえる声に返答し、俺は急ぎ自宅へと戻る。
「確かにここから一番近いのはサレン公国だけど⋯⋯」
レガーリア王国は三つの国に囲まれている。その中でもサレン公国は他の二つの国と比べて、治安が悪く魔物の数も多いと聞いている。そしてレガーリア王国と友好的な国ではないため、もし一人で公国に送られたら、どんな目に遭うか想像に容易い。
王都から公国まで徒歩で三日程かかる。しかもリリア様は馬車で連れて行かれた。急いで追いかけないと取り返しのつかないことになってしまう。
そして自宅に到着すると手早く旅支度を済ませる。
お世辞にも綺麗とはいえないけど、生まれてから十五年住んだ家だから愛着はある。
だけどこの家には、俺しかいない。
三年前流行り病で父さんと母さんは亡くなってしまったのだ。
だからではないが、心置きなくリリア様を追うことができる。
俺は命を救ってもらった恩人には必ず報いよと育てられてきた。
きっと俺の選択を両親は応援してくれるだろう。
だからこの家から出ることになっても許してくれるよな。
そして俺はこの家で過ごした思い出を胸に、サレン公国へと向かうのであった。
それにしてもリリア様が横領だなんて。にわかには信じられないことだ。
俺は五年前に助けてもらった時、一度だけしか話したことはない。だけど時折、リリア様が孤児に炊き出しをしている姿は何度か見かけたことはある。
その時のリリア様はとても優しい笑顔をしていて、悪いことをしているようには見えなかった。
とにかく今はリリア様のことが心配だ。
俺は王城から南西方向にあるリリア様の屋敷へと、急ぎ向かうのだった。
「これは⋯⋯」
リリア様の屋敷に到着すると、そこには大勢の兵士の姿が見えた。
確かに普段からリリア様の警護で、数人の兵士がいることはある。だけど今はその数倍の兵士がいた。
「ちょっといいですか?」
俺は屋敷の入口に見知った人がいたので話しかける。
「おお、ユートじゃないか。あれ? お前は今日、城の警護だったよな」
この人は同僚のホーマスさん。俺より少し年上で面倒見のいい人だ。
「え~と⋯⋯ちょっと体調が悪くなって。それよりこの騒ぎはいったい⋯⋯聖女様はどちらにいらっしゃるのですか?」
「ユートも城にいたなら知ってるだろ? 聖女様の婚約破棄と横領の件を」
「ええ⋯⋯でも聖女様が横領をするなんて信じられないです」
「俺もそう思ってたさ。あの方は偉い立場にあるのに、俺達みたいなただの兵士にも優しかったからな。だが屋敷の中から大量の金貨が見つかったんだ」
やはり城で聞いた話は本当だったのか。だけどリリア様が言うにはそれは治療のお礼にと置いていった金だ。
ろくに調べもせず、リリア様の言い分も聞かずに悪いと決めつけるのはどうかと思う。
いくら王族が言ったからといって、早計ではないか?
もしかして聖女様は嵌められたんじゃ。
だけどそれを俺が口にしても、どうにも出来ない。
今はリリア様の行方を確認するのが優先だ。
「それで聖女様はどこへ?」
「少ない荷物を持って、馬車に乗せられていたな。西門の方へ向かって行ったから、おそらくサレン公国へ向かったんじゃないか」
俺はホーマスさんの言葉を聞いて、すぐさまこの場を離れる。
「お、おい! 走っていいのか? 体調が悪かったんじゃないのか!」
「大丈夫です! 教えてくれてありがとうございました」
背後から聞こえる声に返答し、俺は急ぎ自宅へと戻る。
「確かにここから一番近いのはサレン公国だけど⋯⋯」
レガーリア王国は三つの国に囲まれている。その中でもサレン公国は他の二つの国と比べて、治安が悪く魔物の数も多いと聞いている。そしてレガーリア王国と友好的な国ではないため、もし一人で公国に送られたら、どんな目に遭うか想像に容易い。
王都から公国まで徒歩で三日程かかる。しかもリリア様は馬車で連れて行かれた。急いで追いかけないと取り返しのつかないことになってしまう。
そして自宅に到着すると手早く旅支度を済ませる。
お世辞にも綺麗とはいえないけど、生まれてから十五年住んだ家だから愛着はある。
だけどこの家には、俺しかいない。
三年前流行り病で父さんと母さんは亡くなってしまったのだ。
だからではないが、心置きなくリリア様を追うことができる。
俺は命を救ってもらった恩人には必ず報いよと育てられてきた。
きっと俺の選択を両親は応援してくれるだろう。
だからこの家から出ることになっても許してくれるよな。
そして俺はこの家で過ごした思い出を胸に、サレン公国へと向かうのであった。
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