子どもができた

第06章 長い一日

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「知っているよ」

港は、目を細くして微笑んだ。

「隆君は、違う」

「……」

こんな時、なんて言ってあげればいいのだろう？
俺は、港を抱きしめながら、窓の外から見える雲を見た。
雲は、ゆっくりと風に押されるかのように流れている。
何もできない自分の心の中がズキズキ痛み出す。

「両親は、この傷に気づいていなかったの？」

「知っているよ。
　私が傷ついていること、裕也君に傷だらけにされたことも知っているよ。」

「付き合うこと、よく反対されなかったね」

「反対されたよ。」

「いっぱい反対された。
　お父さんだけじゃないよ、友達からも『別れたほうがいい』って進められたよ」

「だったら、どうして別れなかったの？」

「そんなの決まっているじゃない」

港は、立ち上がると窓に近づき、そっと呟いた

「……好きだからだよ」

その言葉を聞いたとき、少し切なさが胸に広がった。

「今でも好き？」

港は、少し切なそうに答えた。

「その質問は、痛いよ。
　心にぐさりと来るよ」

「ごめん」

港は、クスリと笑った。

「男って皆、裕也君みたいなのばかりかと思っていた」

「あれは、極端すぎるよ。」

「もっと早く隆君に会いたかったかな」