異世界転生者のリトライ~これから起こることは全てわかっている。世界でただ一人の回復術師はとても有能でした~

マーラッシュ

文字の大きさ
42 / 49

ルドルフを追求せよ

しおりを挟む
 ◇◇◇

 俺は勢いよく玉座の間の扉を開ける。
 するとルドルフが玉座に座ろうとしていたので、行動を阻止した。

「その席にお前を座らせる訳にはいかない」

 ここにいた者達の視線が全て俺へと集まる。
 ルドルフは栄光の瞬間を邪魔されたからか、憎悪の目を向けてきた。

「誰だ! 貴様は⋯⋯フリーデン王国の護衛か!」

 どうやら俺の顔は覚えていたようだ。だがゲストはそれだけではない。
 俺の背後から二人の人物が現れる。
 一人はザイン、そしてもう一人は⋯⋯

「敵国の者を神聖なる玉座に連れてくるとは⋯⋯血迷ったかアルドリック!」
「血迷ったか⋯⋯だと⋯⋯ 血迷ったのは兄貴の方だろ?  リリシア王女に皇帝殺しの罪を擦り付けるとはどういうことだ?」

 アルドリックは喚くルドルフを問い詰める。
 だがこの男は絶対に真実を述べることはないだろう。

「何のことだ? 状況からして、父上を殺害したのはリリシア王女で間違いないはずだ」

 予想通りの言葉だな。
 それならばルドルフの動揺を促すため、さらに問い詰めてもらうことにしよう。
 ザイン、アルドリックの後ろから新たなる人物が前に出る。

「私がお部屋に着いた時には、皇帝陛下と護衛の方は誰かに殺害された後でした」
「貴様はリリシア王女! 何故ここに⋯⋯まさかアルドリック、お前の差し金か!」
「そうだけど何か問題があるのか?」
「お前だけは見逃してやろうと思ったが、気が変わった。デレックと共に牢獄に入るがいい。兵士達よ! この狼藉者達を捕らえよ」

 ルドルフの命令に従った兵士達が、こちらに向かってきた。俺とザインはリリシアとアルドリックを守るため、前に出る。

「リリシアちゃんを捕らえたければ、俺を倒してからにしな」
「真実を語られると困るのか? リリシアの邪魔はさせないぞ」

 今の段階でも俺とザインは、そこらの兵士ごときに負けない強さを持っている。
 向かってくる兵士達二人に対して、俺達は蹴りを食らわせ後方へと吹き飛ばした。
 すると兵士達は、簡単に捕らえられる相手ではないと判断したのか、動きが止まる。

「小癪な! 帝国に歯向かうなど、この場から生きては帰さんぞ!」
「やれるものならやってみな!」

 アルドリックがルドルフに向かって啖呵を切る。
 セリフだけ聞けばカッコいいけど、俺達の背中に隠れて言ってる姿はダサい。

「だけどその前に兄貴に問いたい。親父が殺害された時間、裏庭で兄貴を目撃したという奴がいるんだが本当か?」
「それがどうした? それこそ俺が父上を殺していない証拠ではないか。リリシア王女⋯⋯いい加減罪を認めたらどうだ。もし無実だと言うのなら証拠を見せてくれ」
「私はこの件に関わってはいません。それに証拠はなくとも、証人はいます」
「な、何だと! そ、そのような者いるはずがない」

 その動揺している姿が、有罪だと認めているようなものだと問いたい。
 リリシアが後ろを振り返る。
 するとそこに一人の⋯⋯いや、黒猫のルルがいた。

「はあ!? まさか証人とはその猫のことを言ってるのか?」
「そうです。あの時ルルちゃんは、私と一緒に皇帝陛下の部屋に入りました。私が何もしていないことを知っています」
「ククク⋯⋯リリシア王女は動物と話せるとでも言いたいのか? バカにするのも大概にしろ!」

 リリシアはルルと話すことは出来ないけど、俺は話せる。皇帝陛下の部屋で起こった内容を聞いているので、リリシアが犯人でないことは間違いない。
 だけどもし俺がそのことを証言しても、証拠として扱われないだろう。
 それにリリシアもルルの証言で、自分が犯人ではないと言いたい訳ではない。
 もしかしたらリリシアは、自分の口から罪を認めてほしいという思いがあったかも知れないが。
 しかしこれは往生際の悪いルドルフを見るための、ただの余興だ。
 何故なら俺達は確たる証拠を握っているからな。
 得意気に自分は無実だと訴えるルドルフ。だがその見苦しい態度に我慢が出来なかったのか、突如ある人物の声が玉座の間に響き渡る。

「バカはお前だ。ルドルフ」
「誰だ! この皇帝であるルドルフ様をバカ呼ばわりするとは許さんぞ!」

 ルルの背後から、突然外套で顔を隠した怪しい人物が現れる。

「そこまで証拠がほしいなら見せてやろう。ルドルフよ⋯⋯余の顔を見忘れたか!」

 そして怪しい人物は外套を手に取り、空高く投げつけるのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

処理中です...