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獣ノ58話「社蓄だけにはならないで」
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アジサイは、工房との秘密保持契約を破棄した。
今まで工房に製作させていた弾丸のライセンスを王城へ譲渡する手続きを終える。
だが、その契約破棄の内容はあくまで弾丸であって、銃本体に関しては一切触れられない。工房の人間には銃がどういうモノかは理解しているが、どういう機構で動いているかは教えていない。
したがって工房が銃を作成できるようになるまで何年かかかるだろうとアジサイはため息をついた。
銃がもたらした破壊と戦火を今更説明するまでもない。遅かれ早かれいつかは訪れるテクノロジーだったとアジサイは諦観に至る。
「ブローニングにはなりたくないな」
紫煙を吐き捨てると、吸い終わった煙草を携帯灰皿に収める。
アジサイは仕事に戻る。
午前零時、九月一日、アジサイはショットガンM870のフォアエンドを静かに前後させる。
今日も、仕事で人を殺す。
今日の仕事は一段と気が重かった。
相手は五歳の少年である。アジサイも流石に気が引けたが、受けてしまった仕事はやり切るしかない。
黒化した季装を展開しアジサイは少年を見つめる。少年がなぜ死ななくてはならないのかアジサイは知らない。政治なのか私怨なのかそれとも他に理由があるのかはアジサイの与るところではない。
アジサイは少年の額に手をかざすと、装具の電気を操る力を行使する。頚椎に繋がる神経を焼き切り、心臓を止め、脳の電気信号を全て停止させる。
それから二十分ほどアジサイは少年を見下ろす。
首筋に指を当て、心音が消失していることを確認する。もちろん心臓の鼓動を感じることはなかった。窓を開けて身を乗り出す。丁寧に窓を閉め、空気を操る力で内側の鍵を閉める。
王城へ夜中の二時頃に到着し、自室に戻るとウィスキーをショットで一杯飲み、煙草を吹かす。
それからぼんやりと天井を見上げる。部屋には空っぽの酒瓶がゴロゴロと転がっている。
雑多なものが置いてあるベッドに横になり、眠りについた。
暗転――
墓場に居る。
いつものあれである。今回は夜の墓と言うこともあり長閑な田舎風景から一転して幽霊が出てきそうなほど暗く、怖い所である。
と言ってもアジサイの故郷であるため、この風景も遺伝子に染みついているため恐怖はない。
どちらかと言うと、アジサイの目の前にいる。黒いドレスの女の方がよほど怖い。
この女もアジサイが地球に居た頃に縁を刻んだ者の一人である。彼女は根暗の女と呼ばれ、悪装をアジサイに与えた霊である。
「お目覚めですか?」
「……どうも」
アジサイは慎重に言葉を選ぶ。彼女は、質と高さが違う者である。本来アジサイが気安く話をしていい女ではない。
何よりこの女は、危険である。
「さて、大勢殺しましたね」
「………………」
「良いのです。状況を鑑みるにあの判断は間違っていないのですから。ただ汝、殺すと言うことそのものが許されるわけではないと言うことを肝に銘じておきなさい。人の尺度を以って、ただ牢屋に入るか入らないか程度の差でしかありません」
女は静かに言う。低い声音でアジサイをまるで子供をあやす様に寄り添うように注意した。
「はい…………」
「さて、それで次は誰を死なせる?」
根暗の女は包帯で目をぐるぐる巻きにした顔をぐいっと近づける。
この包帯の下にある瞳は何を見ているのかアジサイには分からないが、どうしようもなく禍々しく、どす黒い何か根暗の女のあらゆるところ滲み出る。
「死なせるって……」
「せっかくですからね。こちら世界の方が私はあなたの力になれます。殺して殺して殺して死体の死山血河の限りを尽くす。良いではありませんか」
彼女はそういうものなのである。摂理においての死を司る彼女の性質なのである。肉食動物が肉を食うように草食動物が植物を食うように根暗の女は死を糧とする。
「殺したくはないな……」
「でもあなたは人も獣も殺す。だから私が、手を貸したのではないですか、艶やかな極彩色は血の色が目立ってしまう。夜のように黒くして差し上げました。せっかく私の装具が完全になれたので」
「完全……?」
「それは目覚めてから確認するべきことです」
根暗の女は口角を上げる。
「さてと、アジサイ」
「何でしょうか?」
「今のあなたは獣です。一匹の獣です。人であることを忘れた獣です」
「はい……」
「いずれ人間であることを思い出した時、装具は本当の色を取り戻すでしょう」
根暗の女なりの気遣いなのだろう。アジサイは静かに頷いた。
「殺せば殺すほど、黒くなっていくのか……」
「それは違います。どうなれば黒化していくのは伝えません」
「そっか……」
「お忘れなき事を」
「はい……」
気が付くと、朝日が窓から部屋を明るくしていた。
予定通り起床する。アジサイはベッドから起き上がると靴を履く。悪装を取り出すと、その姿を確認する。
黒い球体、大きさは十円玉程度の黒曜石のような宝珠がアジサイの手の平に収まっている。
装具をポーチにしまうと、アジサイは立ち上がり、部屋の中にある風呂に入り身体をさっぱりさせると早々に身支度を終わらせ仕事に向かう。
会議室に入ると、既にアジサイ以外のメンバーは着席していた。
メンバーは新人のアキー、ダチュラ、ヘムロックにミオリア、ジークの五人である。
「おはようございます」
挨拶も早々にアジサイは欠伸をしながら席に着く。
「遅刻じゃねえか!」
ミオリアは笑いながらアジサイにツッコミを入れる。
「すいません、ちょっと夜に仕事があったもので」
「聞いてる。まぁ、しょうがない」
「うっす。んじゃ、顔合わせってことで、この女子三人が一応試験やった結果生き残った奴等ですね。黒髪の子がダチュラ、金髪の子がヘムロック、茶髪というか赤毛の子がアキーですね」
「おい、これアジサイの趣味か?」
「いや、先輩、完全にこれ趣味ですよ。草生えますよ」
「真面目に試験しましたから草生やしてんじゃねえよ。はいはい、続けますよ」
「オッケー」
ミオリアは返事をする。
「一応この三人は自分が面倒見ますけど付きっ切りというのも難しいのでジークと一緒に面倒見る様な形になると思います。一応新人育成ですが、適正試験とか訓練などをベースに叩きこんでいくので脱落するかもしれないですけどね」
「おう、わかった」
「ほいほい、それじゃあ先輩はお仕事に戻ってもらって結構ですよ。なんか一言あれば彼女たちに」
「うーん、頑張れ。そいじゃ」
早々にミオリアは会議室を後にした。
「さてと、君たち試験合格おめでとうございます。一応、これからは新人と言うことで訓練を受けてもらいます。一年ぐらいしたら実践と訓練を交互に行ってスキルアップをしてもらおうと思います」
三人は静かに頷く。
「詳しいお仕事の内容に入る前に、給料と休日の話をします。まず、休日は基本的に毎週日曜日、仕事の兼ね合いで日曜日に休みが取れない場合はどこかで休みの帳尻が合うように休んでもらいます。これはあなた方三人が持つ権利です。この日曜日であれば節度と法に従う限り自由にしてもらって構いません」
「えっと、つまり、毎週日曜日は基本的に休みということですか?」
ヘムロックが再確認する。
「そだよ」
「ほんとですか?」
アキーも驚いた表情をする。
「え、いや、本当だって」
三人は目を丸くして驚いた後、大喜びする。
「週給一日は辛いだろ」
ジークは気怠そうに呟く。
「えっと、土曜日は各自自由に訓練や体の調整などに使う感じにする予定、休んでもいいし仕事してもいいよって感じだね。休んでも給料は減らさないから自由ってやつだね」
「あー、実質二日休みだと言うわけか」
「イエス、と言うか色々考えてこのぐらいがベストかなぁって、一応三人に聞くけど不満はありますか?」
「むしろ毎週二日休んでいいんですか?」
ダチュラは再三聞いたことを念押しする。
「だから休んでいいって、俺だって休みたいもん。ああ、それと半年過ぎたら有給休暇もあるから。有給休暇については渡すときになったら説明するよ。今は、給料が減らないで休める休日とでも思ってくれ。それじゃ次」
「えっと、新人期間中は給料がないのですよね?」
アキーはアジサイに質問する。
「え、出すよ」
「え、でも兵士さんが言ってましたよ、最初の一年はは給料が出ないって」
「どこの騎士団か知らないけどうちはキッチリ出すよ。支払いは月末。ああ、それと夏と冬に賞与、俺たちはボーナスって呼んでるけど、給料とは別に各自の成績に応じて支払う追加報酬みたいなものもあるから頑張って仕事していこうな」
「えっと、そのボーナスと言うのは大体どのくらいもらえるのですか?」
アキーは質問する。
「そうだね、基本的には月にもらっている額の二倍くらいかな、と言っても給料はやる仕事によってはプラスで給料を追加するからそうだね基本給の二倍からスタートと思ってほしい。あ、あんまり仕事するときの態度が良くないとボーナスはマイナスされていくから気を付けてね。あくまで成果と努力をお金で評価するものだからね」
「えっと基本給は?」
「あ、ごめん、言うの忘れてた。だいたいこのくらい。新人さんだから給料低めだから注意してね。大体金貨十五枚くらいかな」
金貨十五枚と言うと、大体日本円で十五万円程度である。と言っても物価が日本より低いためこれでも十分余裕がある数値である。
「はぁ!?」
「えっ!」
「えええ!」
女性三人は驚きの声を上げる。
「王城の一般収入の平均のはずだけど、不満だった……?」
「いえ、街商人たちの一般月収は金か三から四枚なので破格の待遇です」
アキーは驚きながら答える。
「あ、そう、よかったよかった。と言っても訓練は厳しいから覚悟してね。給料分は働いてもうらぜ」
彼女たちが黒字を出せるようになるのはあと三、四年掛るだろう。新人を育てるのはそういうものであることをアジサイは覚悟している。
「えっと、何度も確認して申し訳ないのですが、ボーナスは給料の二倍、基本給は金か十五枚、その二倍は金か三十枚ってことになるのですが。合っていますよね?」
「その通り」
「嘘みたい」
「あ、あとで契約書を発行するから安心してね。あとは福利厚生だけど、一応軍人扱いになるので、兵舎で生活してもらうよ。ただ女性用の兵舎がだいぶ使われてなくて掃除が必要だね。食事は食堂があるから好きに使っていい無料だからね。取りあえずこんなもんかな、もしもこういう制度が欲しいとか要望があれば面談の席を設けるからその時に聞くよ。出来るかどうかは別として意見出してもらえるのはありがたい。これで待遇説明は終わりかな」
アジサイは説明を終えると一息つく。
「質問あるやつはいるかー?」
ジークは三人聞く。しかし全員首を横に振る。
「あとなんか話すことあったかな……まぁ、いいや、それじゃ掃除しに行こうか」
今まで工房に製作させていた弾丸のライセンスを王城へ譲渡する手続きを終える。
だが、その契約破棄の内容はあくまで弾丸であって、銃本体に関しては一切触れられない。工房の人間には銃がどういうモノかは理解しているが、どういう機構で動いているかは教えていない。
したがって工房が銃を作成できるようになるまで何年かかかるだろうとアジサイはため息をついた。
銃がもたらした破壊と戦火を今更説明するまでもない。遅かれ早かれいつかは訪れるテクノロジーだったとアジサイは諦観に至る。
「ブローニングにはなりたくないな」
紫煙を吐き捨てると、吸い終わった煙草を携帯灰皿に収める。
アジサイは仕事に戻る。
午前零時、九月一日、アジサイはショットガンM870のフォアエンドを静かに前後させる。
今日も、仕事で人を殺す。
今日の仕事は一段と気が重かった。
相手は五歳の少年である。アジサイも流石に気が引けたが、受けてしまった仕事はやり切るしかない。
黒化した季装を展開しアジサイは少年を見つめる。少年がなぜ死ななくてはならないのかアジサイは知らない。政治なのか私怨なのかそれとも他に理由があるのかはアジサイの与るところではない。
アジサイは少年の額に手をかざすと、装具の電気を操る力を行使する。頚椎に繋がる神経を焼き切り、心臓を止め、脳の電気信号を全て停止させる。
それから二十分ほどアジサイは少年を見下ろす。
首筋に指を当て、心音が消失していることを確認する。もちろん心臓の鼓動を感じることはなかった。窓を開けて身を乗り出す。丁寧に窓を閉め、空気を操る力で内側の鍵を閉める。
王城へ夜中の二時頃に到着し、自室に戻るとウィスキーをショットで一杯飲み、煙草を吹かす。
それからぼんやりと天井を見上げる。部屋には空っぽの酒瓶がゴロゴロと転がっている。
雑多なものが置いてあるベッドに横になり、眠りについた。
暗転――
墓場に居る。
いつものあれである。今回は夜の墓と言うこともあり長閑な田舎風景から一転して幽霊が出てきそうなほど暗く、怖い所である。
と言ってもアジサイの故郷であるため、この風景も遺伝子に染みついているため恐怖はない。
どちらかと言うと、アジサイの目の前にいる。黒いドレスの女の方がよほど怖い。
この女もアジサイが地球に居た頃に縁を刻んだ者の一人である。彼女は根暗の女と呼ばれ、悪装をアジサイに与えた霊である。
「お目覚めですか?」
「……どうも」
アジサイは慎重に言葉を選ぶ。彼女は、質と高さが違う者である。本来アジサイが気安く話をしていい女ではない。
何よりこの女は、危険である。
「さて、大勢殺しましたね」
「………………」
「良いのです。状況を鑑みるにあの判断は間違っていないのですから。ただ汝、殺すと言うことそのものが許されるわけではないと言うことを肝に銘じておきなさい。人の尺度を以って、ただ牢屋に入るか入らないか程度の差でしかありません」
女は静かに言う。低い声音でアジサイをまるで子供をあやす様に寄り添うように注意した。
「はい…………」
「さて、それで次は誰を死なせる?」
根暗の女は包帯で目をぐるぐる巻きにした顔をぐいっと近づける。
この包帯の下にある瞳は何を見ているのかアジサイには分からないが、どうしようもなく禍々しく、どす黒い何か根暗の女のあらゆるところ滲み出る。
「死なせるって……」
「せっかくですからね。こちら世界の方が私はあなたの力になれます。殺して殺して殺して死体の死山血河の限りを尽くす。良いではありませんか」
彼女はそういうものなのである。摂理においての死を司る彼女の性質なのである。肉食動物が肉を食うように草食動物が植物を食うように根暗の女は死を糧とする。
「殺したくはないな……」
「でもあなたは人も獣も殺す。だから私が、手を貸したのではないですか、艶やかな極彩色は血の色が目立ってしまう。夜のように黒くして差し上げました。せっかく私の装具が完全になれたので」
「完全……?」
「それは目覚めてから確認するべきことです」
根暗の女は口角を上げる。
「さてと、アジサイ」
「何でしょうか?」
「今のあなたは獣です。一匹の獣です。人であることを忘れた獣です」
「はい……」
「いずれ人間であることを思い出した時、装具は本当の色を取り戻すでしょう」
根暗の女なりの気遣いなのだろう。アジサイは静かに頷いた。
「殺せば殺すほど、黒くなっていくのか……」
「それは違います。どうなれば黒化していくのは伝えません」
「そっか……」
「お忘れなき事を」
「はい……」
気が付くと、朝日が窓から部屋を明るくしていた。
予定通り起床する。アジサイはベッドから起き上がると靴を履く。悪装を取り出すと、その姿を確認する。
黒い球体、大きさは十円玉程度の黒曜石のような宝珠がアジサイの手の平に収まっている。
装具をポーチにしまうと、アジサイは立ち上がり、部屋の中にある風呂に入り身体をさっぱりさせると早々に身支度を終わらせ仕事に向かう。
会議室に入ると、既にアジサイ以外のメンバーは着席していた。
メンバーは新人のアキー、ダチュラ、ヘムロックにミオリア、ジークの五人である。
「おはようございます」
挨拶も早々にアジサイは欠伸をしながら席に着く。
「遅刻じゃねえか!」
ミオリアは笑いながらアジサイにツッコミを入れる。
「すいません、ちょっと夜に仕事があったもので」
「聞いてる。まぁ、しょうがない」
「うっす。んじゃ、顔合わせってことで、この女子三人が一応試験やった結果生き残った奴等ですね。黒髪の子がダチュラ、金髪の子がヘムロック、茶髪というか赤毛の子がアキーですね」
「おい、これアジサイの趣味か?」
「いや、先輩、完全にこれ趣味ですよ。草生えますよ」
「真面目に試験しましたから草生やしてんじゃねえよ。はいはい、続けますよ」
「オッケー」
ミオリアは返事をする。
「一応この三人は自分が面倒見ますけど付きっ切りというのも難しいのでジークと一緒に面倒見る様な形になると思います。一応新人育成ですが、適正試験とか訓練などをベースに叩きこんでいくので脱落するかもしれないですけどね」
「おう、わかった」
「ほいほい、それじゃあ先輩はお仕事に戻ってもらって結構ですよ。なんか一言あれば彼女たちに」
「うーん、頑張れ。そいじゃ」
早々にミオリアは会議室を後にした。
「さてと、君たち試験合格おめでとうございます。一応、これからは新人と言うことで訓練を受けてもらいます。一年ぐらいしたら実践と訓練を交互に行ってスキルアップをしてもらおうと思います」
三人は静かに頷く。
「詳しいお仕事の内容に入る前に、給料と休日の話をします。まず、休日は基本的に毎週日曜日、仕事の兼ね合いで日曜日に休みが取れない場合はどこかで休みの帳尻が合うように休んでもらいます。これはあなた方三人が持つ権利です。この日曜日であれば節度と法に従う限り自由にしてもらって構いません」
「えっと、つまり、毎週日曜日は基本的に休みということですか?」
ヘムロックが再確認する。
「そだよ」
「ほんとですか?」
アキーも驚いた表情をする。
「え、いや、本当だって」
三人は目を丸くして驚いた後、大喜びする。
「週給一日は辛いだろ」
ジークは気怠そうに呟く。
「えっと、土曜日は各自自由に訓練や体の調整などに使う感じにする予定、休んでもいいし仕事してもいいよって感じだね。休んでも給料は減らさないから自由ってやつだね」
「あー、実質二日休みだと言うわけか」
「イエス、と言うか色々考えてこのぐらいがベストかなぁって、一応三人に聞くけど不満はありますか?」
「むしろ毎週二日休んでいいんですか?」
ダチュラは再三聞いたことを念押しする。
「だから休んでいいって、俺だって休みたいもん。ああ、それと半年過ぎたら有給休暇もあるから。有給休暇については渡すときになったら説明するよ。今は、給料が減らないで休める休日とでも思ってくれ。それじゃ次」
「えっと、新人期間中は給料がないのですよね?」
アキーはアジサイに質問する。
「え、出すよ」
「え、でも兵士さんが言ってましたよ、最初の一年はは給料が出ないって」
「どこの騎士団か知らないけどうちはキッチリ出すよ。支払いは月末。ああ、それと夏と冬に賞与、俺たちはボーナスって呼んでるけど、給料とは別に各自の成績に応じて支払う追加報酬みたいなものもあるから頑張って仕事していこうな」
「えっと、そのボーナスと言うのは大体どのくらいもらえるのですか?」
アキーは質問する。
「そうだね、基本的には月にもらっている額の二倍くらいかな、と言っても給料はやる仕事によってはプラスで給料を追加するからそうだね基本給の二倍からスタートと思ってほしい。あ、あんまり仕事するときの態度が良くないとボーナスはマイナスされていくから気を付けてね。あくまで成果と努力をお金で評価するものだからね」
「えっと基本給は?」
「あ、ごめん、言うの忘れてた。だいたいこのくらい。新人さんだから給料低めだから注意してね。大体金貨十五枚くらいかな」
金貨十五枚と言うと、大体日本円で十五万円程度である。と言っても物価が日本より低いためこれでも十分余裕がある数値である。
「はぁ!?」
「えっ!」
「えええ!」
女性三人は驚きの声を上げる。
「王城の一般収入の平均のはずだけど、不満だった……?」
「いえ、街商人たちの一般月収は金か三から四枚なので破格の待遇です」
アキーは驚きながら答える。
「あ、そう、よかったよかった。と言っても訓練は厳しいから覚悟してね。給料分は働いてもうらぜ」
彼女たちが黒字を出せるようになるのはあと三、四年掛るだろう。新人を育てるのはそういうものであることをアジサイは覚悟している。
「えっと、何度も確認して申し訳ないのですが、ボーナスは給料の二倍、基本給は金か十五枚、その二倍は金か三十枚ってことになるのですが。合っていますよね?」
「その通り」
「嘘みたい」
「あ、あとで契約書を発行するから安心してね。あとは福利厚生だけど、一応軍人扱いになるので、兵舎で生活してもらうよ。ただ女性用の兵舎がだいぶ使われてなくて掃除が必要だね。食事は食堂があるから好きに使っていい無料だからね。取りあえずこんなもんかな、もしもこういう制度が欲しいとか要望があれば面談の席を設けるからその時に聞くよ。出来るかどうかは別として意見出してもらえるのはありがたい。これで待遇説明は終わりかな」
アジサイは説明を終えると一息つく。
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