不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene09 滅びのとき

200 もし自信をなくして

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赤き血潮が真っ赤に燃える。
悪を恨んで炎が燃える。
燃えるのはアンか。
それとも悪か……

今日もジャムおじいさんが歌いながらパンを焼きます。
いくつもの正義を産んだジャムおじいさん。

熱き怒りを。
熱き嵐を。

自らも戦うジャムおじいさんには、作るだけの正義はもうありません。
正義を生むだけの正義もありません。

正義を産むため命を削りました。

余命1年と言われたジャムおじいさん。
しかし、命の炎はジャムおじいさんの死を受け入れません。
ジャムおじいさんは、新たなる命を今作ろうとしています。

 炎の花。

ジャムおじいさんが、命を賭けて手に入れたその花は永久に燃えます。
燃え尽きることないその花は燃えるような熱さと情熱。
そして、誰も傷つけない優しさがあります。

ジャムおじいさんは、その炎の花をパンにこねます。

傷つけないようにその花を。
灼熱のように熱いでも、不思議と怪我はしません。
誰も殺さない優しさと殺さない残酷さがあるとも言えます。

沢山の願いを込められたその存在は。
まさにオールインワン。

その名も、ライチサンドパン

「……」

ライチサンドパンマンの目が燃えます。

赤く赤く燃えています。

「ライチサンドパンマン。
君に使命を授ける」

「使命?そんなモノいらない」

ライチサンドパンマンは、表情を変えることなくそういった。

「そうか……」

ジャムおじいさんは、強制はしません。
ただ願いを込めたかっただけです。

「僕は、自信がない人に勇気を与えるだけさ」

ライチサンドパンマンの言葉には意志があります。

「勇気?」

「そう。
 アンパンの数少ない友だちさ」

「うん。
だから、あとひとり。
愛を……アンパンの友だちを作って欲しい」

「ライズサンドパンマン。
君は、なかなか大変なことを言うね」

「心に愛と勇気が備わったもの。
それを人は最強という」

ライズサンドパンマンは、そういいました。

「最強になれなかったそのアンパンは、今は――」

「大丈夫。
だってアンパンは、アンパンなのだから」

その言葉は、誰よりも説得力がありました。
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