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06 君なき日々
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「どんなジンクスなんですか?」
僕がそう尋ねると葉月先輩は笑顔を見せた。
「私の歌を聞いた人は、しあわせになるんだって……」
「え?」
「プラス系。
一くんもジンクス持っているんだよね?」
その問に僕は動揺する。
でも、答えなくちゃ。
葉月先輩は、教えてくれた。
だから、僕も答えるんだ。
「僕が好きになった人は、別の人としあわせになる」
「そっか……
一くんが童貞な理由がわかったよ」
葉月先輩が、ニヤニヤと笑う。
だけど、次の僕の言葉を聞いて笑顔が消える。
「でも、好きな人が変わったとき、もしくは好きじゃなくなったとき。
その人たちは今まで好きだった期間のあいだが長ければ長いほど不幸の反動が訪れる。
マイナス系です」
葉月先輩は、小さな声で尋ねる。
「もしかして、美姫ちゃんと護くんの件。
自分のせいだと思ってる?」
「僕のせいです。
ずっと美姫のことが好きでしたから……」
葉月先輩は溜息をつく。
「一くんのせいじゃないよ。
あのふたりもジンクス持ち。
一くんのジンクスの反動は受けないわ」
「え?」
美姫と護もジンクス持ち?
「あのふたりは、私の歌を聞いてもしあわせにはなってないもん。
だから、私にはわかるんだ。
ジンクス持ちかジンクス持ちじゃないか……
ジンクスの原則は知ってるでしょ?」
「ジンクスは、ジンクス持ちには効果がない」
「うん。
だから、一くんに責任はないよ」
それでも、それでも、僕はつらい。
それでも責任を感じてしまう。
「あとね、川名さんもなんかジンクスを持っているよ」
「え?」
僕の頭が真っ白になる。
「川名さんも一くんと同じように苦しみを感じているかも知れ――」
葉月先輩が、そこまで言いかけたのは聞こえた。
だけど、僕は走った。
どこにいるかは、わからない。
だけど、僕は走った。
川名さんのことを知るため。
川名さんのことを知っているかもしれない担任の元へ……
僕がそう尋ねると葉月先輩は笑顔を見せた。
「私の歌を聞いた人は、しあわせになるんだって……」
「え?」
「プラス系。
一くんもジンクス持っているんだよね?」
その問に僕は動揺する。
でも、答えなくちゃ。
葉月先輩は、教えてくれた。
だから、僕も答えるんだ。
「僕が好きになった人は、別の人としあわせになる」
「そっか……
一くんが童貞な理由がわかったよ」
葉月先輩が、ニヤニヤと笑う。
だけど、次の僕の言葉を聞いて笑顔が消える。
「でも、好きな人が変わったとき、もしくは好きじゃなくなったとき。
その人たちは今まで好きだった期間のあいだが長ければ長いほど不幸の反動が訪れる。
マイナス系です」
葉月先輩は、小さな声で尋ねる。
「もしかして、美姫ちゃんと護くんの件。
自分のせいだと思ってる?」
「僕のせいです。
ずっと美姫のことが好きでしたから……」
葉月先輩は溜息をつく。
「一くんのせいじゃないよ。
あのふたりもジンクス持ち。
一くんのジンクスの反動は受けないわ」
「え?」
美姫と護もジンクス持ち?
「あのふたりは、私の歌を聞いてもしあわせにはなってないもん。
だから、私にはわかるんだ。
ジンクス持ちかジンクス持ちじゃないか……
ジンクスの原則は知ってるでしょ?」
「ジンクスは、ジンクス持ちには効果がない」
「うん。
だから、一くんに責任はないよ」
それでも、それでも、僕はつらい。
それでも責任を感じてしまう。
「あとね、川名さんもなんかジンクスを持っているよ」
「え?」
僕の頭が真っ白になる。
「川名さんも一くんと同じように苦しみを感じているかも知れ――」
葉月先輩が、そこまで言いかけたのは聞こえた。
だけど、僕は走った。
どこにいるかは、わからない。
だけど、僕は走った。
川名さんのことを知るため。
川名さんのことを知っているかもしれない担任の元へ……
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