不老に剣士

Scene03 カリュドーンの猪

55 ごっそり

「大丈夫ですよ。ただの風邪なので……」

「無理しないでよ？」

「はい！ありがとうございます」

タナトスはにっこりと微笑みました。

「伝説の三剣が勢揃いだな」

そういってアズラエルが現れました。

「アズラエル様！どうしてこちらへ？」

一花が驚きます。

「丹歌くんの様子を見に来たのだよ」

アズラエルがそういうと丹歌は申し訳なさそうにいいました。

「あの……ごめんなさい。
僕、記憶がなくてあなたのことわかりません」

するとアズラエルが笑います。

「気にやむことはないさ。
僕は娘の新しい主人の様子を見に来たのさ」

「主人？」

「君はプレゲトンの所有者なんだろう？」

「そうらしいです」

「プレゲトンは悪いヤツに誘拐されていてね。
ずっと心配していたんだ」

「誘拐？」

丹歌は驚きます。

「鍛冶屋のウィズリーに保護されるまで酷い扱いを受けてたのよ」

プレゲトンは悲しそうな目をしました。

「ハデスさんのこともわかんない。
でもハデスさんはどうして君を手放したの？
僕の元にプレゲトンさんがいるってそういうことだよね？」

丹歌の質問にアズラエルが答えます。

「それに関しては私が説明しよう。
協定により三剣は資格者のみが所有を許されている。
違反による罰則はないが資格者以外が使おうとすれば魔力をごっそり持っていかれるのだ。
よって使用者の安全第一に考えそうなっている」

「そうなんですか。
じゃどうして誘拐したんだろ？」

「コレクションのためよ」

プレゲトンが小さくいいました。