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03 歌われること
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「ちょっと貴方、大丈夫?」
銘先生が、心配そうに僕に近づく。
「あ、はい。
幽霊だと思って違ったので安心したら腰が抜けて……」
「えっと。
私を幽霊だと思ったの?」
「あ、すみません」
僕は小さく謝る。
「幽霊いるわよ?」
「え?」
銘先生は、何を言っているの?
「例えば貴方が今座っている椅子。
そこには、幽霊のテルくんがいるの。
そこに座った人の電話にしあわせを運んでくれるわ」
「しあわせ?
こういう場合、不幸じゃないんですか?」
「しあわせよ。
幽霊は、不幸だけを運ぶ存在じゃないのよ?
例えば、貴方のジンクスも誰かのプレゼントかもしれないわね」
ジンクスのことがバレてる?
僕は、少し警戒する。
「そう警戒しなくてもいいわよ。
私と妹には、ジンクスが効かないから。
でも、ジンクスは持ってないわよ?」
銘先生の言葉に違和感を覚える。
今までジンクスが効かない存在は、ジンクス持ちだけだと聞かされていたからだ。
「どうして効かないんですか?」
「その調子だと覚えていないようね」
「え?」
「私は、元ジンクス研究所で働いていたことがあるのよ。
そして、私もジンクス研究所で育った。
貴方のご両親とも親しくさせてもらっていて、何度か貴方と遊んだこともあるのよ?」
「ごめんなさい。
覚えて――」
僕が、そこまで考えたときふと名前が浮かぶ。
「銘お姉ちゃんと、千春お姉ちゃん?」
「そう!
思い出してくれた?」
「ぼんやりと……」
「うん!
いい子だ!」
銘お姉ちゃんは、ニッコリと笑い僕の頭を撫でた。
「でも、ホントぼんやりとしか覚えてないんですよ?」
「いいのよ、それで……
ちっちゃかったんだし、仕方がないわ」
「……すみません」
「なにかあったらここに連絡頂戴」
銘お姉ちゃんは、そう言って名刺を僕に渡してくれた。
「ありがとうございます」
「微力ながらに力になるわよ」
銘お姉ちゃんは。僕の頭をくしゃくしゃと撫でるとその場を去った。
銘先生が、心配そうに僕に近づく。
「あ、はい。
幽霊だと思って違ったので安心したら腰が抜けて……」
「えっと。
私を幽霊だと思ったの?」
「あ、すみません」
僕は小さく謝る。
「幽霊いるわよ?」
「え?」
銘先生は、何を言っているの?
「例えば貴方が今座っている椅子。
そこには、幽霊のテルくんがいるの。
そこに座った人の電話にしあわせを運んでくれるわ」
「しあわせ?
こういう場合、不幸じゃないんですか?」
「しあわせよ。
幽霊は、不幸だけを運ぶ存在じゃないのよ?
例えば、貴方のジンクスも誰かのプレゼントかもしれないわね」
ジンクスのことがバレてる?
僕は、少し警戒する。
「そう警戒しなくてもいいわよ。
私と妹には、ジンクスが効かないから。
でも、ジンクスは持ってないわよ?」
銘先生の言葉に違和感を覚える。
今までジンクスが効かない存在は、ジンクス持ちだけだと聞かされていたからだ。
「どうして効かないんですか?」
「その調子だと覚えていないようね」
「え?」
「私は、元ジンクス研究所で働いていたことがあるのよ。
そして、私もジンクス研究所で育った。
貴方のご両親とも親しくさせてもらっていて、何度か貴方と遊んだこともあるのよ?」
「ごめんなさい。
覚えて――」
僕が、そこまで考えたときふと名前が浮かぶ。
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思い出してくれた?」
「ぼんやりと……」
「うん!
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「でも、ホントぼんやりとしか覚えてないんですよ?」
「いいのよ、それで……
ちっちゃかったんだし、仕方がないわ」
「……すみません」
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「ありがとうございます」
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