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06 泣かない彼と泣き虫な彼女
2012年11月16日
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2012年11月16日
金曜日。
愛ちゃんの様態は、依然よくない。
美穂が、早退し昼前に帰ってきた。
「亜金、ヌーボを買って来たよー」
美穂は、そう言って小さなピンクの瓶を鞄から出した。
「こんな時に、お酒は飲めないよ」
「うん。
今は、冷蔵庫に入れて今度飲もう!」
美穂は、そう言ってボジョレーヌーボを冷蔵庫に入れた。
「それに、俺はお酒は飲めないんだ」
「ボジョレーは、別格!
きっと美味しいよ。
今年のボジョレーは、フルーティーなんだって!」
「そっか……」
俺は、いまいち美穂の考えがわからない。
「愛ちゃん、元気になるといいね」
「うん」
「美穂は、元気だな」
「そう?」
「俺は、ここに来ていろんな人の死に直面して結構凹んでいる。
なのに、美穂は、その時は、涙を流しているけどそれ以降は元気だ。
無理してないか?」
「私は、無理なんかしてないよ」
「そうか……」
「亜金、死なないでね」
「え?」
「みんなが亡くなった時、亜金は悲しいって思ったのでしょう?
それは、亜金が死んだとき、みんなも悲しむってことなの」
「……そうか。
そうだな……」
この美穂と出会ったとき、「死ぬな」を連発していた。
その意味が今、わかった気がする……
「うん!」
美穂の優しい笑顔が、俺の心を突き刺す。
「そうだな。
もう、俺は自分から死のうとは思わないよ」
「うん。
偉いぞ!」
美穂は、俺の体をぎゅっと抱きしめる。
「な、なに?」
「抱きしめるのに理由って必要?」
「そこはある程度は必要だと思うけど……」
「私が亜金のこと好きだから……
って、理由ではダメ?」
「ダメじゃないけど……」
「なら、いいじゃん」
美穂が、耳元でクスクスと笑う。
少しくすぐったかった。
金曜日。
愛ちゃんの様態は、依然よくない。
美穂が、早退し昼前に帰ってきた。
「亜金、ヌーボを買って来たよー」
美穂は、そう言って小さなピンクの瓶を鞄から出した。
「こんな時に、お酒は飲めないよ」
「うん。
今は、冷蔵庫に入れて今度飲もう!」
美穂は、そう言ってボジョレーヌーボを冷蔵庫に入れた。
「それに、俺はお酒は飲めないんだ」
「ボジョレーは、別格!
きっと美味しいよ。
今年のボジョレーは、フルーティーなんだって!」
「そっか……」
俺は、いまいち美穂の考えがわからない。
「愛ちゃん、元気になるといいね」
「うん」
「美穂は、元気だな」
「そう?」
「俺は、ここに来ていろんな人の死に直面して結構凹んでいる。
なのに、美穂は、その時は、涙を流しているけどそれ以降は元気だ。
無理してないか?」
「私は、無理なんかしてないよ」
「そうか……」
「亜金、死なないでね」
「え?」
「みんなが亡くなった時、亜金は悲しいって思ったのでしょう?
それは、亜金が死んだとき、みんなも悲しむってことなの」
「……そうか。
そうだな……」
この美穂と出会ったとき、「死ぬな」を連発していた。
その意味が今、わかった気がする……
「うん!」
美穂の優しい笑顔が、俺の心を突き刺す。
「そうだな。
もう、俺は自分から死のうとは思わないよ」
「うん。
偉いぞ!」
美穂は、俺の体をぎゅっと抱きしめる。
「な、なに?」
「抱きしめるのに理由って必要?」
「そこはある程度は必要だと思うけど……」
「私が亜金のこと好きだから……
って、理由ではダメ?」
「ダメじゃないけど……」
「なら、いいじゃん」
美穂が、耳元でクスクスと笑う。
少しくすぐったかった。
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