不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene02 エレメント魔法学園

45 ナイスなイケメン

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「そうだよ。
正体不明の虎男。
トラマスクのナイスなイケメン。
タイガー・ジョー」

ジョーは小さく笑うと刀を構えます。

「ファルシオンがどうしてこんないるんだ!」

アースベルガーがそういってジョーを睨みつけます。

「それはこっちのセリフだよ。
テオスがこの里になんのようなんだい?」

「シューティングスターを手に入れる。
 ただそれだけだ」

「それのためにこの里の人をすべて殺したのかい?
 あのエクザイルさんも……」

「ああ、首を斬って殺した。
あっというまだったぞ!
鬼神も鬼になる前なら容易いものだ」

「……おじいちゃんを殺したのですか?」

鈴が涙を流します。

「容易いものだ」

アースベルガーが嬉しそうに笑います。

「さぁ、懺悔の時間の始まりだよ。
君の罪はどんな色だい?」

ジョーが刀でアースベルガーを斬りつけます。

「効かぬよ」

「あれ?」

「我に罪は在らず」

アースベルガーは笑います。

「こんなに人を殺したのに罪はないんですか!」

「我は犬。人を殺して罪になるはずもない。
罪を決めるのは人か神か?否!我なのだ」

「だったら私が!!」

鈴がそういってシューティングスターの弦を引きます。

「準備は整ったわい」

その言葉にその場にいたモノ全てが戦慄しました。

恐怖、絶望、無力

その声の前にはテオス以外のものには動けません。

現れたのは老人ひとり。

「おじいちゃん……じゃないですよね?」

ただひとり鈴だけが動けます。

「ワシはフィサフィー、エクザイルの双子の弟。
今回の目的はファルシオンで唯一、ワシの恐怖が効かぬ男を殺すこと。
シューティングスターでな!じゃがそれも必要なかったようじゃ。
アースベルガー、紫、バビロン、よくやった。
今日はもう帰るぞ。時間も稼げた。
数カ月後、あれをやるぞ」

フィサフィーがそういうとその場にいた3人はそっと姿を消しました。

「消えた……のか?」

ハイジがそういってため息を付きます。

「なんとかなったようですね。
でも、数カ月後か……警戒態勢をしなければですね」

ティコがそういうと六騎が言います。

「全て倒せばいい……と言いたいがあのフィサフィーの恐怖には勝てない」

「罪縛刀も効かない犬も僕には天敵だね」

ジョーがそういって悔しそうに俯きます。

「おじいちゃん……村の皆……」

鈴がその場でただただ泣き崩れました。

それから数カ月後。

鈴はエレメント魔法学園にいます。
少しでも強くなるため。
尊敬する祖父に近づくために……
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