ジンクス∞漁猫∞～君と僕の物語

03 歌われること

02

「まぁ、一の分もぶん殴っておいてやったから気にすんな！」

　護が、そう言ってケラケラと笑う。

「大丈夫なの？
　学校、停学にならない？」

　僕がそう尋ねると護は溜息をつく。

「大丈夫だ。
　ってか、頭を殴られたんだぞ？
　お前は自分の心配しとけって！」

　護がそう言うと美姫が笑う。

「一って、昔から喧嘩弱いよね。
　一を守るためにどんだけ私や護が苦労したか……」

　そうだった。
　美姫は僕を守るために強くなると決め、剣道を始めたんだった。
　才能もあったんだろうな。
　剣道の大会で、何回も優勝している。

「ま、お前は俺らが守るから安心して今は休め！」

　護が、白い歯を見せて笑う。
　護はフェンシングを小さい頃からやっている。
　護も強く、大会で優勝しまくっている。

　一方、僕は何もできない。
　なんの才能もない。

「強い人が友だちっていいですね」

　川名さんが、寂しそうに笑う。

「大丈夫！川名さんも私たちが守るから！」

「え？」

　美姫の答えに川名さんが驚いている。

「だって、友だちでしょう？」

　美姫がとびっきりの笑顔を見せる。
　川名さんが照れ笑いを浮かべる。

「……はい」

　川名さんは、ちょっと嬉しそうだった。