不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene09 滅びのとき

199 おわる

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「オーライ、オーライ」

カレーパンが手を仰ぎます。

毎日、毎日、毎日。
雨の日も、風の日も。
そして季節は流れ雪の日も。

「顔が汚れて力が出ない」

それでも働かなくては生きてはいけません。
言い訳はしたい。
でも、言い訳はしたい。
それが大人になるということなのです。

「オーライ。オーライ。オーライ」

ふと空を見上げると涙が溢れます。
でも、その涙は零しません。

それが大人だから。
生きるとはそういうことなのです。
明日も明後日もその次も。
働かなくては生きれません。

何のために生まれて何のために生きるのか。
それは誰にもわかりません。

「お兄さん」

ふと子どもに声をかけられます。

「どうしたんだ?」

カレーパンが優しい声で尋ねます。

「いつもありがとう」

そういってクリームパンをカレーパンに渡しました。

「クリームパンダ印のクリームパンじゃないか!
これなかなか入手できないのだろう?」

「うん。でもお兄さんにあげたいから頑張ったんだ」

「どうして俺なんかに?」

「いつも警備の仕事頑張ってくれているから……」

「だからありがとう」

少年がそういって笑います。

「いやこちらこそありがとう!」

カレーパンがお礼を言います。
嬉しいはずなのに涙があふれます。
なぜならその少年はもういません。

「ベルゼブブ……」

カレーパンが憎き男の名前を呼びました。

「俺はお前を絶対に許さないぞ」

誰も返事はしなません。
カレーパンは甘い甘いクリームパンを食べました。
甘いはずなのにしょっぱく涙の味がしました。
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