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深雪は、今も泣いている。
だけど、どんな言葉をかければいいかわからない

「おめでとう?」

これはまるで、他人行儀だ。

「ありがとう」

これは、これでどこかおかしい。

「どうして、黙るの?」

深雪が、不安げに俺の顔を見ている。
だけど、俺は何も無い天井を眺めるしか出来なかった。

深雪が、俺の腕を掴んだ。
その手は、震えている。

「トイレに行って来る」

俺は、その手を振りほどき、ベットから降りた。
背後から深雪の啜り泣く声が聞えた。

俺は、何をやってるんだろう
俺は、なんの為に過去に来た?

深雪を救う為に、過去に戻って来たはずなのに
アイツは、今、泣いて居るじゃないか

俺は……
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