異世界転生したら『ハンペン』だけど俺は賭博駄女神(母)と追放悪役令嬢(嫁)と異世界をめっちゃ楽しく生きていく!!!!

白井伊詩

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カニカマ学園編

第10話「ようこそ! カニカマ学園へ!」

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 無事に入学手続きを終えたベーゼとケルブスは、入学式の間に学園の説明を受け、正式に生徒となった。
 
 
 クラス分けは事前通達の通りFクラスとなり、二人はそそくさと教室に放り込まれて他のクラスメイトが入学式から帰ってくるのを待った。
 
 
「あら、入学式にないと思ったらここにいたのね」
 
 アドルフィネが制服の襟を緩めて緊張を解く。
 
「こっちは問題なく手続きや学園の説明を受けたよ」
「すっげえだるかった」
「ベーゼ! あんた軽率な発言は控えなさい」
「なんかまずい?」
「どこで誰が聞いてるかわかったもんじゃないわ」
「気にしすぎじゃね?」
「そういうところよベーゼ……ただでさえ悪目立ちしてるんだから」
「へ?」
「あんた入学試験でオークなぎ倒したって話がAクラスで持ち切りよ。オークなんて学士課程レベルなのよ」
「そうなのか、俺はウメヤキ村とチャームックしか行ったことねえし魔物についてはからっきしだからな」
「とにかく! あんたは気をつけなさい」
「はいはーい」
「返事は一回! 畏まりましたを付ける!」
「はい畏まりました」
「よろしい!」
 
 
 
「失礼、君たちがアドルフィネさんの従者で合っているのかな?」
 
 漆塗りのような艶やかな黒目に燃える赤髪の青年が朗らかな笑顔で語りかける。
 
「失礼ですが、あなたは?」
「申し遅れた、僕はレギウス・メソトプスだ。クラスメイト同士仲良くしよう!」
 
 
レギウスは右手を差し出して二人と握手をする。彼の印象は非常に良く、真面目でハキハキとした態度でベーゼも好感を持つことが出来た。
 歓談も束の間、ドアが開く音と共に教団へと向う足音が鳴った。
 
 
「はーい、皆さん席に座ってください」
 
 長い三つ編みの髪にアースアイと呼ばれる虹色の光彩を輝かせたスタイル抜群の美女が明るい笑顔を向けてベーゼたちに語りかけた。
 四人は好き勝手に席へと座ると美女が満面の笑みを浮かべる。
 
「初めまして! Fクラスを受け持つことになったコーニコリス・パラトクソデラです。コーニコリス先生って呼んで下さい」
 
 明るいトーンの中に大人の落ち着きを感じさせる声音でコーニコリスは語りかける。
 
「さて、Fクラスは八名いるのですが、初日から半分の方がお休みなんて先生残念です。もし休む場合は連絡してくださいね」
「はい、わかりました!」
 
 レギウスがハツラツとした声で返事をする。他の者は頷いて理解を示す。
 
「では親睦も兼ねて自己紹介をお願いします。じゃあ、さっき元気に返事した君からお願いします」
 
「レギウス・メソトプスです。剣技が得意で、魔法は使える程度です。よろしくお願いします」
「はいレギウス君、よろしくお願いします!」
 
「アドルフィネ・ランプリマよ! 魔法なら何でも使えるわ!」
「はい、アドルフィネさんよろしくお願いします」
 
「ケルブス・ルカヌスです。高等部からの入学なので得意なものはわかりませんがよろしくお願いします」
「はい、ケルブス君はたしか筆記試験の記録が学年トップだったわね。先生も鼻が高いわ。よろしくお願いします」
 
「ベーゼだ。背中にいる蜘蛛はパープレアとだ。得意なものは特にないけど、腕っ節なら多少覚えがある。ケルブスもそうだけど俺も平民の出身だから貴族の作法とかで間違いがあったらこっそり教えて欲しい。以上」
 
 ベーゼの背中にしがみついていた巨大な蜘蛛がいつになく暴れ回って頭をベシベシと叩く。しかしベーゼは特に気にも止めず着席する。
 
「はいベーゼ君、あなたも高等部からの入学なので何か不自由がありましたら言ってください」
「ありがとうございます」
 
 
「はい、それでは今後の方針についてですが、基本的に全ての授業を私が講義します。こう見えて冒険者もやっていたので戦うのもお手の物ですのでご安心ください。といっても信じてもらえないので戦闘訓練で実力を見せますね。話は以上になります。みなさん明日から頑張っていきましょう!」
 
 コーニコリスが話を終えると手を振りながら教室から出て行った。
 
 
 
「今日これで終わり?」
「ええ、終わりよ」
「そうか……しかし今日はパープレアがいつになく暴れてるな」
 
 パープレアを抱き上げると体をおかしくしていないかベーゼは眺める。
 
「というか、パープレアだっけ……大きくなったわね」
「確かに拾った時には手乗りだったけど今じゃ体長だけで30センチはあるな。足の長さも含めたらもっとデカいな」
「なんだかいつも一緒にいるせいで見慣れてるけど学校にペットOKなの?」
「一応学校には単独契約している精霊って言ってあるわ」
「そうか、良かったなパープレア、アドルフィネのおかげで害虫扱いされずに済むぞ」
 
 パープレアはベーゼの頭に乗っかると足をばたつかせてベーゼを叩いた。
 
 
 
「失礼するよ」
 
 リナレウスが取り巻きを何人か連れてやって来る。
 
「さて、アドルフィネお嬢様、これから大事な約束がありますので急ぎましょう」
「遅刻したら手酷く怒られます。さっさと行きましょうアドルフィネお嬢様」
 
 ケルブスの言葉に便乗してベーゼも丁寧な口調で帰宅を提案する。
 
「おいおい、そんなつれないことを言わないでくれ。そうだろうアドルフィネ?」
「これはリナレウス様、Fクラスに何かご用でしょうか?」
「いやなに、掃き溜めがどんな感じか見に来ただけさ」
「そうですか、少々埃っぽくお体に触りますので、清潔なAクラスにお戻りになっては?」
「その通りだね、この教室は家畜臭くて堪らない」
「でしょう?」
 
 アドルフィネはギリギリの笑顔を保ちながら何とか平常を取り繕っている。勿論、ベーゼとケルブスも同様だ。
 
「リナレウス! さっきから聞いていればFクラスを随分言ってくれるじゃないか!」
 
 レギウスが血相を変えてリナレウスに詰め寄る。
 
「なんだ、誰かと思ったら負け犬レギウスじゃないか」
「負け犬? いや僕は君と勝負したことは一度もないが? すまない何の勝負だろうか?」
「Fクラスにいる時点で負け犬に決まってるだろう!」
「確かにFクラスはAクラスと違って学力成績や戦闘訓練の成績が芳しくない者や素行が悪い人間が多い。だがそれで負け犬と呼ぶのはいかがなものかと思うぞ?」
 
 レギウスは率直な意見をリナレウスにぶつけて無意識に神経を逆撫でした。
 
「相変わらずムカつく奴だな……気分が悪くなった! 行くぞ!」
 
 リナレウスは教室から出て行った。
 
 
「まったく……気分が悪いとか言ってたけど風邪でも引いたのだろうか?」
 
「いや、レギウス……そこじゃないわ」
「まぁ、今度聞けばいいか」
 
「不躾な質問ですが、レギウス様は――」
「おっとクラスメイトに様なんてつけないでくれ、背中がかゆくてしょうがない!」
「申し訳ございません。レギウスはなぜFクラスに?」
「なんだそんなことか、中等部の卒業式間近の頃に窓ガラスを全部粉砕しただけだよ」
「うっそ!?」
 
「おっと、僕は予定があるからこれで失礼するよ! 諸君また明日!」
 
 レギウスは意味深な言葉を残したまま教室を飛び出していった。
 
「なんだったんだあいつ?」
「さぁ? ともかくリナレウスあは撃退できたしいいんじゃないかしら?」
「それもそうだな」
「じゃあ、パーッと三人で食事でも行きましょう」
 
 
 アドルフィネが歯を見せて笑いながら教室を飛び出していった。
 
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