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息子の将来の夢

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私の息子達が小学生の時の話。

息子が通う小学校では、5年生の10歳になると、1/2成人式と銘打って、将来の夢などを
語る、涙物のイベントがある。

今では、げんこつや蹴りをくらいながら追いかけまわされ、やっと宿題をこなす長男だが
胎盤剥離で出血し、2カ月も早産だった事を思えば、なんと感慨深いものか。

保育ケースの中、両手に収まるぐらい小さいのに、ケーブルやチューブだらけで痛々しく呼吸が止まるたび鳴り響くセンサー。
心配ではらはらした日々をまざまざと思い出す。

はてさて、その長男が1/2成人式の原稿を書いていたので、やはりちょっと気になる。

当日まで内緒かな、とは思ったが、」

「夢は何にしたの」

と聞いてみたところ、案外とあっさり答えてくれたので拍子抜けした。

が、帰ってきた返事は

「えーとね、旅にでる」・・・はいっ?旅?

詳しく聞き出す為、それとな~く誘導してみると、どうも彼はテレビで見た無人島生活をやってみたいらしい・・・。
息子よ、それは旅でなく、サバイバルと言うのだよ・・・心の中でつっこんだ。

が、息子の夢を無碍に壊すわけにもいかず、いろいろな許可をとらずに無断でやると警察に捕まること、携帯もつながらない所はちょっと心配だなーとだけ伝えておいた。

当日発表された夢は「車で旅にでる」に軌道修正されていた。
一応、母の気持ちを汲んでくれたらしい、ありがとう息子よ(笑)

変わって次男坊。

40度の熱を5日続けてだし、やっとこ川崎病と診断、入院経験(ちなみに最高記録41.2℃)があったり、顔から思いっきりこけ、乳歯2本をぐらぐらさせながら血だらけで帰ってきて親に悲鳴をあげさせるわ、3歳の時には、ふてくされて2度も家出したことも・・・。

見た目女の子の様にかわいい顔をしているがなかなかの強者である。

その次男坊にも、1年生の終わり頃、クラスで将来の夢の発表があった。

「ケーキ屋さんになりたい」「サッカー選手になりたい」など、1年生らしい、かわいらしい夢の発表が続く中、いよいよ次男の番。

手に持たれた画用紙には「めいたんてい」と書かれていた。

名探偵・・・そうきましたか・・・。

10年後、長男が放浪の旅に、次男が悪の秘密結社や殺人犯と戦う名探偵。 
・・・となるのかは、神のみぞ知るところである。

どちらにせよ、母としては、素直に「頑張ってー」とは言い難い、困った夢にあこがれる兄弟である。
君たちの将来に、幸多からん事を・・・・。
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