いけめんほいほい

はらぺこおねこ。

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Scene08 ワインレッドの心

174 部屋干ししても臭くならない

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「狭い世界。
 窮屈な今日。
 錆びついた鐘はならない。
 そんな日々の僕は僕に響かない。
 乱暴に敷き詰められた。
 棘だらけの命。
 どうしても消せない消せない夢も。
 知っていたのか。
 遠くはなれてしまえば。
 愛は消えるといった。
 もしも許されるのなら。
 ポケットの君を詰め込んで。
 そのまま連れ去りたい」

安志は歌う。

「おう、兄ちゃん」

ガラの悪い男が安志に声をかける。

「うん?」

「お前、誰に許可を得てここで歌っている?」

「歌をうたうのに許可がいるのかい?」

安志は鋭い目でさらに歌を続けようとする。

「歌をうたうのに許可はいらない。
 だがな、どこで歌うかが問題なんだ」

ガラの悪そうな男が言葉を続ける。

「どうして?」

ガラの悪い男は安志の隣に座る。

「ここはな安志。
 静かに眠りたい人がたくさん集まる場所なんだ」

「わかってるよ。
 鶴太郎さん。
 周りに迷惑をかけるなっていうんでしょ?」

「迷惑をかけるのはいい。
 言ったろ?今は爺さん婆さんはお昼寝の時間だ。
 お前が歌えばあの人たち興奮するんだ」

「2番うたって!2番!」

お婆さんが元気に拍手する。

「アルコール、アルコール」

お爺さんも拍手する。

「アルコールじゃねぇアンコールだ!」

鶴太郎が目を鬼にする。
でも口元は笑っている。

安志はちょこちょこ神宮寺老人ホームに顔を出している。
そのため老人たちには大人気。
職員にも大人気。
ただ鶴太郎は、来るときは声をかけてほしいと思っている。

「……いいじゃねぇえか酒飲みたいぞ!」

お爺さんは口を尖らせる。

「ダメだろ?安志も来るなら声かけてくれよ?
 茶菓子の用意はいつもギリギリなんだからよ!」

「お、おかまいなく……」

「そういうわけにはいかねぇ」

そこから暫く安志は鶴太郎から説教を受けた。
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