不老に剣士

はらぺこおねこ。

文字の大きさ
上 下
66 / 223
Scene03 カリュドーンの猪

67 つよいたぬき

しおりを挟む
 残されたのはたぬきとフィサフィー。
 フィサフィーは、生身ではたぬきに勝てないことを理解していました。
 たぬきは、フィサフィーの部下を倒すことで炎を自在に操る能力を身につけています。
 神々の英雄さえも倒しその姿を変えた名もなきたぬき族の亜人。
 炎さえも燃やし灰に返す存在。
 神々は口をそろえていいました。

「まるで伝説の動物。カリュドーンの猪のようだ」

 たぬきは、力を手に入れさらに力をつけ。
 神々を恐れさせた。

 フィサフィーは試しにとボールをたぬきに向けて投げます。

 しかし、そのボールはたぬきの炎で焼かれます。
 たぬきはこのとき気づきました。
 自分はガイルより強かったことに。
 でも、もう失った人の命は戻ってきません。
 たぬきは、手に炎を纏います。

「貴方を灰にしてこの戦争を終わらします」

 たぬきの言葉はフィサフィーを恐怖に包み込むことなど容易いものでした。
 でも、フィサフィーも簡単にやられる気はありません。

「ボールがなくても主を殺す方法など――」

 たぬきも余裕がないので炎を圧縮させ剣に変えます。
 そしてフィサフィーを斬ります。

「火の太刀・終焉」

 たぬきは、そういって二度目の太刀をフィサフィーに浴びせます。
 フィサフィーは灰になりながらいいます。

「うむ、本体で来なかったことが失敗じゃったようじゃの」

 そして姿を消します。

「ホント、喰えない人だ」

 たぬきは、そういって次に現れた兎人の方を見ます。

「そう警戒するな。私は敵ではない。
 妹がここに来ていないか?」

「妹?うさぎさん?」

「あー、そうだな。兎人だ」

「そうだ、探さなきゃ」

「知っているのか?」

「うん、さっき逃げたんだ。
 護れなかった」

「私も探す、話を聞かせてくれ」

 兎人の名前は清空。
 たぬきが知るうさぎの姉です。
 うさぎの名前は水色。
 たぬきはこのとき初めてうさぎの名前を知ったのです。
しおりを挟む

処理中です...