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私の神様は私が守る

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今日も学校まで付いてきた神様だが、授業には参加しない様だ。
すっと消えたと思ったら、校庭の木陰にもたれかかりくつろいでいる。

私の席は窓際なので、神様の様子が良く見える。
神様もわかっている様で、ニコニコ顔で小さくヒラヒラと手を振ってきた。

今日も私の神様が可愛い。

この尊い気持ちを共有できるお友達が欲しい。
が、皆には見えないのだ、実にもったいない。

3限過ぎたあたりで、神様が船をこぎ始めた。
あー気持ち良さそうに、寝落ちしちゃったよ。
授業中じゃなければ、「お社に帰って寝なさい」って、声かけに行くのになぁ。

んー?
どこかのビジュアル系バンドみたいな黒ずくめの男女が、校庭を突っ切り神様の方に進んでいく。
保護者?・・にしては若すぎるか。
何で、あんな人達が校庭にいるんだろう?

あれ?
あの2人神様認識してる?
話しかけてる様に見えるけど、気のせいかな?

男の方が神様の手を取った!
神様がイヤイヤと首を振って嫌がっている。

「神様!」

私は授業中にもかかわらず、椅子を跳ね倒し、3階の教室の窓に足をかけ躊躇なく飛び降りた。
教室から神様まで約30m。
私は、でその距離を詰めて、男に飛び蹴りを繰り出す。

「その手をはなせぇー!」

「うぉっ!何!」

ちっ!避けられた!

神様を後ろに庇い、仁王立ちする私。
神様が、ぱぁっと花開くような笑顔を浮かべた。
くっ!ゆっくり鑑賞したいけど、今はそれどころじゃない。

「なっ!何この子?どっから現れたの?人の子よね?」

「うそぉ?まさか君、あの窓から飛び降りてきたの?」

動揺しまくりの黒づくめの2人。
ビジュアル系よろしく、この2人も大層な美形だが、私の神様の足元にも及ばないから。
しかもこの2人、私の事を『人の子』って言うからには人間じゃない事確定。

「あんた達!私の神様が嫌がってるでしょう!何してんの!」

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