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龍ノ90話「Q会話しかしてねえな? A絵図が変わりませんからね」
しおりを挟む「なぁ、エスカマリさん」
「何でしょうか?」
「先輩……ミオリアの修行相手って誰なんだ?」
「この竜霊廟には様々な者の魂が眠っています。大方は龍神族と鬼神族の男たちなのですが、一名だけ天使族がいます」
「天使?」
「名をリツフェル、ネフィリ様の父親になります」
「え、生きていたのか?」
「生きていますよ。むしろ勝手に死んだことにしないで頂きたいですね。四大種族は基本的に長寿です」
「まじか……」
「空神、天使、鬼神、竜神は寿命という概念がないレベルですので」
「むしろ大変そうだな」
「ええ、リツフェルは……面倒です」
エスカマリは怪訝な表情していた。
「それ、絶対、違うやつですよね、性格的なものですよね?」
「無口なんですよとにかく」
「具体的には?」
「今まで話して来て、喋ったワードは三つ、了解、却下、続行の三つです」
「何歳だよ、思春期かよ」
「御年五千歳になります」
「まじか三単語で五千年も生きれるのか」
「まぁ、強いですからね伊達に至高天を務めていただけありますからね」
「ナトライマグナと同格なのか」
「その通りです。至高天クソキリクの前任者ですね」
「今クソって言いませんでした?」
「性格としては無害なだけリツフェルの方が良いです」
「おい、無視してないか!」
「ただ天使は九割九分九厘生まれてくるのが女性なので男の天使は女天使が何でもやってくれます」
「わーお」
「なので、私が全てやるのが当たり前……クソも良いところです」
「お、おう……」
「と言うわけでジークさん、腕立てをあと二万回くらい増やして下さい」
「殺す気かよ、多分三日くらい腕立て続けてるんだが、飯食うときは片腕立てで食事なんてアジサイでもやらなかったわ」
「私はジークさんの上で料理していますけどね」
「あと回数を追う毎にエスカマリさん重くなってません?」
「気のせいです」
その瞬間ジークの腕が地面を割り始める。大理石のような石の床に亀裂が走り、ジークの肩甲骨を破壊する勢いだった。
「絶対嘘だ!」
「二万回の十セットでいかがでしょうか?」
「勘弁してくれ、それに同じところばかり鍛えても意味が無い」
「別に私は筋肉を育てるつもりで腕立てをさせているわけじゃありません」
「どういうことだ?」
「ただ、精神的に追い込む、ひたすら追い込む、泣こうが喚こうが滑ったの転んだの泣き叫ぼうが追い込むうんともすんとも言わせず、追い込むのが目的です」
「怖い」
「昔、同じ事をして再起不能になった人間がいましたが、素質がなかったのでしょうね」
「何やったんだ?」
「単純です。三日三晩額に水滴を垂らしていました。効果的と聞いたので」
「…………」
「どうかしました?」
「それ精神的に追い詰める拷問ですね」
「……あっ」
「酷い、自己でしたね……」
「い、今では立派な農夫をやっていますので……ね?」
「あとで謝罪ですね」
「はい……しかし、それはそうと早く腕立てを終わらせて下さい。こちらも体を重化させるのは疲れるので」
「どうやってんだよ……」
「神獣の力ですね、どんな神獣だったかは忘れました。日々何十体も倒していると覚えきれません」
「大変だったな」
「責務ですから」
「それはそうだが……」
「さて、おしゃべりついでに、少しお勉強をしましょう。龍神演武についてです。説明ばかりですので覚悟してください」
「よろしくたのむ」
「まず炎ノ型について。ジークさんもよく使っていますが、使い方がなっていません。あれを範囲攻撃かなにかだと思っているようですが、大きな間違いです」
「どういうことだ?」
「あくまで炎ノ型は一撃必殺の一太刀がコンセプトになっています。本来であればあの周囲にまき散らす一撃は全て刃、即ち一体の敵に全て凝縮されねばなりません」
「一撃必殺の一太刀……」
「逆に言うと、あれだけ熱量が漏れ出しているのはロスになります」
「そうだったのか……」
大理石が永遠と床に敷かれた空間でジークは自信の未熟さを再確認させられた。
「逆に、一太刀で全てを一掃する型も存在します。それが龍神演武水ノ型、津波が如く全てを破壊する型です。これはむしろ周囲にどれだけ破壊をもたらすかが重要です。それと相性がいい竜の力が『竜水』なのです」
「俺が持っていない力だな」
「龍神演武は竜の力を最大限引き出すものであり、それぞれにコンセプトがあります。まずはそれがなにか、どんなものなのか、どんな意図で作られたのかを考えるのが重要です」
「考えるか……」
「はい、その通りです」
「難しいな」
「そうですね、ところで単純な好奇心なのですが、ジークさんは何故、竜を狩ることにしたのですか?」
「んー、ああ、単純にアルスマグナに頼まれたからだ」
「見返りは?」
「そういや聞いてなかったな、まぁ、どうでもいいしな」
「見返りも、まして初めて会った者の言うことを……」
「何より、アルスマグナがタイプだった。一目惚れだな」
「そんな……単純な理由で竜を……」
「いつだってシンプルな方がいい」
「使命とか、責務とかそういう物で動いていた私とは大違いですね」
「結果として責任を負う立場になったけどな」
「それはそうですが」
「やりたいことをやる! それ良いじゃねえか」
「では、今のこの修行もやりたいことなのですか?」
「勿論」
「お強いですね……」
「エスカマリさんのほうが強いのでは?」
「心がです、私はそうは慣れなかった今後もなろうとは思わないでしょう。掟を守ることが美徳なので」
「そうだな、ここじゃあ観光も難しいだろうなぁ」
「ええ、夢は相応の伴侶が見つかれば良いと思ってましたが、未婚のまま……」
「それ以上は行けない」
「何だか辛いので千回プラスで」
「鬼かよ!」
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