いけめんほいほい

Scene03 麦わら帽子はまだ早い

53 本当は怖いどこでもドア

十三は生徒たちを教室に集めると自己紹介をした。

「僕の名前は久留里十三。
　今日から君たちの担任を務める生意気なティーチャーさ」

「……」

静まり返る生徒たち。

「あれ？ウケない？」

戸惑う十三。

「先生、どこでもドアを作ったって本当ですか？」

生徒の一人が言った。

「作ったよ」

十三が答える。

「んなもんできるわけ無いだろう」

「電波のように分解と構築をすれば物体の移動はできるよ。
　生き物を移動させると焦げ肉になるけど……
　誰か移動したい人いる？」

「それって死ぬってこと？」

「そうだね。
　そこがアニメと現実の違い」

「さり気なく夢を壊すんだな」

百道は小さく言った。

「夢って夕に苗って書くよね」

十三が意味ありげに言った。

「お、おう」

「まぁ、特に意味は無いんだけど」

「ないのかよ」

「大人の僕が君たちに教えてあげれることのひとつ。
　この世には意味のないことであふれているのさ」

「……」

静まり返る生徒たち。

「夢を見るって大事だよ。
　夢を見れなくなったら人はどうなると思う？」

動揺する生徒。

「死ぬのか？」

滋が冗談まじりに言った。

「そう儚くなる。
　つまり死ぬのさ」

「人間の世界は誰かの夢と誰かの夢の犠牲の上に立っている。
　それを知っているか知らないかでは人生変わるので覚えておいてね。
　では、次は君たちの自己紹介行こうか」

すごくやりにくい中……
生徒たちは自己紹介を始めた。