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01 そして僕は死んだ

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 オムライスを食べ終えた僕は一さんにダメ元でお願いをしてみた。

「ねぇ、僕を誘拐してよ」

「あのな?そんなことしたら俺は犯罪者になってしまう。
 そうなると貴方をシンガポールに連れて行くのも不可能だぞ?」

「そうだよね」

「で、なんでシンガポールなんだ?」

「僕の初恋の人がシンガポールにいるかも知れないんだ」

「話が見えないな」

「うん、僕は30年くらい前に死んでいるんだ」

「まぁ、前世だもんな」

「うん、2018年に死んでる」

「そうか……」

 バカみたいな話だってわかる。
 でも、本当なんだ。

 僕は僕の知っているすべてのことを一さんに話した。

「信じてもらえないだろうけど……」

「信じるよ」

「え?」

 一さんがニッコリと笑った。

「言ったろ?」

「鈴鹿隼人さん……いや、貴方にはお世話になったことがある。
 一生分の世話にな」

「え?」

「それが同姓同名でも俺は貴方を信じる。
 それが俺ができる償いだからだ」

「償い?」

「まぁ、気にしなくていい。
 とりあえず正規の手段で貴方をシンガポールに連れて行く」

「どうやって?」

「とりあえず警察だ」

 一さんの言葉で僕の頭が真っ白になる。

「警察……?」

 警察、なんだろう?僕はその言葉を聞いて頼りにならないというイメージしかわからない。

「大丈夫、警察は信用できる」

 一さんがそういって僕の頭を撫でる。

「……え?」

 その言葉を疑う根拠もない。
 僕は、少し驚いたが信じることにした。
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