12 / 71
02 歌うこと
01
しおりを挟む
そして放課後が来る。
美姫は剣道部へ護はフェンシング部へ向かった。
僕は久しぶりに自分のクラブへと向かう。
僕のクラブは、軽音部。
この学園の軽音部には、ロックな生徒はいない。
ファンキーな姉ちゃんもいない。
いるのは物静かな先輩。
南 葉月さんだけだ。
部室に近づくと綺麗なピアノの音が聞こえてくる。
僕は静かに扉を開けその曲が終わるのを椅子に座って待つ。
しかし、ピアノの曲が最後まで奏でられることはなかった。
「一くん!」
葉月先輩がピアノを止め、そして僕の方を見る。
「葉月先輩ダメですよ。
最後まで弾かなくちゃ……」
僕がそう言うと葉月先輩が口を尖らせる。
「だって一くんだよ?
一くんとおしゃべりが出来るんだよ?
こんなビックチャンス、滅多にないよ!」
葉月先輩が笑う。
「そうですか?」
そう言われるとなんかむず痒い。
「そうだよ!
だって部員、17人もいるのに毎日来ているのほぼ私だけだよ!
みんな幽霊部員なんだよ?
私、寂しいよ」
「できるだけ来るようにします」
僕が、そう言うと葉月先輩が僕の腕をつかむ。
「久しぶりにしよっか?」
葉月先輩の顔が赤らむ。
「え?」
「いいでしょ?
溜まっているんでしょ?」
「えっと……」
「君のチューニングはもう万全だぜ!」
葉月先輩が、そう言ってギターを出す。
「わかりました。
やらせていただきます!」
僕は、ギターを受け取ると音を奏でる。
曲名は、スピッツさんのチェリー。
葉月先輩が、ゆっくりと歌い出す。
「君を忘れない――」
葉月先輩の声が全ての時間を止める。
だけど僕の指は止まらない。
曲を奏でたい。
この歌声をサポートしたい。
その思い一心で……
僕は、ギターを奏でた。
美姫は剣道部へ護はフェンシング部へ向かった。
僕は久しぶりに自分のクラブへと向かう。
僕のクラブは、軽音部。
この学園の軽音部には、ロックな生徒はいない。
ファンキーな姉ちゃんもいない。
いるのは物静かな先輩。
南 葉月さんだけだ。
部室に近づくと綺麗なピアノの音が聞こえてくる。
僕は静かに扉を開けその曲が終わるのを椅子に座って待つ。
しかし、ピアノの曲が最後まで奏でられることはなかった。
「一くん!」
葉月先輩がピアノを止め、そして僕の方を見る。
「葉月先輩ダメですよ。
最後まで弾かなくちゃ……」
僕がそう言うと葉月先輩が口を尖らせる。
「だって一くんだよ?
一くんとおしゃべりが出来るんだよ?
こんなビックチャンス、滅多にないよ!」
葉月先輩が笑う。
「そうですか?」
そう言われるとなんかむず痒い。
「そうだよ!
だって部員、17人もいるのに毎日来ているのほぼ私だけだよ!
みんな幽霊部員なんだよ?
私、寂しいよ」
「できるだけ来るようにします」
僕が、そう言うと葉月先輩が僕の腕をつかむ。
「久しぶりにしよっか?」
葉月先輩の顔が赤らむ。
「え?」
「いいでしょ?
溜まっているんでしょ?」
「えっと……」
「君のチューニングはもう万全だぜ!」
葉月先輩が、そう言ってギターを出す。
「わかりました。
やらせていただきます!」
僕は、ギターを受け取ると音を奏でる。
曲名は、スピッツさんのチェリー。
葉月先輩が、ゆっくりと歌い出す。
「君を忘れない――」
葉月先輩の声が全ての時間を止める。
だけど僕の指は止まらない。
曲を奏でたい。
この歌声をサポートしたい。
その思い一心で……
僕は、ギターを奏でた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる