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魔力測定
「大丈夫よ」
ステラさんの手が俺の手に重なる。
剣を抜くなということだろう。
ステラさんも殺気に気づいていると思うが、大丈夫とはどういうことだ?
「ディック! 出てきなさい」
ステラさんは背後に向かって声を上げる。
すると廊下の曲がり角から、一人の青年が姿を見せた。
「ふっ⋯⋯俺の殺気に気づくとはやるじゃねえか」
ディックと呼ばれた青年は、悪びれもない言葉を吐きながら、こちらに向かって歩いてくる。
そして数メートル先で止まると、まるで値踏みをするような目を向けてきた。
「国が大変な時に城を飛び出すとは⋯⋯王女としての自覚がないのではありませんか?」
ディックはティセリアに苦言を呈す。
ん? 何でティセリアが城の外に出たのか知らないのか? ということは、このディックとかいう男に女神様のお告げについて教えていないということか。
「ステラ、止めるのが側近であるお前の仕事だぞ。ティセリア王女と一緒になって、国を乱す行為をしてどうする」
「私のことは何を言っても構わないが、ティセリア様に無礼な口を聞くことは許しませんよ」
「おお~恐々。今にも剣を抜きそうだな」
ディックはおどけた様子でステラさんをあしらう。
「そんな態度で本当に剣を抜かれても知らないぞ」
俺は本人に聞こえないようにボソッと呟いた。するとステラさんには聞こえたのか、返答が返って来た。
「ディックはかなりの実力者です。私の連撃を堪えた数少ない人物の内の一人で……悔しいですが」
なん……だと……
俺が体勢を崩して何とか止めたステラさんの連撃を!?
もしかしたらこのディックとかいう男は俺より強いかもしれない。
年齢も近そうだし、何だかライバル心が湧いてしまうな。
そんなことを考えていたら、ディックがギロリとこちらを睨んできた。
「しかもこいつは誰だ? どこの馬の骨ともわからない者を城に入れるとは……それほど価値がある男ってことか?」
「その通りです」
ティセリアが頷くと、何故かディックは笑みを浮かべた。
「それなら何が出来るか知りたいものだ」
俺の価値? それなら剣術だ、と口にしようとしたが、ステラさんに止められる。
「私の見立てだと二人の剣の腕は互角⋯⋯いえ、時と場合によってはユクトは負けるかもしれません」
「そうなのか」
さすがはステラさんの連撃を堪えただけはある。ディックが剣に自信があるなら、もし俺が剣が得意だと口にしたら、決闘になる可能性がある。
万が一でも負ければ、ティセリアの顔に泥を塗ることになってしまう。
これは不用意なことは言えないな。
「では、誰もがわかるその価値を見せてもらおうか⋯⋯おい」
ディックが近くにいる兵士に何か伝えると、兵士はこの場を離れていった。そして数分ほど経つとその兵士は戻ってきたが、何やら手に野球ボールくらいの水晶を持っていた。
「なるほど。それは私も気になりますね」
「どういうこと?」
ステラさんが気になることって何だ? あの水晶が関係あるのか? 俺には全くわからないぞ。
「あれは魔力を測定出来る魔道具ですね。希少な物なので、ユクトが知らないのも無理はありません」
「あれで魔力の測定が出来るのか?」
魔道具⋯⋯初めて聞く言葉だな。
推測するに魔法が関係している道具ってことか?
「ええ⋯⋯人が魔力測定クオーツに触れると光る仕組みになっています。光が強ければ強いほど魔力が高い証明となります」
「便利な魔道具だな」
「そして光る色で属性の判別が出来ます。一般的に火属性なら赤、水属性なら青、土属性なら茶色、風属性なら緑、光属性なら黄色、闇属性なら黒になります。魔法はこの属性を持っていないと使うことが出来ませんからね」
「俺、魔法なんて使ったことないけど」
俺に属性なんてあるのか?
でも女神様がセイセイAIを使うには魔力が必要だと言っていた。だから俺に魔力があることは間違いないはずだ。
「人は生を受けた時に、精霊から何らかの属性の加護を授かってます」
それなら俺にも何か精霊から属性をもらっているのか?
火? 水? 風? どの属性でも魔法が使えるなんてロマンがあるな。
男なら誰もが一度は魔法を使ってみたいと思うだろう。その夢が今叶うかもしれない。
「さっさと触れ。どうせ大したことないんだろ?」
俺はディックに急かされて魔力測定クオーツに手を伸ばす。
「ユクト様は何の属性を持っていらっしゃるのかな? 光? それとも特殊属性?」
「どうですかね。少しだけ楽しみではあります」
ティセリアとステラさんの期待の言葉が背後から聞こえる。
俺は女神様のスキルを使えるんだ。きっとすごい結果が出るに違いない。
期待に胸を膨らませて魔力測定クオーツに触れた。
パリンッ!
「えっ? 割れた?」
今ほとんど力を入れてないよな? 何で魔力測定クオーツは壊れたんだぁぁっ!
予想外の出来事に困惑してしまう。まさか弁償しろとか言われないよな?
「え~と⋯⋯俺、なにかやっちゃいました?」
とりあえず苦笑いをしながらみんなの方を振り向くが反応がない。
だがそう思ったのは束の間。数秒後に大きな声が返ってきた。
「バ、バカな! クオーツが壊れただと!」
「ユクトは規格外の魔力を持っているとでもいうの!?」
「ふふ……私にはわかっていました。ユクト様が桁外れの魔力をお持ちだということを」
ディックとステラさんは驚きの表情を、ティセリアはドヤ顔を見せていた。
ステラさんの手が俺の手に重なる。
剣を抜くなということだろう。
ステラさんも殺気に気づいていると思うが、大丈夫とはどういうことだ?
「ディック! 出てきなさい」
ステラさんは背後に向かって声を上げる。
すると廊下の曲がり角から、一人の青年が姿を見せた。
「ふっ⋯⋯俺の殺気に気づくとはやるじゃねえか」
ディックと呼ばれた青年は、悪びれもない言葉を吐きながら、こちらに向かって歩いてくる。
そして数メートル先で止まると、まるで値踏みをするような目を向けてきた。
「国が大変な時に城を飛び出すとは⋯⋯王女としての自覚がないのではありませんか?」
ディックはティセリアに苦言を呈す。
ん? 何でティセリアが城の外に出たのか知らないのか? ということは、このディックとかいう男に女神様のお告げについて教えていないということか。
「ステラ、止めるのが側近であるお前の仕事だぞ。ティセリア王女と一緒になって、国を乱す行為をしてどうする」
「私のことは何を言っても構わないが、ティセリア様に無礼な口を聞くことは許しませんよ」
「おお~恐々。今にも剣を抜きそうだな」
ディックはおどけた様子でステラさんをあしらう。
「そんな態度で本当に剣を抜かれても知らないぞ」
俺は本人に聞こえないようにボソッと呟いた。するとステラさんには聞こえたのか、返答が返って来た。
「ディックはかなりの実力者です。私の連撃を堪えた数少ない人物の内の一人で……悔しいですが」
なん……だと……
俺が体勢を崩して何とか止めたステラさんの連撃を!?
もしかしたらこのディックとかいう男は俺より強いかもしれない。
年齢も近そうだし、何だかライバル心が湧いてしまうな。
そんなことを考えていたら、ディックがギロリとこちらを睨んできた。
「しかもこいつは誰だ? どこの馬の骨ともわからない者を城に入れるとは……それほど価値がある男ってことか?」
「その通りです」
ティセリアが頷くと、何故かディックは笑みを浮かべた。
「それなら何が出来るか知りたいものだ」
俺の価値? それなら剣術だ、と口にしようとしたが、ステラさんに止められる。
「私の見立てだと二人の剣の腕は互角⋯⋯いえ、時と場合によってはユクトは負けるかもしれません」
「そうなのか」
さすがはステラさんの連撃を堪えただけはある。ディックが剣に自信があるなら、もし俺が剣が得意だと口にしたら、決闘になる可能性がある。
万が一でも負ければ、ティセリアの顔に泥を塗ることになってしまう。
これは不用意なことは言えないな。
「では、誰もがわかるその価値を見せてもらおうか⋯⋯おい」
ディックが近くにいる兵士に何か伝えると、兵士はこの場を離れていった。そして数分ほど経つとその兵士は戻ってきたが、何やら手に野球ボールくらいの水晶を持っていた。
「なるほど。それは私も気になりますね」
「どういうこと?」
ステラさんが気になることって何だ? あの水晶が関係あるのか? 俺には全くわからないぞ。
「あれは魔力を測定出来る魔道具ですね。希少な物なので、ユクトが知らないのも無理はありません」
「あれで魔力の測定が出来るのか?」
魔道具⋯⋯初めて聞く言葉だな。
推測するに魔法が関係している道具ってことか?
「ええ⋯⋯人が魔力測定クオーツに触れると光る仕組みになっています。光が強ければ強いほど魔力が高い証明となります」
「便利な魔道具だな」
「そして光る色で属性の判別が出来ます。一般的に火属性なら赤、水属性なら青、土属性なら茶色、風属性なら緑、光属性なら黄色、闇属性なら黒になります。魔法はこの属性を持っていないと使うことが出来ませんからね」
「俺、魔法なんて使ったことないけど」
俺に属性なんてあるのか?
でも女神様がセイセイAIを使うには魔力が必要だと言っていた。だから俺に魔力があることは間違いないはずだ。
「人は生を受けた時に、精霊から何らかの属性の加護を授かってます」
それなら俺にも何か精霊から属性をもらっているのか?
火? 水? 風? どの属性でも魔法が使えるなんてロマンがあるな。
男なら誰もが一度は魔法を使ってみたいと思うだろう。その夢が今叶うかもしれない。
「さっさと触れ。どうせ大したことないんだろ?」
俺はディックに急かされて魔力測定クオーツに手を伸ばす。
「ユクト様は何の属性を持っていらっしゃるのかな? 光? それとも特殊属性?」
「どうですかね。少しだけ楽しみではあります」
ティセリアとステラさんの期待の言葉が背後から聞こえる。
俺は女神様のスキルを使えるんだ。きっとすごい結果が出るに違いない。
期待に胸を膨らませて魔力測定クオーツに触れた。
パリンッ!
「えっ? 割れた?」
今ほとんど力を入れてないよな? 何で魔力測定クオーツは壊れたんだぁぁっ!
予想外の出来事に困惑してしまう。まさか弁償しろとか言われないよな?
「え~と⋯⋯俺、なにかやっちゃいました?」
とりあえず苦笑いをしながらみんなの方を振り向くが反応がない。
だがそう思ったのは束の間。数秒後に大きな声が返ってきた。
「バ、バカな! クオーツが壊れただと!」
「ユクトは規格外の魔力を持っているとでもいうの!?」
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