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Scene08 ワインレッドの心
187 ダンスはうまく踊れない
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「ひとりきりではダンスは上手く踊れない~♪」
そんなBGMが喫茶店に流れる。
「あ、この歌好き」
菜花が小さく笑う。
「え?そうなの?」
「だってネコが足元で踊るんだよ?」
「それは素敵だね」
「でしょ?」
菜花がそういって嬉しそうにしている。
恋次はそれだけでしあわせだった。
海遊館は楽しかった。
でも、それだけだった。
メインディッシュであるホワイトデーのお返しが渡せない。
何度目かの曲が流れ……
「真面目に見つめた君が恋しい~」
あいみょんの歌が流れる。
「でんぐり返しの日々~」
菜花が機嫌良く歌っている。
自分も歌おう。
歌ってごまかそう。
すると菜花が恋次の手をぎゅっと握りしめる。
「もう離れないで」と泣きそうな目で恋次を見つめる。
「あいらぶびゅー」
「???」
舌を噛む恋次。
心のなかでアイラブユーの言葉じゃ足りないと言えていた。
でも言えない。
そしてアイラブユーが言えないからキスもできない。
雲は部屋の中なので2人の影は残らない。
でもいつまでもいつまでもこのまま……
「離れないよ」
「え?」
「ああ、いつまでもいつまでもこのまま……」
あいみょんと言葉が重なる。
菜花が歌ってごまかす。
「この恋が実りますように。
少しだけ少しだけそう思わせて」
恋次も何故か涙が溢れる。
「今渡し恋をしている」
そして2人同時に涙を流して歌う。
「裸の心抱えて」
「歌変わったね……」
菜花が泣きながら微笑む。
そこにあったのは小さなしあわせ。
これから続くのは無限の小さなしあわせ。
大きくもなければ小さくもない。
しあわせには大きいも小さいもない。
それにふたりが気づくのは少し先の話……
そしてここから先は内緒の話。
「2023年3月14日
今日はホワイトデーでした。
僕はなんと!
無事にお返しすることができました!」
恋次は同時視聴者数1000人の中。
皆に自慢をした。
そして10人の人に同時に言われる。
「呪われろ!」
はじめて呪いの言葉が祝福の言葉に聞こえた。
本気で呪いの言葉を言われている訳じゃない。
「おめでとう!」
という意味での呪われろだった。
しあわせになれる。
そんな世界。
「……ケ。リア充しちゃって」
水面が配信を聞きながらつぶやく。
「えっと……」
戸惑う安志。
「私もリア充?」
水面が安志に寄り添う。
「よかった」
安志が笑う。
拳と拳がぶつかる。
コングが鳴る。
「勝者!桜庭!百道!」
中学生トーナメントの勝者となった百道。
「百道すげぇ!」
応援に来ていた平吉と満が抱き合って喜ぶ。
「こんなに大きなのはじめて……」
真美が顔を赤らめて驚く。
「ここのケーキは低カロリーで美味しいんだよ!」
康信が嬉しそうに笑う。
「なにそれ?最強じゃん!」
真美も嬉しそうに笑う。
恋次は配信で歌う。
自分は無敵だ。
恋する自分は無敵なんだ。
そう信じて……
「もっと勝手に恋したりー♪」
「もっとキスを楽しんだりー♪」
菜花が乱入する。
配信の向こうで水面が歌う。
「忘れそうな思い出を」
安志がイケメンボイスで歌う。
「そっと抱いているより」
恋はワインレッドのように消えそうで燃えてしまったワインレッドの心に写し出されゆれながら終わらない。
いつもと同じようにいつもと同じように。
ずっとずっと。
-おわり-
そんなBGMが喫茶店に流れる。
「あ、この歌好き」
菜花が小さく笑う。
「え?そうなの?」
「だってネコが足元で踊るんだよ?」
「それは素敵だね」
「でしょ?」
菜花がそういって嬉しそうにしている。
恋次はそれだけでしあわせだった。
海遊館は楽しかった。
でも、それだけだった。
メインディッシュであるホワイトデーのお返しが渡せない。
何度目かの曲が流れ……
「真面目に見つめた君が恋しい~」
あいみょんの歌が流れる。
「でんぐり返しの日々~」
菜花が機嫌良く歌っている。
自分も歌おう。
歌ってごまかそう。
すると菜花が恋次の手をぎゅっと握りしめる。
「もう離れないで」と泣きそうな目で恋次を見つめる。
「あいらぶびゅー」
「???」
舌を噛む恋次。
心のなかでアイラブユーの言葉じゃ足りないと言えていた。
でも言えない。
そしてアイラブユーが言えないからキスもできない。
雲は部屋の中なので2人の影は残らない。
でもいつまでもいつまでもこのまま……
「離れないよ」
「え?」
「ああ、いつまでもいつまでもこのまま……」
あいみょんと言葉が重なる。
菜花が歌ってごまかす。
「この恋が実りますように。
少しだけ少しだけそう思わせて」
恋次も何故か涙が溢れる。
「今渡し恋をしている」
そして2人同時に涙を流して歌う。
「裸の心抱えて」
「歌変わったね……」
菜花が泣きながら微笑む。
そこにあったのは小さなしあわせ。
これから続くのは無限の小さなしあわせ。
大きくもなければ小さくもない。
しあわせには大きいも小さいもない。
それにふたりが気づくのは少し先の話……
そしてここから先は内緒の話。
「2023年3月14日
今日はホワイトデーでした。
僕はなんと!
無事にお返しすることができました!」
恋次は同時視聴者数1000人の中。
皆に自慢をした。
そして10人の人に同時に言われる。
「呪われろ!」
はじめて呪いの言葉が祝福の言葉に聞こえた。
本気で呪いの言葉を言われている訳じゃない。
「おめでとう!」
という意味での呪われろだった。
しあわせになれる。
そんな世界。
「……ケ。リア充しちゃって」
水面が配信を聞きながらつぶやく。
「えっと……」
戸惑う安志。
「私もリア充?」
水面が安志に寄り添う。
「よかった」
安志が笑う。
拳と拳がぶつかる。
コングが鳴る。
「勝者!桜庭!百道!」
中学生トーナメントの勝者となった百道。
「百道すげぇ!」
応援に来ていた平吉と満が抱き合って喜ぶ。
「こんなに大きなのはじめて……」
真美が顔を赤らめて驚く。
「ここのケーキは低カロリーで美味しいんだよ!」
康信が嬉しそうに笑う。
「なにそれ?最強じゃん!」
真美も嬉しそうに笑う。
恋次は配信で歌う。
自分は無敵だ。
恋する自分は無敵なんだ。
そう信じて……
「もっと勝手に恋したりー♪」
「もっとキスを楽しんだりー♪」
菜花が乱入する。
配信の向こうで水面が歌う。
「忘れそうな思い出を」
安志がイケメンボイスで歌う。
「そっと抱いているより」
恋はワインレッドのように消えそうで燃えてしまったワインレッドの心に写し出されゆれながら終わらない。
いつもと同じようにいつもと同じように。
ずっとずっと。
-おわり-
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