時が運んだ贈り物 〜幕末を生きる貴方を想う〜

其の六

どうやら見たことのない機械に驚きを隠せていない様子が伺える。


「信じてもらえましたか？」


渋るような表情をする。


「...縄を解いてやれ」


「あれ、珍しく優しいですね土方さん」


縄を解くよう指示をする。
それに対して、茶化すように話かける沖田総司。


その間に幼い男性が縄を解いてくれた。

「よかったな！
　俺は、東堂平助。未来ってすげえなぁ話聞かせてくれよ！」


藤堂平助。
名前は知っている。新選組の最年少幹部だと聞いたことがある。

犬のように、人懐っこい人だ。


笑顔で私に話しかける姿に、
さっきまでの緊張感は解けどっと力が抜けた。



「待て」


「縄は解いたが、まだ完全に信用していない。どこの問者かわからねぇからな。

 完全に信用出来るまで、お前を此処から出す訳にはいかない。」



土方歳三に鋭い視線を向けられ、
さっきの緊張がまた戻ってくる。

それはそうだ。そんな簡単に他人を信用出来るわけもない。
ましてや、人様のお家に勝手に忍び込んでいるようなものなのだから。



「お前には、しばらくこの屯所に居てもらう。逃げようってんなら、容赦なく斬る。 」


「...わかりました。」


強制的に、ことが決まった。


今の時点では現代に戻れる方法もわからないので、これは私にとっても都合がいい事である。


だが、いつ斬られてしまうかもわからない。

なるべく早く、
現代に戻る方法を見つけなければ。




この日から私は、
新選組 屯所で暮らすこととなった。