ジンクス~雨時々曇り

はらぺこおねこ。

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Scene.03 うたうよころび

59 そんなこんなで七夕

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それからなんだかんだとあって。
2024年7月7日。
一の中間テストは、なんとか学年1位。
峰子は峰子で何故か気分が良かった。
自分の教え方が完璧だったと思っていた。

しかし現実は甘くない。

今度は期末テストが近づいている。
一はもう追いついている。
自分がいなくても一は前に進んでいる。
何故か寂しさを感じている自分に少し虚しさを感じていた。
これは恋なのか。
峰子はそんなことを思っていた。

でも、一にはみさきがいる。
みさきは自分にとって友達だ。
もしかしてこれは三角関係なのか……

もやもやする自分に少し苛立ちとは違う複雑な気持ちになっていた。

「峰子先輩、ポテト冷めちゃいますよ?」

蜜柑が、そう言って峰子のポテトを摘む。

「あ……蜜柑ちゃん、お腹空いているの?」

「いや、そういうわけじゃ……」

「先輩、上の空でしたよ?」

「……うん」

「悩みですか?」

「え?」

「恋の悩みですか?」

「えええ!」

峰子が立ち上がる。

「一先輩でしょ?」

「ど、どうして??」

「一先輩の魅力がわかるのはわかる人にしかわかりません。
 ジンクスはありますが……
 私も好きですから」

「……」

峰子はうつむく。

「峰子先輩もジンクス持ちなんですか?」

「ええ……
 てるてる坊主を作れば必ず勝負事に勝つというプラス系のジンクス」

「え?」

「そしたら一先輩にもてるてる坊主を作れば勝てるんじゃないですか?」

「ジンクスにも強いよわいがあるから……
 私のジンクスは、斎藤くんには勝てないのよ」

「そうなんですね……」

外から歓声が響き渡る。

「あ、イベントはじまるみたいですよ!
 私達もいきましょう!」

蜜柑は、峰子を引っ張って広場に向かった。

「モッチー仮面!」

子供たちが楽しそうに声を上げる。

その声援の先には仮面を付けた少年がゆっくりと現れる。

「悩み続けた日々がー」

少年が歌いながら舞台を歩く。

「なにやつ!」

子供を担いだ怪人が少年に問いかける。

「このモッチー仮面!悪党に名乗る名前などない!」

「おーっとモッチー仮面!名乗ってしまったぞー!」

実況のお姉さんがそう言うと子供たちがケラケラと笑う。

「あのお姉さんって上沼さん?」

峰子がそう言うと蜜柑が首を傾げる。

「誰です?」

「私のクラスメイト……」

峰子はそう言って息を吐いた。
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