時が運んだ贈り物 〜幕末を生きる貴方を想う〜

nami

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其の一

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昔から毎晩同じ夢を見る。


18歳の誕生日を迎えた今日、その夢は普段と少し変わっていた。


“...さ...よ...紗代..."


名前を呼ばれているような気がする。

声が聞こえてくるのは初めてだ。
辺りを見回すが、自分が立っているのは真っ白な空間の中で人の影など全くない。


一体誰の声なのだろうか。
暖かくて優しい男の人の声。


「貴方は一体だれなの?」


思わず声を掛け、返事を待つがいつまで経っても返ってこない。


すると後ろに気配を感じ、振り向くと1人の男性が立っていた。


その男性には見覚えも心当たり全くない。ただ立っているだけで奇妙である。


何を示しているのか、さっぱり分からない。

両親が他界してから、
毎晩のように見るこの夢にきっと何かしらの意味があると思っているのだが、

いつも何事もなく夢から覚めるのだ。



だけど今日は違う。
名前を呼び、目の前に現れてくれた。


「..お願い!教えて!貴方の名前は...っ」


「名前は...」


男性が口を開き、名乗ろうとした瞬間
急に光で眩しくなり反射して目を瞑ってしまった。


.
.
.


カーテンの隙間から日が差し込み、外には小鳥の声が聴こえる。

どうやらまた朝がやってきたみたいだ。


こんな体験初めてで、まだ心臓が高鳴っている。


「...あの人は一体」


分かったことは、目の前に現れたのが男性であり、私の名前を呼んでいると言う事だけ。


今日も結局解らず終いである。
ため息を吐き、ベッドから出て身支度を始める。


身支度が終わったら、
朝食を作り、洗い物をして、
電気や戸締まり確認のうえ外へ出る。

一人暮らしの為、朝であろうと自分である程度の家事をするのが日常だ。



「いってきます」


誰もいない家に向かってそう呟く。

今日は、特大イベントである修学旅行。京都へ出発する日だ。
事前に準備していた荷物を抱え、急いで集合場所である駅へ向かった。





















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