ジンクス∞漁猫∞～君と僕の物語

04 奏でる音色

11

　そして、時は流れ……
　期末試験の日がやってきた。

「さぁ、斎藤くん。
　今回の試験も勝負よ！」

　宮崎さんが胸を張る。

「あー。
　宮崎さんの不戦勝でいいよ」

　僕がそう言うと宮崎さんが怒る。

「あなた！私が勉強を教えたのよ？
　オール100を目指しなさい！」

　宮崎さんは僕に勝ちたいのかな？
　それとも負けたいのかな？

　僕にはわからないことだった。

　そして、試験が始まる。
　うん、いつもどおりだね。
　余裕だ。

　試験が終わると美姫が真っ先に僕のもとにやってくる。

「一！
　私、今回は上位に入れるかも！」

　美姫がはしゃいでいる。
　護も自信が満々で、川名さんはいつもどおりだった。
　宮崎さんは、頭を抑えている。

「1問わからない問題があったわ……」

「どの問題？」

　僕は、宮崎さんに尋ねた。
　すると宮崎さんが問題用紙を僕に見せてくれた。
　社会の時事問題だった。
　この問題は、サービス問題だ。

　　　妖怪ウォッチに出てくる車にハネられて死んでしまったネコの地縛霊は、誰でしょう？
　　　ヒント：「車にひかれて死ぬなんて………ダサっ」

　この問題を作った先生は、多分サービス問題のつもりだったんだろうな。
　でも、ヒントになってない。
　なんとなく答えは解るけど。

　このアニメ観ていないからわからない。

「車にひかれて死ぬなんて……ダサ」ってそんなこと言われていたことなんて知らなかったし。
　あのネコが地縛霊だったことすら知らなかった。
　第一、僕らは高校生、知らない人もいるはずだ……

「そもそもネコって地縛霊になるの？」

　宮崎さんの悩みは最もだ。

「答えはジバニャンだよ」

　僕が、そう言うと宮崎さんが答える。

「地縛霊だからジバニャン？」

「そこまでは、知らないけど……
　結構有名だよ？ニュースとかにでも出てるし……」

「て、テレビを見るようにするわ……」

　宮崎さんが、そう言ってため息を付いた。
　そうして、僕たちの夏休みが始まる。