時が運んだ贈り物 〜幕末を生きる貴方を想う〜

nami

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其の三

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ふと目を覚ますと、部屋の中にいた。
ここは何処だろうか。

辺りを見回せど、なにも情報は入ってこない。分かったのは和室という事だけだ。


倒れた後、ここに運ばれたのか?


とりあえず動こうと思い、体を動かそうとすると思うように体が動かなかった。
ギッチリと縄で両腕、両足と結ばれていたのだ。


想像もしてなかった事態に、頭が真っ白になった。

拉致されたのか。何が起こっているのか。

あまりの恐怖に体がこわばって、頭も働かない。


さっきまで修学旅行で京都へ来ていて、壬生寺の前で急な頭痛で立ちくらみがして倒れてしまった所までは覚えている。


友達が運んでくれたのかと思ったが、手足を縄で結ぶ理由が見当たらない。


悪戯では無いと考える。こんなことするのは、倒れた相手に対してあり得ない行為だ。


「どういうこと...?」


スッ


閉まっていた戸が空いた。
そこには二人、幼い男性と若めの男性が立っていた。



「おっ起きたのか、大丈夫か~?」


「土方さーーーん、
この人起きましたよーー」


心配の言葉を掛けてくれる幼い男性。
大きな声で誰かを呼ぶ若めの男性。

どちらもこの縄を解いてくれる気配はない。なにがどうなってこんな事に、、


そもそもこの人達は誰だ?


「す、すみません。この縄を解いていただけませんか?動けなくて、、」


私が縄を解くように声を出すと

二人はポカーンとした顔で見つめる。


「あのさあ。なんで縛られてるかわかってる?」


幼い男性はしゃがんで、正座で座っている私と目が同じ高さになるように話しかけて来た。


なぜ縛られているかなんて私が聞きたい台詞である。わかるわけもない。


一人綺麗な黒髪でとても大人っぽい男性が現れた。


「あ!遅いですよ、土方さん
この子、逃げようとしてますけど、



斬りましょうか?」



若めの男性が低い声で、そう言い放つ。
ドキッと心臓が冷えた感じがした。


《 怖い 》


頭の中は恐怖心でいっぱいになっていた。


「待て、総司。こいつにはなんでここにいるのか吐いてもらう必要がある。」

「...お前、ここに何しに来た。誰の差し金だ。

答えなかったら、今すぐ斬る。」


答えろと言わんばかりの鋭い目で、私を見る。








ああ、私はここで死ぬのか。




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